◇No.5◇起動しました
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ポーラータング号の医務室には、静かな時間が流れていました。
数か月前から、船長であるローの意向により不要な戦闘は避けていましたし、昨日、島を出港するときにCP0と戦う羽目になってしまったとはいえ、1人も負傷者が出なかったおかげです。
ですから、空きばかりが並んでいた医務室のベッドの上で眠るのは、ベポが助けて来た彼女だけでした。
彼女は、手術のために濡れた白いワンピースを脱がされ裸になったまま、白いシーツを肩までかけられて眠っています。
一体、彼女はいつになったら起きるのでしょうか。
ローに世話係を任命されたベポが、一晩中、ベッド脇の椅子に座って目覚めるのを待っているのですが、直ったはずの彼女は、いまだにピクリとすら動きません。
『それは、ロボットだ。』
信じられないようなローの発言は、事実でした。
彼女は、精巧につくられた機械仕掛けのロボットだったのです。
ですから、倒れた原因はー。
いいえ、正しくは、”故障”の原因は、海水に浸かってしまったことで機械がショートを起こしたことでした。
その他にも、海水によって内部に錆も出来ていたらしく、そこもダイとカイによって修理されました。
修理をしている一部始終を見ていたベポですが、それでも尚、彼女がロボットだなんて信じられませんでした。
だって、メスを使って皮膚を切り、内部の機械を取り出し修理をする様は、人間に施す手術そのものだったのです。
ですが、やっぱり彼女はロボットでした。
だって、切った皮膚の奥から出てくるのは、内臓ではなくて、確かに機械ばかりでしたし、それをベポもハッキリ見ています。
まさか、見た目も感触すらも人間そのもののロボットが存在するなんて、とても驚きました。
驚かされたのは、それだけではありません。
ダイやカイが、修理をするためにメスで切った皮膚は、数分で傷跡も残らずに綺麗に元に戻ったのです。
そのようにプログラムされているのだろう、という意味のことを難しい専門用語を使って、カイがローに説明していましたが、ベポには何を言っているのかよく分かりませんでした。
分かったのは、彼女は、機械オタクのカイですら見たことないような天才的な技術を駆使して作られた最先端のロボットだったということだけです。
『誰が何のために、こんなもんを作ったんだ。』
ベポの脳裏に、船大工のダイの声が蘇ります。
今、シーツで隠れている彼女の左胸のあたりには、世界政府のマークが刻まれていました。
昨日、海兵やCP0に追われていたことを踏まえても、彼女は恐らく世界政府の所有物だろう、というのがローを始めとしたベポ達の考えです。
大方、それで間違いはないはずです。
では、なぜ、彼女は逃げていたのでしょうか。
恋愛物語の本をただひたすらに読み漁っていた彼女の姿が、ベポの頭から離れません。
えぇ、ベポも分かってはいるのです。
彼女は機械であって、心臓がないどころか、心もありません。
それでも、あのときの彼女の姿が、ベポには寂しそうに見えてならなかったのです。
朝が訪れ始めた頃になると、ベポは、とうとう眠気に勝てずにコクリコクリと船を漕ぎ始めてしまいました。
数か月前から、船長であるローの意向により不要な戦闘は避けていましたし、昨日、島を出港するときにCP0と戦う羽目になってしまったとはいえ、1人も負傷者が出なかったおかげです。
ですから、空きばかりが並んでいた医務室のベッドの上で眠るのは、ベポが助けて来た彼女だけでした。
彼女は、手術のために濡れた白いワンピースを脱がされ裸になったまま、白いシーツを肩までかけられて眠っています。
一体、彼女はいつになったら起きるのでしょうか。
ローに世話係を任命されたベポが、一晩中、ベッド脇の椅子に座って目覚めるのを待っているのですが、直ったはずの彼女は、いまだにピクリとすら動きません。
『それは、ロボットだ。』
信じられないようなローの発言は、事実でした。
彼女は、精巧につくられた機械仕掛けのロボットだったのです。
ですから、倒れた原因はー。
いいえ、正しくは、”故障”の原因は、海水に浸かってしまったことで機械がショートを起こしたことでした。
その他にも、海水によって内部に錆も出来ていたらしく、そこもダイとカイによって修理されました。
修理をしている一部始終を見ていたベポですが、それでも尚、彼女がロボットだなんて信じられませんでした。
だって、メスを使って皮膚を切り、内部の機械を取り出し修理をする様は、人間に施す手術そのものだったのです。
ですが、やっぱり彼女はロボットでした。
だって、切った皮膚の奥から出てくるのは、内臓ではなくて、確かに機械ばかりでしたし、それをベポもハッキリ見ています。
まさか、見た目も感触すらも人間そのもののロボットが存在するなんて、とても驚きました。
驚かされたのは、それだけではありません。
ダイやカイが、修理をするためにメスで切った皮膚は、数分で傷跡も残らずに綺麗に元に戻ったのです。
そのようにプログラムされているのだろう、という意味のことを難しい専門用語を使って、カイがローに説明していましたが、ベポには何を言っているのかよく分かりませんでした。
分かったのは、彼女は、機械オタクのカイですら見たことないような天才的な技術を駆使して作られた最先端のロボットだったということだけです。
『誰が何のために、こんなもんを作ったんだ。』
ベポの脳裏に、船大工のダイの声が蘇ります。
今、シーツで隠れている彼女の左胸のあたりには、世界政府のマークが刻まれていました。
昨日、海兵やCP0に追われていたことを踏まえても、彼女は恐らく世界政府の所有物だろう、というのがローを始めとしたベポ達の考えです。
大方、それで間違いはないはずです。
では、なぜ、彼女は逃げていたのでしょうか。
恋愛物語の本をただひたすらに読み漁っていた彼女の姿が、ベポの頭から離れません。
えぇ、ベポも分かってはいるのです。
彼女は機械であって、心臓がないどころか、心もありません。
それでも、あのときの彼女の姿が、ベポには寂しそうに見えてならなかったのです。
朝が訪れ始めた頃になると、ベポは、とうとう眠気に勝てずにコクリコクリと船を漕ぎ始めてしまいました。