◇75ページ◇心臓の痛み
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優しく髪を撫でてくれる手の感触で、目を覚ました。
ゆっくりと瞼を上げていけば、ベッドの縁に座って、愛おしそうに見つめてくれている総ちゃんがいた。
「やっと起きた?」
「んー…、おはよう…。」
寝ぼけながら起き上がろうとしている私の背中に総ちゃんの手がまわる。
労わるようにそっと身体を起こしてくれる総ちゃんから、もうお昼過ぎだとからかうように言われて驚いた。
そんなに寝てしまったのか。
あぁ、違う。
昨日は全然眠れなかったのだ。
なぜか、胸が苦しくて、ドキドキしてー。
あれは何だったのだろう。
心臓の検査もしてもらった方がいいかもしれない。
「難しい顔してどうした?」
「え?ううん、なんでもないの。」
心配そうに顔を覗き込んだ総ちゃんに、そう言って首を振った私だったけれど、やっぱり心配になって心臓の検査のことをお願いした。
なぜ心臓の検査を追加したいのか総ちゃんは不思議そうにしていたし、心配していたけれど、身体全体を調べておきたいだけだと誤魔化せば、無理やりだったけれど納得してくれた。
まぁ、今はもう胸も苦しくないし、ドキドキもしないから大丈夫だとは思うのだけれどー。
記憶を失った私を大切に愛してくれている総ちゃんの為に、万全の状態でお嫁さんになりたい。
「バイタルチェックに来たよ~。」
病室の扉を叩く音に返事をすれば、いつものように看護師のアンカさんが入って来た。
私が眠っていたことは知っていたみたいで、やっと起きたんだねと笑われてしまった。
早速、私の腕にバイタルを計る機械を取り付けながら、アンカさんがクスクスと笑いながら口を開いた。
「昨日のクリスマス・イヴはとっても素敵な夜を過ごしたのね。」
「え!?いえ…!過ごしてないです!!」
焦った私は、不必要なくらいに大きな声で否定して、激しく首を横に振った。
それに驚いたアンカさんが、私の方を向いて目を丸くしていた。
そして、プッと吹き出した。
「そんなに真っ赤な顔をして否定したって、バレバレだから。」
アンカさんが可笑しそうに言うから、私は慌てて両手で頬を隠した。
赤くなってるつもりなんて、なかったのにー。
「そんなに否定されると、傷つくな。」
総ちゃんが私の髪をクシャリと撫でて、苦笑した。
そうか、総ちゃんとのクリスマス・イヴのことを言われていたのか。
そこで漸く気づいた私は、自分に驚いた。
どうして、クリスマス・イヴの素敵な夜と聞いて、リヴァイさんのことを思い出してしまったのだろう。
一緒にコンビニのケーキを食べただけなのにー。
「あ~…、ごめん。私が素敵なクリスマス・イヴを思い出させちゃったせいかな。
脈拍が凄く速いわ。」
アンカさんが、困ったように眉尻を下げて、口元だけで笑った。
なんと答えればいいか分からなくて、私も苦笑で返した。
それから簡単な問診も終わらせて、アンカさんは病室を出て行った。
「昼飯、どうする?病院食のランチでもいいし、何か頼む?」
「んー。まだお腹空いてない。」
「でも、何か食わねぇと、昼からまた検査だろ?」
総ちゃんはそう言いながら、病室の冷蔵庫を開けた。
そして、入れておいた自分のペットボトルを取り出すときに、ふと何かに気が付いたようだった。
「コンビニのケーキ、1人で食ったの?」
「あ、うん…!夜中に、お腹が空いちゃって…!!」
「夜中にそんなもん食ってねぇで、ちゃんと昼飯食えよ。」
呆れた様に言って、総ちゃんがペットボトルを口につけた。
怪しいと思っている様子がないのに安心して、私はホッと息を吐いた。
『今夜、俺に会ったことも誰にも内緒だ。』
リヴァイさんの声が、私の頭の中でずっと響いていた。
内緒だなんて、悪いことをしているみたいだ。
でも、どうしてだろう。
私も、絶対に総ちゃんにはバレてはいけない気がしていた。
絶対に、絶対に、バレちゃダメー。
頭の中で何度も繰り返す。
