翌日、なまえは、イッカクとベポと一緒に、島に降りていました。
何もすることがないというなまえを、イッカクが、ショッピングに誘ったのです。
常夏の島らしく海水浴場の辺りが最も賑わっていました。
お洒落なショップも、可愛らしい雑貨屋も、美味しいカフェも海岸通りにたくさん並んでいます。
お腹を空いたと言い出したベポに付き合ってカフェに入ったなまえ達のところへ、海水浴場でナンパに精を出していたペンギンとシャチもやって来ました。
可愛い女の子達を美味しく頂くには、まだまだ時間がかかりそうなので、その前に腹ごしらえをするのだそうです。
勝手に同じテーブルにやってきた彼らは「人間は食べ物ではありません」としきりに注意を繰り返すなまえを聞き流しながらの食事を終えると、一緒にカフェを出ました。

「なぁ、お前らも一緒に海に行こうぜ。」

シャチが、なまえ達を誘いました。

「私は泳いではいけません。」
「泳がなくても遊べるだろ。」
「そうですか？」
「たとえば、ビーチボールとか！」
「スイカ割りもあるよね！！俺、スイカ割したい！！」

意外とイッカクとベポが乗ってきて、シャチは嬉しそうにハシャぎ出しました。
そして、ベポの強い推しもあり、今から皆でスイカ割りをすることに決まりました。
海水浴場にスイカが売っているのを見たとシャチが言うので、海岸通りを歩いて向かうことになりました。
道すがらの話題は、これからの遊びの予定でした。
スイカ割りが終わったら、ビーチボールをして、夜には花火をするのもいい。
今夜は、砂浜で一夜を明かそうとシャチが楽しそうにハシャぎます。
なまえが口を挟む暇もありませんでした。
どうせ、彼女が何を言うのか、全員が知っていたからです。
そしてそれを、もう、彼女の口から聞きたくなかったのです。

「あ！」

ベポが驚いたように声を上げました。
そして、その後、しまった——という顔をして、慌てて両手で口を塞ぎました。
ですが、大きなベポの声に、なまえ達は反応してしまいました。
そして、彼が驚いて見た先へ視線を向けてしまったのです。