4. 君を探して振り返る
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境内の奥へと向かう私達を、人混みが襲う。
人でギュウギュウ詰めになっているからといって、凍えるような真冬の夜の寒さが緩和されるわけもなく、私達は凍えながら、参道をひたすら歩いた。
でも、年越しが近づけば近づくほど、参拝客は多くなってきているようで、ほんの1メートルすらもなかなか進まない。
そうなれば、暇つぶしも兼ねて、参拝仲間同士でお喋りをするしかなくなる。
「なぁ。」
「フランスパン風情が喋んじゃねぇ。」
もともと人混みが好きではないイゾウは、イライラをサッチさんにぶつける。
こんなときも、マルコさんは覇気のない視線を装って、気だるそうに歩いていて、他人のフリをしている。
まるで、サッチさんの声が聞こえてきていないかのような無視っぷりだ。
イライラしながらもサッチさんの相手をしようとしているイゾウの方が優しく見えてしまうほどだ。
「なぁ、なぁ。」
「黙れ、フランスパン。」
「なぁ、なぁ、なぁ。」
「うっせんだよ、フランパン野郎!!」
「え!?フランスパンって俺のこと!?」
「そのだせぇフランスパンを頭に乗せてるバカが
他にどこにいるって言うんだよ。」
「え?俺のリーゼントは世界にたったひとつの宝だって?」
「言ってねぇよ!」
思わず吹き出してしまったら、イゾウに溜息を吐かれてしまった。
すると、サッチさんが、まじまじと私とイゾウの顔を交互に見ながら口を開いた。
「さっきからずっと気になっててさ、
おれっち、すっげぇウズウズしてたんだけど。
お前ら、とうとうより戻したの?」
サッチさんが訊ねると、ずっと他人のフリをしていたマルコさんの視線が私達の方を向いた。
どうやら、彼もサッチさんと同じ疑問を感じていたらしい。
「年がら年中干からびてる酔っぱらい女相手に、
そんな高度な真似出来ねぇよ。」
イゾウが肩をすぼめる。
「失礼だな!来年こそフェロモンまき散らす女になって
干物女の本気見せてやる!!」
もう女としては見れない———とでも言いたげな口ぶりのイゾウに噛みつく。
すると、マルコさんとサッチさんが可笑しそうに笑った。
「確かに、うちの可愛い干物チャンは攻略が難しそうだ。」
腹を抱えるサッチさんの頭を、私の代わりにイゾウが叩いてくれた。
一瞬、私の為に———と思ったけれど、よく考えたら、〝干物〟と言い出したのはイゾウの方だ。
人でギュウギュウ詰めになっているからといって、凍えるような真冬の夜の寒さが緩和されるわけもなく、私達は凍えながら、参道をひたすら歩いた。
でも、年越しが近づけば近づくほど、参拝客は多くなってきているようで、ほんの1メートルすらもなかなか進まない。
そうなれば、暇つぶしも兼ねて、参拝仲間同士でお喋りをするしかなくなる。
「なぁ。」
「フランスパン風情が喋んじゃねぇ。」
もともと人混みが好きではないイゾウは、イライラをサッチさんにぶつける。
こんなときも、マルコさんは覇気のない視線を装って、気だるそうに歩いていて、他人のフリをしている。
まるで、サッチさんの声が聞こえてきていないかのような無視っぷりだ。
イライラしながらもサッチさんの相手をしようとしているイゾウの方が優しく見えてしまうほどだ。
「なぁ、なぁ。」
「黙れ、フランスパン。」
「なぁ、なぁ、なぁ。」
「うっせんだよ、フランパン野郎!!」
「え!?フランスパンって俺のこと!?」
「そのだせぇフランスパンを頭に乗せてるバカが
他にどこにいるって言うんだよ。」
「え?俺のリーゼントは世界にたったひとつの宝だって?」
「言ってねぇよ!」
思わず吹き出してしまったら、イゾウに溜息を吐かれてしまった。
すると、サッチさんが、まじまじと私とイゾウの顔を交互に見ながら口を開いた。
「さっきからずっと気になっててさ、
おれっち、すっげぇウズウズしてたんだけど。
お前ら、とうとうより戻したの?」
サッチさんが訊ねると、ずっと他人のフリをしていたマルコさんの視線が私達の方を向いた。
どうやら、彼もサッチさんと同じ疑問を感じていたらしい。
「年がら年中干からびてる酔っぱらい女相手に、
そんな高度な真似出来ねぇよ。」
イゾウが肩をすぼめる。
「失礼だな!来年こそフェロモンまき散らす女になって
干物女の本気見せてやる!!」
もう女としては見れない———とでも言いたげな口ぶりのイゾウに噛みつく。
すると、マルコさんとサッチさんが可笑しそうに笑った。
「確かに、うちの可愛い干物チャンは攻略が難しそうだ。」
腹を抱えるサッチさんの頭を、私の代わりにイゾウが叩いてくれた。
一瞬、私の為に———と思ったけれど、よく考えたら、〝干物〟と言い出したのはイゾウの方だ。