ペットボトルを飲むふりをして、私をジッと見ている総ちゃんの視線に、気づかないくらいに。
ゆっくりと瞼を上げていけば、ベッドの縁に座って、愛おしそうに見つめてくれている総ちゃんがいた。
「やっと起きた?」
「んー…、おはよう…。」
寝ぼけながら起き上がろうとしている私の背中に総ちゃんの手がまわる。
労わるようにそっと身体を起こしてくれる総ちゃんから、もうお昼過ぎだとからかうように言われて驚いた。
そんなに寝てしまったのか。
あぁ、違う。
昨日は全然眠れなかったのだ。
なぜか、胸が苦しくて、ドキドキしてー。
あれは何だったのだろう。
心臓の検査もしてもらった方がいいかもしれない。
「難しい顔してどうした?」
「え?ううん、なんでもないの。」
心配そうに顔を覗き込んだ総ちゃんに、そう言って首を振った私だったけれど、やっぱり心配になって心臓の検査のことをお願いした。
なぜ心臓の検査を追加したいのか総ちゃんは不思議そうにしていたし、心配していたけれど、身体全体を調べておきたいだけだと誤魔化せば、無理やりだったけれど納得してくれた。
まぁ、今はもう胸も苦しくないし、ドキドキもしないから大丈夫だとは思うのだけれどー。
記憶を失った私を大切に愛してくれている総ちゃんの為に、万全の状態でお嫁さんになりたい。
「バイタルチェックに来たよ~。」
病室の扉を叩く音に返事をすれば、いつものように看護師のアンカさんが入って来た。
私が眠っていたことは知っていたみたいで、やっと起きたんだねと笑われてしまった。
早速、私の腕にバイタルを計る機械を取り付けながら、アンカさんがクスクスと笑いながら口を開いた。
「昨日のクリスマス・イヴはとっても素敵な夜を過ごしたのね。」
「え!?いえ…!過ごしてないです!!」
焦った私は、不必要なくらいに大きな声で否定して、激しく首を横に振った。
それに驚いたアンカさんが、私の方を向いて目を丸くしていた。
そして、プッと吹き出した。
「そんなに真っ赤な顔をして否定したって、バレバレだから。」
アンカさんが可笑しそうに言うから、私は慌てて両手で頬を隠した。
赤くなってるつもりなんて、なかったのにー。
「そんなに否定されると、傷つくな。」
総ちゃんが私の髪をクシャリと撫でて、苦笑した。
そうか、総ちゃんとのクリスマス・イヴのことを言われていたのか。
そこで漸く気づいた私は、自分に驚いた。
どうして、クリスマス・イヴの素敵な夜と聞いて、リヴァイさんのことを思い出してしまったのだろう。
一緒にコンビニのケーキを食べただけなのにー。
「あ~…、ごめん。私が素敵なクリスマス・イヴを思い出させちゃったせいかな。
脈拍が凄く速いわ。」
アンカさんが、困ったように眉尻を下げて、口元だけで笑った。
なんと答えればいいか分からなくて、私も苦笑で返した。
それから簡単な問診も終わらせて、アンカさんは病室を出て行った。
「昼飯、どうする?病院食のランチでもいいし、何か頼む?」
「んー。まだお腹空いてない。」
「でも、何か食わねぇと、昼からまた検査だろ?」
総ちゃんはそう言いながら、病室の冷蔵庫を開けた。
そして、入れておいた自分のペットボトルを取り出すときに、ふと何かに気が付いたようだった。
「コンビニのケーキ、1人で食ったの?」
「あ、うん…!夜中に、お腹が空いちゃって…!!」
「夜中にそんなもん食ってねぇで、ちゃんと昼飯食えよ。」
呆れた様に言って、総ちゃんがペットボトルを口につけた。
怪しいと思っている様子がないのに安心して、私はホッと息を吐いた。
『今夜、俺に会ったことも誰にも内緒だ。』
リヴァイさんの声が、私の頭の中でずっと響いていた。
内緒だなんて、悪いことをしているみたいだ。
でも、どうしてだろう。
私も、絶対に総ちゃんにはバレてはいけない気がしていた。
絶対に、絶対に、バレちゃダメー。
頭の中で何度も繰り返す。
ペットボトルを飲むふりをして、私をジッと見ている総ちゃんの視線に、気づかないくらいに。