◇No.19◇ハートをください
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夜、風呂から上がったローは、船長室に戻るために廊下を歩いていました。
火照った身体には、部屋着の黒いスウェットのズボンを履いただけです。
タトゥーに包まれた筋肉質な上半身を晒し、肩にかけたタオルで髪を雑に拭いていると、向こうからなまえが歩いてきました。
珍しく1人のようで、一緒にいることの多いベポやイッカクはそばにはいません。
「それはハートですか?」
ローの目の前で立ち止まり、なまえが指さして訊ねたのは、ローの胸に彫られているタトゥーでした。
「・・・まぁ、そうだな。」
「それを私にも描いてください。」
「は?」
「さっき、私はハートの海賊団なのに、ハートがないとシャチに言われました。
それでは本物の仲間とは呼べないそうです。」
「ハート…、あ~、心ってことか。」
「はい、そうです。私はロボットなので心がありません。
また、私の胸には世界政府のマークがあるので、世界政府の仲間のままだとも言われました。
だから、早急にハートが必要です。今すぐ描いてください。」
また面倒なことを言ってくれやがって——。
ローは、心の中でシャチの身体を三分割にしました。
「これは俺が彫ったんじゃねぇ。彫師に頼め。」
「ホリシは誰ですか?そんな名前の仲間は知りません。」
「ホリシは名前じゃねぇ。職業で・・・あー、もうめんどくせぇ。
来い、俺からアイツに頼んでやる。」
説明するのも面倒になったローは、なまえの腕を掴むと乱暴に引っ張ってきた道を戻って行きます。
そしてやって来たのは船室フロアです。
入ってすぐの左から3番目の部屋が、彫師のタクの部屋でした。
ローがノックもなしに勢いよく扉を開くと、ちょうどカードゲームをしていたらしい数名の船員達がビクッと肩を揺らしました。
「キャプテン?どうかしたんすか?」
最初に訊ねたのは、この部屋の主のタクでした。
それに続いて、一緒にカードゲームをしていた他の船員達も、なまえに何かあったのかと首を傾げます。
「コイツの胸に世界政府のマークがある。」
「あ~、知ってますよ。この前、水着になったときに見たんで。」
「それを消せ。」
「え、今からっすか?」
「はい、早急に消してください。」
ローよりも先に、なまえが答えました。
いきなり部屋にやってきた船長となまえからの想定外の命令と願いに、タク達は顔を見合わせて首を傾げました。
「消したら、俺と同じハートのマークを描いてやれ。」
「え、そのデカいヤツですか?」
「適当にハートだけでもいい。とりあえず、ハートならいい。」
「はぁ…?」
どういう意図があるのか分からずタクは首を傾げるばかりでした。
ですが、船長の命令は絶対です。
今すぐにということであれば、カードゲームを中断して、タトゥーを入れる準備を始めなければなりません。
「分かりました。俺は準備するから、お前らカード片付けといてくれ。」
「おう。」
「続きは明日な~。」
なまえだけ特別というわけでもなく、基本的に船長に対して素直なハートの海賊団の船員達が、テキパキと動き始めました。
「じゃあ、なまえ、まずは世界政府のマークを消すから、
見えるようにしてベッドに寝てくれ。」
「はい、分かりました。」
タクが、タトゥーを彫る準備をしながらなまえに指示を出しました。
ひとつ大きく頷いて、なまえがつなぎのチャックをへそのあたりまで一気におろしました。
そして、中央から開いたつなぎを左右に広げれば、マシュマロのように柔らかそうな綺麗な胸が、女不足の男達の前に晒されました。
ツンと立った先は淡く綺麗なピンク色をしていて、ロボットだと知っているはずなのに、馬鹿な男達はドキリとさせられます。
その途端、一時停止ボタンを押されたかのように、タトゥーを彫る準備をしていたタク、カードを片付けていた船員達の動きがピタリと止まりました。
動かなくなった彼らの鼻から、ツーッと鼻血が流れます。
それに、ローがチッと舌打ちをしました。
そして、自分の肩にかけてあったタオルを乱暴に外すと、そのタオルでなまえの胸を隠しました。
「もういい。俺がやる。来い。」
ローは、なまえの腕を掴むと、さっき閉めたばかりの扉を開きました。
「ローはホリシですか?」
「違ぇ。」
「でも、ローがしますか?」
「消して、ハート描くくらい出来る。」
「そうですか。よかったです。」
ローとなまえは、部屋を出て行きながら、ゴチャゴチャと話しています。
そして、突然、意図の分からない要求をしてきたと思ったら、結局、何もしないまま、パタンと閉まった扉の向こうに彼らの姿は消えてしまいました。
