8. 先生と生徒
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街中にある塾から近くの公園までの道のりを、子供達と手を繋いで歩く。
子供達は、新しくやってきた若くカッコいいお兄ちゃん先生に対する警戒心を隠そうとしない。
一応、子供達にも、彼のことを『今日から一緒に遊んでくれる先生』だと紹介はしたのだけれど、どうして先生が増えたのかも分からないし、やっと塾に慣れてきたばかりだったから、不安なのだろう。
それでも、私の周りに纏わりつくようにして歩きながら、興味津々に、エースの横顔を観察もしている。
塾講師助手のアルバイトとしてやってくる男子大学生がエースだとは思っていなかったら、本当に驚いた。
驚きが大きすぎて、今もまだ自分の感情の整理もつけられずにいるせいで、嫌だと思ったのか、嬉しいと思ってしまったのかもわからない。
彼は一体、どんなつもりでこのバイトをしようと思ったのだろうか。
そもそも、担当する塾講師が私だということを彼は知っていたのだろうか。
私の顔を見て、驚いたような表情はしていなかったのだけれど————。
ただ、少なくとも私は、助手がやってきたことで助かってはいる。
だって、いつも、車も気にせずに走り出してしまう幼馴染コンビのキッドとキラーの手をエースが握ってくれているおかげで、足が速すぎる彼らを子供達を抱えながら、公園まで追いかけずに済んでいるのだ。
ゆっくり歩きながら公園へ向かえるなんて、夢のようだ。
でもそのせいで、公園まで到着するのにそれなりに時間がかかって、間が持たない。
「——あ、えっと…、久しぶりだね。2年ぶりかな。」
「正月に会ったばっかです。」
「そ、そうだね。知らない人って言ってたから、
気づかなかったのかなって思って。」
「…。」
余計なことを言ってしまったと思った時には、エースに横目で見下ろされていた。
余計に気まずくなってしまって、必死に話題を探す。
「あ、大学。私と同じなんだね。スペード大学志望だったのに、どうしてなの?
マルコさんと一緒に決めた大学に向けて受験勉強してたのに、
いつの間に———。」
「別に、無理やり話題みつけなくていいですから。
俺もアンタと世間話してぇとか思ってねぇし。」
「…ごめん。」
冷たい返事に心当たりがありすぎて、謝るしかなかった。
公園までのそれほど長くはない道のり、これほどまでにキッドとキラーに走ってくれと思ったことはない。
でも、こんな時に限って彼らは、街路樹の根元に集まる虫に夢中で、なかなか進んでくれない。
子供達は、新しくやってきた若くカッコいいお兄ちゃん先生に対する警戒心を隠そうとしない。
一応、子供達にも、彼のことを『今日から一緒に遊んでくれる先生』だと紹介はしたのだけれど、どうして先生が増えたのかも分からないし、やっと塾に慣れてきたばかりだったから、不安なのだろう。
それでも、私の周りに纏わりつくようにして歩きながら、興味津々に、エースの横顔を観察もしている。
塾講師助手のアルバイトとしてやってくる男子大学生がエースだとは思っていなかったら、本当に驚いた。
驚きが大きすぎて、今もまだ自分の感情の整理もつけられずにいるせいで、嫌だと思ったのか、嬉しいと思ってしまったのかもわからない。
彼は一体、どんなつもりでこのバイトをしようと思ったのだろうか。
そもそも、担当する塾講師が私だということを彼は知っていたのだろうか。
私の顔を見て、驚いたような表情はしていなかったのだけれど————。
ただ、少なくとも私は、助手がやってきたことで助かってはいる。
だって、いつも、車も気にせずに走り出してしまう幼馴染コンビのキッドとキラーの手をエースが握ってくれているおかげで、足が速すぎる彼らを子供達を抱えながら、公園まで追いかけずに済んでいるのだ。
ゆっくり歩きながら公園へ向かえるなんて、夢のようだ。
でもそのせいで、公園まで到着するのにそれなりに時間がかかって、間が持たない。
「——あ、えっと…、久しぶりだね。2年ぶりかな。」
「正月に会ったばっかです。」
「そ、そうだね。知らない人って言ってたから、
気づかなかったのかなって思って。」
「…。」
余計なことを言ってしまったと思った時には、エースに横目で見下ろされていた。
余計に気まずくなってしまって、必死に話題を探す。
「あ、大学。私と同じなんだね。スペード大学志望だったのに、どうしてなの?
マルコさんと一緒に決めた大学に向けて受験勉強してたのに、
いつの間に———。」
「別に、無理やり話題みつけなくていいですから。
俺もアンタと世間話してぇとか思ってねぇし。」
「…ごめん。」
冷たい返事に心当たりがありすぎて、謝るしかなかった。
公園までのそれほど長くはない道のり、これほどまでにキッドとキラーに走ってくれと思ったことはない。
でも、こんな時に限って彼らは、街路樹の根元に集まる虫に夢中で、なかなか進んでくれない。