◇No.3◇他人に興味のない男です
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ハートの海賊団の船、ポーラータング号が数日前に上陸したのは、世界中から小説や文献の集まる、通称“本の虫島”でした。
医学本や医学関連の文献を欲した船長であるローの要望に基づき、航海士であるベポの勧めでやって来たのです。
滅多に褒めることのしないローが、島最大の本屋に毎日通いつめているということは、ベポにとって最上級の褒め言葉と同等の意味を持ちます。
今日もまた、ベポは、大好きなローと一緒にご機嫌で本屋にやってきていました。
アミューズメントパークさながらの巨大な本屋には、所狭しと本棚が並んでいます。
もう見慣れたその空間に、いつもとは違う異様な空気が漂っていることには、最初からずっと気づいていました。
だから、いつでも周りをよく見ているローが、幾ら医学本に夢中になっているからといって、気づいていないはずがありません。
ですが、大事なものとそうではないものの線引きがハッキリしている彼は、それをどうでもいいことだと判断したようです。
本棚から気になる文献を取り出しては、ご機嫌な様子で意味の分からない難しい文字を追いかけています。
それでも、ベポはどうしても、びしょ濡れの白いロングワンピースをそのままにして恋愛物語の本を片っ端から読み漁っている彼女が、気になって仕方がありませんでした。
「ねぇ、キャプテン、あの子、大丈夫かな?」
「あぁ、問題ねぇ。」
ベポは、ローの黒いコートを摘まんでチョンチョンと引っ張ってみましたが、医学本に向けている意識を、ほんの少しも自分や彼女に向けることは出来ませんでした。
ローは医学本から顔を上げることすらせずに適当に答えたのです。
彼女のことを厭らしい目でジロジロと見ている客達や、彼女をまるで犯罪者のように監視していた店員もいますが、誰かが声をかけることはありません。
結局、彼女は恋愛物語のコーナーの本をすべて読み尽くした後、何も買わずに出て行きました。
その間、ローは一度だって、彼女の方を向くことはありませんでした。
声をかけることもせずにただジロジロと視線を送るだけの人間と興味すら持たない人間、どちらが悪でしょうか。
少なくとも、心配そうに彼女の背中を見送ったのはベポだけでした。
医学本や医学関連の文献を欲した船長であるローの要望に基づき、航海士であるベポの勧めでやって来たのです。
滅多に褒めることのしないローが、島最大の本屋に毎日通いつめているということは、ベポにとって最上級の褒め言葉と同等の意味を持ちます。
今日もまた、ベポは、大好きなローと一緒にご機嫌で本屋にやってきていました。
アミューズメントパークさながらの巨大な本屋には、所狭しと本棚が並んでいます。
もう見慣れたその空間に、いつもとは違う異様な空気が漂っていることには、最初からずっと気づいていました。
だから、いつでも周りをよく見ているローが、幾ら医学本に夢中になっているからといって、気づいていないはずがありません。
ですが、大事なものとそうではないものの線引きがハッキリしている彼は、それをどうでもいいことだと判断したようです。
本棚から気になる文献を取り出しては、ご機嫌な様子で意味の分からない難しい文字を追いかけています。
それでも、ベポはどうしても、びしょ濡れの白いロングワンピースをそのままにして恋愛物語の本を片っ端から読み漁っている彼女が、気になって仕方がありませんでした。
「ねぇ、キャプテン、あの子、大丈夫かな?」
「あぁ、問題ねぇ。」
ベポは、ローの黒いコートを摘まんでチョンチョンと引っ張ってみましたが、医学本に向けている意識を、ほんの少しも自分や彼女に向けることは出来ませんでした。
ローは医学本から顔を上げることすらせずに適当に答えたのです。
彼女のことを厭らしい目でジロジロと見ている客達や、彼女をまるで犯罪者のように監視していた店員もいますが、誰かが声をかけることはありません。
結局、彼女は恋愛物語のコーナーの本をすべて読み尽くした後、何も買わずに出て行きました。
その間、ローは一度だって、彼女の方を向くことはありませんでした。
声をかけることもせずにただジロジロと視線を送るだけの人間と興味すら持たない人間、どちらが悪でしょうか。
少なくとも、心配そうに彼女の背中を見送ったのはベポだけでした。