貴方のネックレスが揺れる
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『好き』とは伝えていない。
だって、きっとただの片思いだって知ってたから。
エースはいつも、私のことを『俺の親友だ!』と笑って言う。
それが嬉しくて、本当は、少し寂しかった。
だって、『好き』なのは、私だけだって、遠回しで言われているみたいだったから。
「ごめん。お前を、泣かせたくなくて…。」
エースが、申し訳なさそうに謝る。
彼女が出来たなら言ってよって、からかっただけなのに、どうして私は謝られてるのだろう。
サッチさんから、少し前からあのコとエースが付き合いだしたんだって聞いてから、たったの今まで、必死に胸の奥に抑え込んだ失恋の痛みが、ドバッと溢れてきて、泣きそうになる。
たったの一瞬で、私はひどく惨めな気分だ。
「何言ってんの。アンタに恋人が出来たからって、
どうして私が泣かなきゃいけないのさ。うぬぼれんなよ~!」
アハハハと、精一杯に腹の底から笑ってみた。
でも、私の渇いた笑い声なんて、騒がしいモビー号の甲板に呆気なく吸い込まれていく。
「そうだな。俺達は、親友だもんな。」
頭を掻きながらぎこちなく笑ったエースの口元で、白く綺麗な歯が太陽に反射してキラキラと光る。
まるで宝石みたいなそれは、いつも私の隣で輝いていたのに。
あぁ、そうか———。
エースがよく笑って言っていた『俺達は親友だ』って言葉は、世界で一番切ない拒絶だったんだ。
でも、どうして気づけるのだろう。
だって、エースはいつも私の隣で笑っていたでしょう。
私の前でならバカでいられるって、お腹を抱えて笑っていたでしょう。
ズルいよ。
あのコの前でなら、泣けるなんて。
遠い昔に負ってしまったっきり、誰にも見せられなかった大きな心の傷を、あのコになら晒せるなんて。
あのコがいたから、弱くも強くもなれるなんて。
ズルいよ。
「ほら、私のことなんていいからさ、彼女のとこに行ってやりなよ!
浮気だって疑われても知らないぞ!」
「あぁ…、ありがとな。」
エースは、オレンジ色のテンガロンハットのつばを持って、少し下に引いた。
きっと、私の涙を見ないようにしてくれたのだ。
大きなモビー号の中から、彼女を探すために去っていく大好きな背中を見送りながら、私はグッと唇を噛んだ。
だって、私には、心の傷を晒せる人も、涙を見せられる人も、いないから。
「いやだ…、行かないで…。エース…。」
小さな小さな私の本音は、誰にも聞こえない。
あのコを探しては、目で追ってばかりいたエースは、いつだって、幾ら呼んでも絶対に振り向いてくれなかった。
「エース!!」
先に見つけたのは、あのコの方だった。
あのコに呼ばれて、エースが振り向く。
嬉しそうに、勢いよく振り向いたから、エースの胸元でネックレスの鎖が揺れた。
それが、まるでいつものエースの笑顔みたいに、太陽の光に反射してキラキラと輝いて、眩しくて、私は思わず目を閉じる。
こんなに好きにさせておいて、私は、ほんの少しもエースの心を揺らすことが出来なかったなんて。
気づかないフリをして、最後まで〝友達として〟優しくしようとするなんて、ズルいよ。
ヒドイよ。
「なまえ!!」
エースが駆け寄っていく。
あのコは、エースの愛を一身に受けて、嬉しそうに微笑んだ。
私の声では、貴方のネックレスを揺らせない
だって、きっとただの片思いだって知ってたから。
エースはいつも、私のことを『俺の親友だ!』と笑って言う。
それが嬉しくて、本当は、少し寂しかった。
だって、『好き』なのは、私だけだって、遠回しで言われているみたいだったから。
「ごめん。お前を、泣かせたくなくて…。」
エースが、申し訳なさそうに謝る。
彼女が出来たなら言ってよって、からかっただけなのに、どうして私は謝られてるのだろう。
サッチさんから、少し前からあのコとエースが付き合いだしたんだって聞いてから、たったの今まで、必死に胸の奥に抑え込んだ失恋の痛みが、ドバッと溢れてきて、泣きそうになる。
たったの一瞬で、私はひどく惨めな気分だ。
「何言ってんの。アンタに恋人が出来たからって、
どうして私が泣かなきゃいけないのさ。うぬぼれんなよ~!」
アハハハと、精一杯に腹の底から笑ってみた。
でも、私の渇いた笑い声なんて、騒がしいモビー号の甲板に呆気なく吸い込まれていく。
「そうだな。俺達は、親友だもんな。」
頭を掻きながらぎこちなく笑ったエースの口元で、白く綺麗な歯が太陽に反射してキラキラと光る。
まるで宝石みたいなそれは、いつも私の隣で輝いていたのに。
あぁ、そうか———。
エースがよく笑って言っていた『俺達は親友だ』って言葉は、世界で一番切ない拒絶だったんだ。
でも、どうして気づけるのだろう。
だって、エースはいつも私の隣で笑っていたでしょう。
私の前でならバカでいられるって、お腹を抱えて笑っていたでしょう。
ズルいよ。
あのコの前でなら、泣けるなんて。
遠い昔に負ってしまったっきり、誰にも見せられなかった大きな心の傷を、あのコになら晒せるなんて。
あのコがいたから、弱くも強くもなれるなんて。
ズルいよ。
「ほら、私のことなんていいからさ、彼女のとこに行ってやりなよ!
浮気だって疑われても知らないぞ!」
「あぁ…、ありがとな。」
エースは、オレンジ色のテンガロンハットのつばを持って、少し下に引いた。
きっと、私の涙を見ないようにしてくれたのだ。
大きなモビー号の中から、彼女を探すために去っていく大好きな背中を見送りながら、私はグッと唇を噛んだ。
だって、私には、心の傷を晒せる人も、涙を見せられる人も、いないから。
「いやだ…、行かないで…。エース…。」
小さな小さな私の本音は、誰にも聞こえない。
あのコを探しては、目で追ってばかりいたエースは、いつだって、幾ら呼んでも絶対に振り向いてくれなかった。
「エース!!」
先に見つけたのは、あのコの方だった。
あのコに呼ばれて、エースが振り向く。
嬉しそうに、勢いよく振り向いたから、エースの胸元でネックレスの鎖が揺れた。
それが、まるでいつものエースの笑顔みたいに、太陽の光に反射してキラキラと輝いて、眩しくて、私は思わず目を閉じる。
こんなに好きにさせておいて、私は、ほんの少しもエースの心を揺らすことが出来なかったなんて。
気づかないフリをして、最後まで〝友達として〟優しくしようとするなんて、ズルいよ。
ヒドイよ。
「なまえ!!」
エースが駆け寄っていく。
あのコは、エースの愛を一身に受けて、嬉しそうに微笑んだ。
私の声では、貴方のネックレスを揺らせない
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