◇No.52◇漸く結ばれた恋を祝う宴です
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ポーラータング号の甲板は、お祭り騒ぎでした。
彼らが心から尊敬するキャプテンと大切な仲間が恋人になったというのに、それを祝わないわけにはいかなかったのです。
そして、最近ずっと、ローとなまえがすれ違い続けているのを、心配していました。
ですから、船員達は、この喜びの瞬間を待っていたとばかりに、宴を始めたのです。
なまえがロボットだということを知らない船員はいません。
ロボットと人間が恋愛をすることが、普通だと思っている船員もいません。
でも、大好きなキャプテンと大切な仲間であるなまえの幸せを喜ばない船員だって、1人もいなかったのです。
まぁ、あとは、ただ単純に、海賊と言うのは、宴が大好きだということも大きいでしょう。
彼らは、アイツがタンスの角に親指を思いきりぶつけたのに全く痛がらなかったのが凄い、という馬鹿みたいな理由でだって、宴を始めてしまうくらいの生き物なのです。
「なまえ!!これ、出来たってよ!!」
夜まで続いた宴の途中、ペンギン達とお酒を酌み交わしているローの隣で、星を見上げていたなまえの元に、イッカクが、大きめの紙袋を抱えて嬉しそうに走ってやって来ました。
彼女は、なまえの前で膝を折り曲げて屈むと、紙袋を差し出しました。
受け取って中を確認したなまえは、それが何かを理解すると、勢いよく引っぱり出しました。
出て来たのは、ローがプレゼントをしたあの色違いの白いコートでした。
なまえは、立ち上がってすぐにそれを着ます。
そして、初めてローが白いコートをプレゼントした時のように、甲板の上をクルクルまわりながら、仲間達に見せびらかし始めました。
イッカクが、クルクルまわるなまえを嬉しそうに見守ります。
「おー!やっと戻ったのか!!」
「よかったじゃねぇか!!」
「お前がそれを着てると安心するぜ。」
なまえが白いコートを着ているのに気づいた船員達から、優しい言葉をかけられる度に、まるで機嫌が良くなるように、クルクルとまわる速度が速くなります。
常夏の島の熱帯夜で、コートを着ているのはきっとなまえだけでしょう。
いつもなら、見ているだけで暑いから脱げと仲間達に注意されていたかもしれませんが、やっと白いコートが戻って来て喜んでいるなまえにそんなことを言う船員はいませんでした。
「そのコートはもう着たくねぇんじゃなかったのか?」
ローが、ポツリと零しました。
少し前に、確かになまえは『着たくないから白いコートを着ていない』と言っていたはずでした。
それも、ローを傷つけたなまえの言葉でしたから、忘れてはいません。
「着たくないんじゃなくて、着れなかったんですよ。」
「あ!言うなよ!おま——。」
「シャチが、なまえが嫌がってんのに、
寒ぃから自分に貸せって無理やり引っ張って破ったんです。」
「あぁぁぁ~あ…。」
言ってしまった———。
終わったという顔をしたシャチを、ローがギロリと睨みつけます。
でも、自分が贈ったコートを要らないと思われるのは、とても寂しいことでしたから、彼女が着たくなかったわけではないと知ったローは、本当は少しだけ、ホッとしました。
でも、それならなぜ、彼女は『着たくない』と答えたのでしょうか。
ふと浮かんだローの疑問がまるで見えていたみたいに、イッカクが教えてくれます。
「ソイツ、自分がキャプテンに叱られるのが嫌で
破れたコートを着てたら、キャプテンが悲しむとか言って
バレないように裏工作までしてたんすよ。最低っす。」
イッカクが睨むようにシャチを見れば、ローの睨みもさらに厳しいものになりました。
とうとう、いたたまれなくなったのか、シャチが頭を下げます。
でもこれで、やっと、コートのすれ違いが解消されました。
ローは、無表情でクルクルまわり続ける嬉しそうななまえへ視線を這わせます。
無意識に緩む頬は、船員達が今まで見たことがないと驚いてしまうほどに、彼の表情を柔らかくしていました。
船員である女、しかもロボットである彼女と、ローが恋仲になると決めたということの意味は、ペンギン達も分かっていたつもりでした。
ですがこのとき、愛おしそうになまえへ視線を送る初めて見る彼の表情に、ペンギン達は、ローが心底彼女に惚れていることを改めて理解したのです。
