ここは、偉大なる航路後半、新世界。「四皇」が君臨し、常識外れな事象もさらに増す、世界で最も航海が困難な海だ。
今日もまた至るところで、恐ろしい能力を有した者たちが生死をかけて戦い、そのうちの半数以上が夢半ばで散っていく。
なんと滑稽だろう。
人間とは、本当に愚かな生き物だ。
心なんてものがあるから、人は夢を見る。
夢を見るから、己の実力を計る冷静さを失い、立ちはだかる大きな壁を前に絶望する羽目になる。
そして、そこを1人では越えるのは無理だと悟ったその時、次に人間は誰かを愛そうとし始める。
その結果、そのほとんどが己を救うはずだった愛に飲み込まれ、無様に身を滅ぼすのだ。
誰が望む、そんな災いしか生まないものなんて。
誰が欲しがる、そんな苦しいだけの感情なんて。
なぁ、お前だって、要らないだろう？