30. 上手な「フリ」
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どうしてこうなったーーーーーーーーー。
コンビニまでの見慣れた夜道を歩きながら、私は心の中で自問自答を繰り返していた。
そんな私の気持ちに興味もないエースは、隣でつまらなそうな顔をして歩いている。
意地の悪い計画的な企みにまんまと引っかかってしまった結果、とりあえず、女の子達が落ち着くか、新しく住む場所が見つかるまでという条件付きで、エースの居候が決まった。
早速、勝手知った様子でくつろぎ始めたエースのペースに飲まれながらも、適当に作った夕食を一緒に食べ終わった後だった。ネットで買ったバッグの支払いをコンビニ支払いにしていたのを思い出したのだ。
今日の仕事の帰りに支払えばいいと思っていたのだけれど、すっかり忘れていた。
だから、今からコンビニに支払いに行くと伝えて、1人で家を出たーーーーーーはずだった。
『なら、俺も行く。』
そう言って、なぜかエースがついてきた。
ついてきた割には、すごくつまらなそうな顔をしているし、会話もなくてとても気まずい。
一体、エースは何がしたいのだろう。
近所のコンビニにはすぐに着いて、私はレジへ向かう。
支払いを終えた頃、エースが隣のレジで何かを買っていることに気づいた。チラッと見えたのは、アイスやお菓子だった。どうやら、甘いものを買いに行きたかっただけらしい。
エースの思惑を理解して、なんとなくスッキリする。
まだ支払いをしていたエースを残して、先にコンビニから出た私は、自動ドアのそばで待つことにした。
コンビニの透明ガラスの窓に背中を預けて、視線を上げる。
うっすらと雲がある、綺麗だとはとても言えない夜空があった。
自動ドアが開き、エースが出てくる。
それじゃあ、行こうかーーーと声をかけようとした時だった。
「あー!エースだーーー!」
可愛らしい声が、エースの名前を呼んだ。
語尾にハートマークが見えた気がしたその声の持ち主は、ちょうど今、車を降りてきた若い女性のものだった。
運転席からも若い女性が降りてくると、エースを見つけて嬉しそうな顔をした。そして、すぐにエースの元に駆け寄る。
「こんなとこで何してんの?家と逆じゃん。
暇なら、一緒にあそぼうよ〜。」
「本命出来たとか嘘でしょ〜。エースに限ってありえないし。」
楽しそうに話しかける彼女達の邪魔は出来なくて、私は他人のフリをしてエース達から離れた。
…嘘だ。本当は、私といる時はいつもムスッとしているエースが、彼女たちに笑いかけるのを見たくなかっただけだと分かってる。
先に帰ろうとした私の後ろから、エースを誘う彼女たちの嬉しそうな声が追いかけてくる。
「なんで、俺を置いて帰んだよ。」
寂しく放り出されていた手を掴まれた瞬間、乱暴にグイッと後ろに引っ張られた。
バランスを崩して後ろに倒れた私の身体をエースの胸板が受け止める。
エースが私の肩に腕を回して、抱き寄せる。
そして、私を見せびらかすようにして、彼女たちに話しかける。
「彼女と一緒だから、ムリ。」
驚いた私の目の前で、彼女たちの驚いた顔が並ぶ。
「ウソ、本命出来たってマジだったの?」
「もう私たちと遊んでくれないってこと?」
彼女たちはショックを受けた様子で、エースに矢継ぎ早に質問を飛ばす。
「もうそういうのやめたの。」
「え、やだ!」
「いいじゃん、遊ぶだけなら!」
彼女たちは、必死だった。
本当にエースが好きなのか。楽しい遊び相手を失うのが嫌なのか。私には分からないけれど、エースを失いたくないのだろうということだけは伝わってきた。
「可愛い彼女に振られたくないから、やだ。」
サラリと言って、エースは「じゃあな。」と私の肩を抱いたままで彼女たちに背を向ける。
ほんの一瞬、呆然としてる彼女たちの顔が見えた気がした。
コンビニからしばらく歩いて、アパートが見えたところで、ずっと私の肩に回されていたエースの腕がパッと離れた。
そして、まるで何もなかったみたいにアパートのエントランスに入っていく。
私は慌ててエースを追いかけた。
「待っ、待って…っ。ねぇ、さっきのーーーー。」
「フリだから。」
エースが振り返る。
彼女たちを素っ気なくあしらっていた時とは比べ物にならないくらいに冷たい目をしていた。
思わず立ち止まる私をエースが冷たい目で見下ろす。
「他の女にアンタと一緒の家に住んでんのバレたらめんどくせぇから、本命ってことにするだけだから。
勘違いすんなよ。」
「…うん、大丈夫だよ。」
私はちゃんと笑えただろうか。
