◇No.65◇漂流船は救いを求めています
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数多くの海賊達に長い間夢を見せ続けてきた、黄金の宝が眠っているという島を目指してまっしぐらに進んでいたハートの海賊団の海賊船、ポーラータング号は、数日前から広い海原を絶賛漂流です。
航海士ベポの指示の元、何の問題もなく航海を続いていた矢先、突然に海域を映すレーダーが不具合を起こしたのが原因でした。
あれから数日、機械に強い船員、カイが〝バグ〟が起きたと説明をし、修理を行ったのですが、どうしても直すことが出来ず、ここがどこかも分からないままで彷徨い続けているのです。
少し前から真冬の気候に入ったようで、ハラハラと雪が舞う震えるような寒さが、ハートの海賊団の海賊達の体力を奪っていきます。
「なんだよ。こんな大変なときに、なまえは昼寝かよ。
いいな、呑気でさ。」
船縁に背中を預けて眠っているなまえに気づき、シャチが、呆れと羨ましさを混ぜます。
気温を感じないなまえですが、ローからプレゼントされたお気に入りのコートを着ているので、見た目も暖かそうで、ひどく気持ちよさそうに見えたのが、余計に羨ましく思わせたのです。
「ねぇ、キャプテン。最近、なまえ、寝過ぎじゃないかな?」
ベポがローに訊ねます。
少し前までは、昼頃に起きてきて、日中はベポ達と海賊生活を楽しんでいたなまえですが、最近では、昼頃に起きてきても、数時間するとウトウトするようになりました。
ですが、どうしても船長室に戻って眠りたくはないようで、仲間のそばで必死に眠気と戦った結果、船縁や談話室でよく居眠りをするのです。
出逢った頃とは確実に違うなまえの様子が心配なベポですが、ローからは返事がありませんでした。
眠る彼女に肩を貸しているローは、この事態をあまり重く受け止めていないのか、シャチの声にも気づかずに新聞を読み耽っています。
よく見れば、書いてある日付は、今日の朝刊のものではなく、1年前のものでした。
どうやら、書庫から過去の新聞を引っ張り出してきたようです。彼の腰のあたりには、ハートの海賊団が過去にニュース・クーから購入した新聞が山積みになっています。
行く宛も見当たらないままの漂流のせいで、やることもなく、暇つぶしを始めてしまったようにしか見えないキャプテンの姿に、ペンギンは眉を顰め、難しい顔で唇を結びました。
「でもさ、冬島の気候で落ち着いてるし、どこか近くに島があるんじゃねぇのか?」
そう言って、双眼鏡を覗いたのはイッカクでした。
同じことを考えていた数名の船員達も、彼女と同じように船の周りに島を探します。
「あった…。」
イッカクが呟きました。
そして、自分が見たそれが陽炎ではないことを確かめるように、ゆっくりと時間をかけて、2、3度瞬きをしました。
何度目を開けても、双眼鏡の向こうには島が見えます。
食料も尽きかけてもうそろそろ皆で野垂れ死にになるかもしれないことを本気で考えた方がいいかもしれない———そう思い始めていた今、やっと、命を繋ぐ希望を見つけたのです。
何の変哲もないカタチをしているその島が、イッカクの瞳には、黄金で輝いているように見えました。
「あった!ありました、キャプテン!!島っす!!」
興奮気味にイッカクが、島を見つけた方角を指さします。
ローから、返事はありませんでした。
ですが、新聞に落としていた視線が僅かに上がり、まだ裸眼では見えない島を、ギロリと睨みつけていました。
航海士ベポの指示の元、何の問題もなく航海を続いていた矢先、突然に海域を映すレーダーが不具合を起こしたのが原因でした。
あれから数日、機械に強い船員、カイが〝バグ〟が起きたと説明をし、修理を行ったのですが、どうしても直すことが出来ず、ここがどこかも分からないままで彷徨い続けているのです。
少し前から真冬の気候に入ったようで、ハラハラと雪が舞う震えるような寒さが、ハートの海賊団の海賊達の体力を奪っていきます。
「なんだよ。こんな大変なときに、なまえは昼寝かよ。
いいな、呑気でさ。」
船縁に背中を預けて眠っているなまえに気づき、シャチが、呆れと羨ましさを混ぜます。
気温を感じないなまえですが、ローからプレゼントされたお気に入りのコートを着ているので、見た目も暖かそうで、ひどく気持ちよさそうに見えたのが、余計に羨ましく思わせたのです。
「ねぇ、キャプテン。最近、なまえ、寝過ぎじゃないかな?」
ベポがローに訊ねます。
少し前までは、昼頃に起きてきて、日中はベポ達と海賊生活を楽しんでいたなまえですが、最近では、昼頃に起きてきても、数時間するとウトウトするようになりました。
ですが、どうしても船長室に戻って眠りたくはないようで、仲間のそばで必死に眠気と戦った結果、船縁や談話室でよく居眠りをするのです。
出逢った頃とは確実に違うなまえの様子が心配なベポですが、ローからは返事がありませんでした。
眠る彼女に肩を貸しているローは、この事態をあまり重く受け止めていないのか、シャチの声にも気づかずに新聞を読み耽っています。
よく見れば、書いてある日付は、今日の朝刊のものではなく、1年前のものでした。
どうやら、書庫から過去の新聞を引っ張り出してきたようです。彼の腰のあたりには、ハートの海賊団が過去にニュース・クーから購入した新聞が山積みになっています。
行く宛も見当たらないままの漂流のせいで、やることもなく、暇つぶしを始めてしまったようにしか見えないキャプテンの姿に、ペンギンは眉を顰め、難しい顔で唇を結びました。
「でもさ、冬島の気候で落ち着いてるし、どこか近くに島があるんじゃねぇのか?」
そう言って、双眼鏡を覗いたのはイッカクでした。
同じことを考えていた数名の船員達も、彼女と同じように船の周りに島を探します。
「あった…。」
イッカクが呟きました。
そして、自分が見たそれが陽炎ではないことを確かめるように、ゆっくりと時間をかけて、2、3度瞬きをしました。
何度目を開けても、双眼鏡の向こうには島が見えます。
食料も尽きかけてもうそろそろ皆で野垂れ死にになるかもしれないことを本気で考えた方がいいかもしれない———そう思い始めていた今、やっと、命を繋ぐ希望を見つけたのです。
何の変哲もないカタチをしているその島が、イッカクの瞳には、黄金で輝いているように見えました。
「あった!ありました、キャプテン!!島っす!!」
興奮気味にイッカクが、島を見つけた方角を指さします。
ローから、返事はありませんでした。
ですが、新聞に落としていた視線が僅かに上がり、まだ裸眼では見えない島を、ギロリと睨みつけていました。