まさか、仲間想いではあるけれど、愛に対して淡白な彼が、こんな風に誰かを愛することが出来るなんて、誰も思っていませんでした。
でも、嬉しいことでもありました。
彼らが心から尊敬するキャプテンと大切な仲間が恋人になったというのに、それを祝わないわけにはいかなかったのです。
そして、最近ずっと、ローとなまえがすれ違い続けているのを、心配していました。
ですから、船員達は、この喜びの瞬間を待っていたとばかりに、宴を始めたのです。
なまえがロボットだということを知らない船員はいません。
ロボットと人間が恋愛をすることが、普通だと思っている船員もいません。
でも、大好きなキャプテンと大切な仲間であるなまえの幸せを喜ばない船員だって、1人もいなかったのです。
まぁ、あとは、ただ単純に、海賊と言うのは、宴が大好きだということも大きいでしょう。
彼らは、アイツがタンスの角に親指を思いきりぶつけたのに全く痛がらなかったのが凄い、という馬鹿みたいな理由でだって、宴を始めてしまうくらいの生き物なのです。
「なまえ!!これ、出来たってよ!!」
夜まで続いた宴の途中、ペンギン達とお酒を酌み交わしているローの隣で、星を見上げていたなまえの元に、イッカクが、大きめの紙袋を抱えて嬉しそうに走ってやって来ました。
彼女は、なまえの前で膝を折り曲げて屈むと、紙袋を差し出しました。
受け取って中を確認したなまえは、それが何かを理解すると、勢いよく引っぱり出しました。
出て来たのは、ローがプレゼントをしたあの色違いの白いコートでした。
なまえは、立ち上がってすぐにそれを着ます。
そして、初めてローが白いコートをプレゼントした時のように、甲板の上をクルクルまわりながら、仲間達に見せびらかし始めました。
イッカクが、クルクルまわるなまえを嬉しそうに見守ります。
「おー!やっと戻ったのか!!」
「よかったじゃねぇか!!」
「お前がそれを着てると安心するぜ。」
なまえが白いコートを着ているのに気づいた船員達から、優しい言葉をかけられる度に、まるで機嫌が良くなるように、クルクルとまわる速度が速くなります。
常夏の島の熱帯夜で、コートを着ているのはきっとなまえだけでしょう。
いつもなら、見ているだけで暑いから脱げと仲間達に注意されていたかもしれませんが、やっと白いコートが戻って来て喜んでいるなまえにそんなことを言う船員はいませんでした。
「そのコートはもう着たくねぇんじゃなかったのか?」
ローが、ポツリと零しました。
少し前に、確かになまえは『着たくないから白いコートを着ていない』と言っていたはずでした。
それも、ローを傷つけたなまえの言葉でしたから、忘れてはいません。
「着たくないんじゃなくて、着れなかったんですよ。」
「あ!言うなよ!おま——。」
「シャチが、なまえが嫌がってんのに、
寒ぃから自分に貸せって無理やり引っ張って破ったんです。」
「あぁぁぁ~あ…。」
言ってしまった———。
終わったという顔をしたシャチを、ローがギロリと睨みつけます。
でも、自分が贈ったコートを要らないと思われるのは、とても寂しいことでしたから、彼女が着たくなかったわけではないと知ったローは、本当は少しだけ、ホッとしました。
でも、それならなぜ、彼女は『着たくない』と答えたのでしょうか。
ふと浮かんだローの疑問がまるで見えていたみたいに、イッカクが教えてくれます。
「ソイツ、自分がキャプテンに叱られるのが嫌で
破れたコートを着てたら、キャプテンが悲しむとか言って
バレないように裏工作までしてたんすよ。最低っす。」
イッカクが睨むようにシャチを見れば、ローの睨みもさらに厳しいものになりました。
とうとう、いたたまれなくなったのか、シャチが頭を下げます。
でもこれで、やっと、コートのすれ違いが解消されました。
ローは、無表情でクルクルまわり続ける嬉しそうななまえへ視線を這わせます。
無意識に緩む頬は、船員達が今まで見たことがないと驚いてしまうほどに、彼の表情を柔らかくしていました。
船員である女、しかもロボットである彼女と、ローが恋仲になると決めたということの意味は、ペンギン達も分かっていたつもりでした。
ですがこのとき、愛おしそうになまえへ視線を送る初めて見る彼の表情に、ペンギン達は、ローが心底彼女に惚れていることを改めて理解したのです。
まさか、仲間想いではあるけれど、愛に対して淡白な彼が、こんな風に誰かを愛することが出来るなんて、誰も思っていませんでした。
でも、嬉しいことでもありました。