エースは眉を顰めると、スッと目を逸らすように私に背中を向けた。
コンビニまでの見慣れた夜道を歩きながら、私は心の中で自問自答を繰り返していた。
そんな私の気持ちに興味もないエースは、隣でつまらなそうな顔をして歩いている。
意地の悪い計画的な企みにまんまと引っかかってしまった結果、とりあえず、女の子達が落ち着くか、新しく住む場所が見つかるまでという条件付きで、エースの居候が決まった。
早速、勝手知った様子でくつろぎ始めたエースのペースに飲まれながらも、適当に作った夕食を一緒に食べ終わった後だった。ネットで買ったバッグの支払いをコンビニ支払いにしていたのを思い出したのだ。
今日の仕事の帰りに支払えばいいと思っていたのだけれど、すっかり忘れていた。
だから、今からコンビニに支払いに行くと伝えて、1人で家を出たーーーーーーはずだった。
『なら、俺も行く。』
そう言って、なぜかエースがついてきた。
ついてきた割には、すごくつまらなそうな顔をしているし、会話もなくてとても気まずい。
一体、エースは何がしたいのだろう。
近所のコンビニにはすぐに着いて、私はレジへ向かう。
支払いを終えた頃、エースが隣のレジで何かを買っていることに気づいた。チラッと見えたのは、アイスやお菓子だった。どうやら、甘いものを買いに行きたかっただけらしい。
エースの思惑を理解して、なんとなくスッキリする。
まだ支払いをしていたエースを残して、先にコンビニから出た私は、自動ドアのそばで待つことにした。
コンビニの透明ガラスの窓に背中を預けて、視線を上げる。
うっすらと雲がある、綺麗だとはとても言えない夜空があった。
自動ドアが開き、エースが出てくる。
それじゃあ、行こうかーーーと声をかけようとした時だった。
「あー!エースだーーー!」
可愛らしい声が、エースの名前を呼んだ。
語尾にハートマークが見えた気がしたその声の持ち主は、ちょうど今、車を降りてきた若い女性のものだった。
運転席からも若い女性が降りてくると、エースを見つけて嬉しそうな顔をした。そして、すぐにエースの元に駆け寄る。
「こんなとこで何してんの?家と逆じゃん。
暇なら、一緒にあそぼうよ〜。」
「本命出来たとか嘘でしょ〜。エースに限ってありえないし。」
楽しそうに話しかける彼女達の邪魔は出来なくて、私は他人のフリをしてエース達から離れた。
…嘘だ。本当は、私といる時はいつもムスッとしているエースが、彼女たちに笑いかけるのを見たくなかっただけだと分かってる。
先に帰ろうとした私の後ろから、エースを誘う彼女たちの嬉しそうな声が追いかけてくる。
「なんで、俺を置いて帰んだよ。」
寂しく放り出されていた手を掴まれた瞬間、乱暴にグイッと後ろに引っ張られた。
バランスを崩して後ろに倒れた私の身体をエースの胸板が受け止める。
エースが私の肩に腕を回して、抱き寄せる。
そして、私を見せびらかすようにして、彼女たちに話しかける。
「彼女と一緒だから、ムリ。」
驚いた私の目の前で、彼女たちの驚いた顔が並ぶ。
「ウソ、本命出来たってマジだったの?」
「もう私たちと遊んでくれないってこと?」
彼女たちはショックを受けた様子で、エースに矢継ぎ早に質問を飛ばす。
「もうそういうのやめたの。」
「え、やだ!」
「いいじゃん、遊ぶだけなら!」
彼女たちは、必死だった。
本当にエースが好きなのか。楽しい遊び相手を失うのが嫌なのか。私には分からないけれど、エースを失いたくないのだろうということだけは伝わってきた。
「可愛い彼女に振られたくないから、やだ。」
サラリと言って、エースは「じゃあな。」と私の肩を抱いたままで彼女たちに背を向ける。
ほんの一瞬、呆然としてる彼女たちの顔が見えた気がした。
コンビニからしばらく歩いて、アパートが見えたところで、ずっと私の肩に回されていたエースの腕がパッと離れた。
そして、まるで何もなかったみたいにアパートのエントランスに入っていく。
私は慌ててエースを追いかけた。
「待っ、待って…っ。ねぇ、さっきのーーーー。」
「フリだから。」
エースが振り返る。
彼女たちを素っ気なくあしらっていた時とは比べ物にならないくらいに冷たい目をしていた。
思わず立ち止まる私をエースが冷たい目で見下ろす。
「他の女にアンタと一緒の家に住んでんのバレたらめんどくせぇから、本命ってことにするだけだから。
勘違いすんなよ。」
「…うん、大丈夫だよ。」
私はちゃんと笑えただろうか。
エースは眉を顰めると、スッと目を逸らすように私に背中を向けた。
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