7. 唐突の再会
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お正月の三が日が明けて1週間が経過していた。
『レッド・フォース』も、忙しい毎日が始まっている。
年末に間抜けな勘違いをして遅刻騒ぎを起こした私も、もちろん真面目に出勤している。
だが、それも身体的に限界に近付いているのを心底感じているところだ。
それは、私だけではない。
この塾で働く講師のほとんどが同じように感じている。
原因は、数か月前からシャンクスが始めた託児サービスだ。
シャンクスらしいサービスで、塾講師達も新しいサービスについての文句は何もない。
ただ、夜遅くまで働き、自宅に戻ってからも翌日の授業の準備を行い、朝早く起きて、子供たちの相手をした後に、夕方からは中高生達に授業を行い、その日のまとめを夜遅くまで作成して———と出口を見つけづらい仕事に、身体が悲鳴を上げざるを得ない状況なのだ。
「名前、ちょっといいかい?」
今日の小学生達との課外授業の準備をしていると、シャンクスさんに呼ばれた。
すぐに返事をして、持っていた書類や砂場用のおもちゃをデスクへ戻し、手招きをしている彼のデスクへと小走りで向かう。
「忙しいときにすまんな。」
「いいえ、大丈夫ですよ。まだ時間もありますし。」
「ならよかった。助手の件で、名前にちょうどいい学生が入ったんだ。
それを報告しようと思ってて———。」
「助手!本当ですか!?
よかったぁぁぁあ~~~。」
両手で顔を覆った私は、大きな息とともに、安心と喜びを吐き出した。
ヤソップさんやラッキー・ルウさん、ロックスターさん達は、知り合いの学生達を呼び寄せて助手としていたけれど、頼れる知り合いのいない私は、シャンクスさんが作ったアルバイト募集のチラシを頼るしかなかった。
でも、正直、あまり期待はしていなかった。
だって、まさか、サラッと書かれているあの恐ろしい脅し文句を読んで、それでも助手をやりたいと思う変わり者がいるなんて、誰も思わない。
きっと、そう思っていたのは私だけじゃないはずだ。
副長のベン・ベックマンさんに『過労死したらシャンクスを呪い殺してもいい。』と要らない許可まで貰っていたくらいなのだ。
「喜んでくれてよかった。その報告を昨日のうちにしておくように
ベンに言われてたんだが、すっかり忘れてたんだ。
でも喜んでくれてよかった。今日から、その学生が来るから好きなだけこき使ってくれ。」
「え、今日から?」
「あぁ、今日から!!よかったな、名前!!」
アッハッハ、とシャンクスさんがとても清々しく笑う。
早速、今日から来てくれるということは嬉しいけれど、そういうことは出来れば事前に教えて欲しかったのが正直なところだ。
それをわかっているからか、隣のデスクで、書類仕事をしていたベンさんが溜息を吐いている。
「どんな人なんですか?」
せめて、その変わり者の学生が来る前に聞いておこうと思ったのだ。
「ルフィの兄貴なんだ!」
「あ~、だから変わり者なんですね。」
納得したように頷くと、それを聞いていたベンさんがプッと吹き出した。
でも、シャンクスさんはとても無邪気に「サッパリしててイイヤツだぞ。」と変わり者の兄を褒める。
そういうところが、シャンクスさんの素敵なところだなと思う。
変わり者だと本音をこぼしてしまったことを、すぐさま反省した。
「名前が卒業した大学で、同じ外来語教育学部に通ってる教師志望の学生だ。」
ベンさんが、引き出しから書類を取り出しながら言う。
面接用の履歴書のようだった。
シャンクスさんの説明だけでは、大切な情報は何も伝わらないままだと思ったのだろう。
「わぁ、後輩なんですね。なんか親近感湧きます。」
履歴書を受け取りながら、私は、母校に通う後輩に会えるのだとワクワクしていた。
でもそれは、履歴書に載っている名前を見るまでの話だ。
≪氏名:ポートガス・D・エース≫
何度、名前を読み返しても、何度、瞬きをしても、氏名欄に記載されている名前は、彼の名を示していた。
でも———。
「え、あの、ルフィのお兄ちゃんだって———。」
「お、噂をすればだな。出勤してきたぞ。」
シャンクスさんが、職員室の奥の扉を指さした。
振り返るのが、こんなに怖いと思ったことはない。
でも、身体は心にあまりにも忠実で、私は勢いよく振り向いてしまった。
きっと、本当は、会いたかったのだ。
思いがけず再会してしまったあの日、我慢していた気持ちが溢れてしまっていたから————。
「今日から、彼が名前のパートナーだ。」
いつの間にか私の隣に並んだシャンクスさんが、私の肩を叩いてニシシと笑う。
涼し気な切れ長の目で私を見下ろしたのは、昔の面影を残しつつも大人っぽくなった、エースだった。
『レッド・フォース』も、忙しい毎日が始まっている。
年末に間抜けな勘違いをして遅刻騒ぎを起こした私も、もちろん真面目に出勤している。
だが、それも身体的に限界に近付いているのを心底感じているところだ。
それは、私だけではない。
この塾で働く講師のほとんどが同じように感じている。
原因は、数か月前からシャンクスが始めた託児サービスだ。
シャンクスらしいサービスで、塾講師達も新しいサービスについての文句は何もない。
ただ、夜遅くまで働き、自宅に戻ってからも翌日の授業の準備を行い、朝早く起きて、子供たちの相手をした後に、夕方からは中高生達に授業を行い、その日のまとめを夜遅くまで作成して———と出口を見つけづらい仕事に、身体が悲鳴を上げざるを得ない状況なのだ。
「名前、ちょっといいかい?」
今日の小学生達との課外授業の準備をしていると、シャンクスさんに呼ばれた。
すぐに返事をして、持っていた書類や砂場用のおもちゃをデスクへ戻し、手招きをしている彼のデスクへと小走りで向かう。
「忙しいときにすまんな。」
「いいえ、大丈夫ですよ。まだ時間もありますし。」
「ならよかった。助手の件で、名前にちょうどいい学生が入ったんだ。
それを報告しようと思ってて———。」
「助手!本当ですか!?