何が起こったのか分からないまま、タク達は閉じたばかりの扉を呆然と眺めていました。
火照った身体には、部屋着の黒いスウェットのズボンを履いただけです。
タトゥーに包まれた筋肉質な上半身を晒し、肩にかけたタオルで髪を雑に拭いていると、向こうからなまえが歩いてきました。
珍しく1人のようで、一緒にいることの多いベポやイッカクはそばにはいません。
「それはハートですか?」
ローの目の前で立ち止まり、なまえが指さして訊ねたのは、ローの胸に彫られているタトゥーでした。
「・・・まぁ、そうだな。」
「それを私にも描いてください。」
「は?」
「さっき、私はハートの海賊団なのに、ハートがないとシャチに言われました。
それでは本物の仲間とは呼べないそうです。」
「ハート…、あ~、心ってことか。」
「はい、そうです。私はロボットなので心がありません。
また、私の胸には世界政府のマークがあるので、世界政府の仲間のままだとも言われました。
だから、早急にハートが必要です。今すぐ描いてください。」
また面倒なことを言ってくれやがって——。
ローは、心の中でシャチの身体を三分割にしました。
「これは俺が彫ったんじゃねぇ。彫師に頼め。」
「ホリシは誰ですか?そんな名前の仲間は知りません。」
「ホリシは名前じゃねぇ。職業で・・・あー、もうめんどくせぇ。
来い、俺からアイツに頼んでやる。」
説明するのも面倒になったローは、なまえの腕を掴むと乱暴に引っ張ってきた道を戻って行きます。
そしてやって来たのは船室フロアです。
入ってすぐの左から3番目の部屋が、彫師のタクの部屋でした。
ローがノックもなしに勢いよく扉を開くと、ちょうどカードゲームをしていたらしい数名の船員達がビクッと肩を揺らしました。
「キャプテン?どうかしたんすか?」
最初に訊ねたのは、この部屋の主のタクでした。
それに続いて、一緒にカードゲームをしていた他の船員達も、なまえに何かあったのかと首を傾げます。
「コイツの胸に世界政府のマークがある。」
「あ~、知ってますよ。この前、水着になったときに見たんで。」
「それを消せ。」
「え、今からっすか?」
「はい、早急に消してください。」
ローよりも先に、なまえが答えました。
いきなり部屋にやってきた船長となまえからの想定外の命令と願いに、タク達は顔を見合わせて首を傾げました。
「消したら、俺と同じハートのマークを描いてやれ。」
「え、そのデカいヤツですか?」
「適当にハートだけでもいい。とりあえず、ハートならいい。」
「はぁ…?」
どういう意図があるのか分からずタクは首を傾げるばかりでした。
ですが、船長の命令は絶対です。
今すぐにということであれば、カードゲームを中断して、タトゥーを入れる準備を始めなければなりません。
「分かりました。俺は準備するから、お前らカード片付けといてくれ。」
「おう。」
「続きは明日な~。」
なまえだけ特別というわけでもなく、基本的に船長に対して素直なハートの海賊団の船員達が、テキパキと動き始めました。
「じゃあ、なまえ、まずは世界政府のマークを消すから、
見えるようにしてベッドに寝てくれ。」
「はい、分かりました。」
タクが、タトゥーを彫る準備をしながらなまえに指示を出しました。
ひとつ大きく頷いて、なまえがつなぎのチャックをへそのあたりまで一気におろしました。
そして、中央から開いたつなぎを左右に広げれば、マシュマロのように柔らかそうな綺麗な胸が、女不足の男達の前に晒されました。
ツンと立った先は淡く綺麗なピンク色をしていて、ロボットだと知っているはずなのに、馬鹿な男達はドキリとさせられます。
その途端、一時停止ボタンを押されたかのように、タトゥーを彫る準備をしていたタク、カードを片付けていた船員達の動きがピタリと止まりました。
動かなくなった彼らの鼻から、ツーッと鼻血が流れます。
それに、ローがチッと舌打ちをしました。
そして、自分の肩にかけてあったタオルを乱暴に外すと、そのタオルでなまえの胸を隠しました。
「もういい。俺がやる。来い。」
ローは、なまえの腕を掴むと、さっき閉めたばかりの扉を開きました。
「ローはホリシですか?」
「違ぇ。」
「でも、ローがしますか?」
「消して、ハート描くくらい出来る。」
「そうですか。よかったです。」
ローとなまえは、部屋を出て行きながら、ゴチャゴチャと話しています。
そして、突然、意図の分からない要求をしてきたと思ったら、結局、何もしないまま、パタンと閉まった扉の向こうに彼らの姿は消えてしまいました。
何が起こったのか分からないまま、タク達は閉じたばかりの扉を呆然と眺めていました。