海賊になると決めたなまえをローは受け入れましたが、半数以上の船員が反対しました。
それでも、なまえを下船させ、万が一にでも海軍の元に戻ってしまったときのことを考えると、このまま仲間にしてしまった方がメリットが高いことも理解しています。
仕方なく、受け入れるしかなかったのです。

「私は、今度は海軍を殲滅させればいいのですか？」

ロボットが空気を読むかどうかは分かりません。
ですが、なまえは、船員達が何を懸念しているのかを理解していたのかもしれません。

「あぁ、そうだ！！そうしてくれるとありがてぇ！！」

船員の1人が調子よく言います。
すると、他の船員達も、お前の新しい任務は海軍を殲滅することだと教え始めました。

「海軍なんか俺がどうにでもしてやる。コイツには期待なんかしてねぇ。」

ローがキッパリと言い切りました。
そして、ベンチから立ち上がり、なまえを見下ろして言います。

「海賊は自由だと言ったはずだ。戦いたくねぇなら、戦わなくていい。
　好きなように生きろ。好きなように生きて、これからは船員として好きなだけ俺に尽くせ。
　海賊になったお前の任務は、それだけだ。」
「分かりました。」

なまえはローを見上げて頷きます。
どれくらい理解したのかは分かりません。
せっかく海軍を殲滅させられる道具を手に入れたかもしれなかったのに、と船員達も納得はしていません。
でも、船長であるローが決めてしまったのなら、受け入れるしかありません。
船内へ戻ろうとしたローが、思い出したように振り返りイッカクに声をかけました。

「イッカク、次の島でコイツのつなぎと靴を調達するまでは、
　お前のを貸してやれ。」
「えー…、またアタシっすか。」
「お前しか女はいねぇんだから、仕方ねぇだろ。」
「…アイアイ、キャプテン。」

イッカクは、不貞腐れたように答えました。