よかったぁぁぁあ~~~。」
両手で顔を覆った私は、大きな息とともに、安心と喜びを吐き出した。
ヤソップさんやラッキー・ルウさん、ロックスターさん達は、知り合いの学生達を呼び寄せて助手としていたけれど、頼れる知り合いのいない私は、シャンクスさんが作ったアルバイト募集のチラシを頼るしかなかった。
でも、正直、あまり期待はしていなかった。
だって、まさか、サラッと書かれているあの恐ろしい脅し文句を読んで、それでも助手をやりたいと思う変わり者がいるなんて、誰も思わない。
きっと、そう思っていたのは私だけじゃないはずだ。
副長のベン・ベックマンさんに『過労死したらシャンクスを呪い殺してもいい。』と要らない許可まで貰っていたくらいなのだ。
「喜んでくれてよかった。その報告を昨日のうちにしておくように
ベンに言われてたんだが、すっかり忘れてたんだ。
でも喜んでくれてよかった。今日から、その学生が来るから好きなだけこき使ってくれ。」
「え、今日から?」
「あぁ、今日から!!よかったな、名前!!」
アッハッハ、とシャンクスさんがとても清々しく笑う。
早速、今日から来てくれるということは嬉しいけれど、そういうことは出来れば事前に教えて欲しかったのが正直なところだ。
それをわかっているからか、隣のデスクで、書類仕事をしていたベンさんが溜息を吐いている。
「どんな人なんですか?」
せめて、その変わり者の学生が来る前に聞いておこうと思ったのだ。
「ルフィの兄貴なんだ!」
「あ~、だから変わり者なんですね。」
納得したように頷くと、それを聞いていたベンさんがプッと吹き出した。
でも、シャンクスさんはとても無邪気に「サッパリしててイイヤツだぞ。」と変わり者の兄を褒める。
そういうところが、シャンクスさんの素敵なところだなと思う。
変わり者だと本音をこぼしてしまったことを、すぐさま反省した。
「名前が卒業した大学で、同じ外来語教育学部に通ってる教師志望の学生だ。」
ベンさんが、引き出しから書類を取り出しながら言う。
面接用の履歴書のようだった。
シャンクスさんの説明だけでは、大切な情報は何も伝わらないままだと思ったのだろう。
「わぁ、後輩なんですね。なんか親近感湧きます。」
履歴書を受け取りながら、私は、母校に通う後輩に会えるのだとワクワクしていた。
でもそれは、履歴書に載っている名前を見るまでの話だ。
≪氏名:ポートガス・D・エース≫
何度、名前を読み返しても、何度、瞬きをしても、氏名欄に記載されている名前は、彼の名を示していた。
でも———。
「え、あの、ルフィのお兄ちゃんだって———。」
「お、噂をすればだな。出勤してきたぞ。」
シャンクスさんが、職員室の奥の扉を指さした。
振り返るのが、こんなに怖いと思ったことはない。
でも、身体は心にあまりにも忠実で、私は勢いよく振り向いてしまった。
きっと、本当は、会いたかったのだ。
思いがけず再会してしまったあの日、我慢していた気持ちが溢れてしまっていたから————。
「今日から、彼が名前のパートナーだ。」
いつの間にか私の隣に並んだシャンクスさんが、私の肩を叩いてニシシと笑う。
涼し気な切れ長の目で私を見下ろしたのは、昔の面影を残しつつも大人っぽくなった、エースだった。