◇No.44◇美しい人がいました
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凍えるような寒さの冬島を出たハートの海賊団が、次に辿り着いたのは、常夏の島でした。
海だ、プールだ、水着美女だとハシャぎながら船を降りようとしていた海賊達の脇を、それこそ、人間離れした速さで駆け抜けて行ったのが、なまえです。
あっという間に港を抜けて消えてしまい、誰も話しかける暇すら与えて貰えませんでした。
そして、彼女が大きな買い物袋を幾つも抱えて、漸く戻ってきたのは、夜になってからです。
荷物を置いてから自室を出たなまえは、廊下でイッカクと出くわしました。
「やっと帰って来たのか。それで、大丈夫だった?」
「はい。出港するまでには間に合うと言っていました。」
「そうか。よかったじゃないか。」
イッカクがなまえの頭に手を乗せると、髪を乱暴に乱すように撫でました。
そして、今から、運悪く見張り組になってしまった船員達と甲板で酒盛りをするから遊びに来ないかと誘います。
ですが、なまえは首を横に振って断りました。
「私は、ローとバーに行きます。」
当然のように答えるなまえに、イッカクは、まだそんなことを言っているのかと、悲しくなりました。
なまえが、毎晩足繁くローの部屋に誘いに通っては、断られていることは、もう全員が知っています。
そろそろ誘うのをやめたらどうかと、アドバイスをする仲間もいるほどです。
ですが、なまえは、まるで、それがプログラムされているかのように、毎晩、ローの部屋へ行くのです。そして、冷たく断られて、寂しそうに自室に戻るまでがセットになっています。
ローも、ローです。
バーに行くのが嫌になったのなら、ただ一言、『もう誘いに来るな』と言えばいいのです。
彼にそう命令をされれば、なまえは、もう二度と夜にローの部屋を訪れることはなくなるでしょう。
そうすれば、イッカク達も、彼女の寂しそうな背中を見なくて済むのに———。
ですが、今夜は、いつもとは違います。
久々の上陸、男達が今夜を楽しく過ごすように、ローもまた、楽しい夜を過ごす予定であることを、イッカクは知っていました。
「今日はキャプテンの部屋には行くな。」
「どうしてですか。一緒にバーに行きます。」
「アタシ達と一緒に酒盛りした方が、楽しいからだよ。」
イッカクは、子供を都合よく誤魔化すように、なまえの髪を撫でて、とても明るい笑顔を見せました。
海だ、プールだ、水着美女だとハシャぎながら船を降りようとしていた海賊達の脇を、それこそ、人間離れした速さで駆け抜けて行ったのが、なまえです。
あっという間に港を抜けて消えてしまい、誰も話しかける暇すら与えて貰えませんでした。
そして、彼女が大きな買い物袋を幾つも抱えて、漸く戻ってきたのは、夜になってからです。
荷物を置いてから自室を出たなまえは、廊下でイッカクと出くわしました。
「やっと帰って来たのか。それで、大丈夫だった?」
「はい。出港するまでには間に合うと言っていました。」
「そうか。よかったじゃないか。」
イッカクがなまえの頭に手を乗せると、髪を乱暴に乱すように撫でました。
そして、今から、運悪く見張り組になってしまった船員達と甲板で酒盛りをするから遊びに来ないかと誘います。
ですが、なまえは首を横に振って断りました。
「私は、ローとバーに行きます。」
当然のように答えるなまえに、イッカクは、まだそんなことを言っているのかと、悲しくなりました。
なまえが、毎晩足繁くローの部屋に誘いに通っては、断られていることは、もう全員が知っています。
そろそろ誘うのをやめたらどうかと、アドバイスをする仲間もいるほどです。
ですが、なまえは、まるで、それがプログラムされているかのように、毎晩、ローの部屋へ行くのです。そして、冷たく断られて、寂しそうに自室に戻るまでがセットになっています。
ローも、ローです。
バーに行くのが嫌になったのなら、ただ一言、『もう誘いに来るな』と言えばいいのです。
彼にそう命令をされれば、なまえは、もう二度と夜にローの部屋を訪れることはなくなるでしょう。
そうすれば、イッカク達も、彼女の寂しそうな背中を見なくて済むのに———。
ですが、今夜は、いつもとは違います。
久々の上陸、男達が今夜を楽しく過ごすように、ローもまた、楽しい夜を過ごす予定であることを、イッカクは知っていました。
「今日はキャプテンの部屋には行くな。」
「どうしてですか。一緒にバーに行きます。」
「アタシ達と一緒に酒盛りした方が、楽しいからだよ。」
イッカクは、子供を都合よく誤魔化すように、なまえの髪を撫でて、とても明るい笑顔を見せました。