◇56ページ◇母と叔父
Name change
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真冬の肌寒さが、狭いベッドで眠る俺を震わせた。
いつの間にか、寒いときは腕の中の温もりを抱き寄せるのが癖になっていた。
だから、その時も寝ぼけながら名前で暖をとろうとして、腕の中が空になっていることに気が付いたのだ。
まるで冷水でも浴びた様に背中が冷えて、一瞬で目が覚めた。
飛び起きた俺は、暗闇に慣れない目で必死に名前の姿を探した。
でも、シンと静まり返った部屋に、抱きしめて眠ったはずの名前はいなかった。
俺はきっと、まだ少し寝ぼけていたのだと思う。
アンが言った「シンデレラ」という名前が、まるで本当の名前のような気がしていた。
だから。
消えたー。
魔法が解けて、消えたー。
本気でそう信じて、焦った。
扉を蹴破るようにして部屋を飛び出して、階段を駆け下りた。
名前を探さなければー。
俺の頭を支配しているのは、それだけだった。
ドドドドッと大きな音を立てて転がるように階段を降りきった先のリビングは、明かりがついていた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
リビングの炬燵に仲良く向き合って座り暖をとりながら、こんな真夜中にミカンを食べていたらしい名前とケニーが、呆気にとられた顔で、階段を降りて来た俺を見上げた。
漸く、本当の意味で目が覚めた俺も、言葉をなくして呆然と立ちすくんだ。
最初に口を開いたのは、名前だった。
「…怖い夢でも見たんですか?大丈夫ですか?
ギューしましょうか?ケニーさんの方が安心しますか?」
本当に心配そうに、名前がそんなことを訊ねるから、ケニーが思いっきり吹き出した。
そして、腹が痛いと、腹を抱えながら大笑いを始める。
ひどく腹が立った。
「バカか。俺を幾つだと思ってんだ。」
「あ、そうですね。ケニーさんからリヴァイさんの子供の頃の話を聞いてたので
なんだか、小さな子供のような気がしてました。
リヴァイさん、私より年上でした。」
「だいぶな。」
本気でとぼけたことを言っている名前に、ケニーはもう堪えられないとヒーヒー言いながら笑っていた。
それには大いに苛立ったが、とりあえず、名前が消えたわけではないと分かってホッとした。
文句を言われる前に退散するとか何とか言いながら逃げて行くケニーを睨みつけた後、俺は名前の隣に腰を降ろした。
「ケニーから何を聞いたんだ。」
「ご近所づきあいを教えてあげたのは俺だ、とかですかね。」
名前を抱きしめながら、他愛のない話をした。
子供の頃のことや、母やケニーのこと、この家で起こったほんのささいなことを、名前はとても楽しそうに聞いていた。
そのまま、いつの間にか眠ってしまった。
翌朝、炬燵に入ったまま抱き合って眠っている俺と名前を、クシェルとケニーがニヤけた顔で覗き込んでいたなんて、知らなかったし、知りたくもなかった。
「おはよう、クソガキ。良い夢は見れたか。」
名前よりも先に目を覚ました俺が、最初に見たのが名前の寝顔ではなくて、ケニーのムカつくくらいにニヤけた顔だった。
最低最悪の朝だった。
でもきっと、ケニーもガラにもなく、ハシャいでいたのだと思う。
いつの間にか、寒いときは腕の中の温もりを抱き寄せるのが癖になっていた。
だから、その時も寝ぼけながら名前で暖をとろうとして、腕の中が空になっていることに気が付いたのだ。
まるで冷水でも浴びた様に背中が冷えて、一瞬で目が覚めた。
飛び起きた俺は、暗闇に慣れない目で必死に名前の姿を探した。
でも、シンと静まり返った部屋に、抱きしめて眠ったはずの名前はいなかった。
俺はきっと、まだ少し寝ぼけていたのだと思う。
アンが言った「シンデレラ」という名前が、まるで本当の名前のような気がしていた。
だから。
消えたー。
魔法が解けて、消えたー。
本気でそう信じて、焦った。
扉を蹴破るようにして部屋を飛び出して、階段を駆け下りた。
名前を探さなければー。
俺の頭を支配しているのは、それだけだった。
ドドドドッと大きな音を立てて転がるように階段を降りきった先のリビングは、明かりがついていた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
リビングの炬燵に仲良く向き合って座り暖をとりながら、こんな真夜中にミカンを食べていたらしい名前とケニーが、呆気にとられた顔で、階段を降りて来た俺を見上げた。
漸く、本当の意味で目が覚めた俺も、言葉をなくして呆然と立ちすくんだ。
最初に口を開いたのは、名前だった。
「…怖い夢でも見たんですか?大丈夫ですか?
ギューしましょうか?ケニーさんの方が安心しますか?」
本当に心配そうに、名前がそんなことを訊ねるから、ケニーが思いっきり吹き出した。
そして、腹が痛いと、腹を抱えながら大笑いを始める。
ひどく腹が立った。
「バカか。俺を幾つだと思ってんだ。」
「あ、そうですね。ケニーさんからリヴァイさんの子供の頃の話を聞いてたので
なんだか、小さな子供のような気がしてました。
リヴァイさん、私より年上でした。」
「だいぶな。」
本気でとぼけたことを言っている名前に、ケニーはもう堪えられないとヒーヒー言いながら笑っていた。
それには大いに苛立ったが、とりあえず、名前が消えたわけではないと分かってホッとした。
文句を言われる前に退散するとか何とか言いながら逃げて行くケニーを睨みつけた後、俺は名前の隣に腰を降ろした。
「ケニーから何を聞いたんだ。」
「ご近所づきあいを教えてあげたのは俺だ、とかですかね。」
名前を抱きしめながら、他愛のない話をした。
子供の頃のことや、母やケニーのこと、この家で起こったほんのささいなことを、名前はとても楽しそうに聞いていた。
そのまま、いつの間にか眠ってしまった。
翌朝、炬燵に入ったまま抱き合って眠っている俺と名前を、クシェルとケニーがニヤけた顔で覗き込んでいたなんて、知らなかったし、知りたくもなかった。
「おはよう、クソガキ。良い夢は見れたか。」
名前よりも先に目を覚ました俺が、最初に見たのが名前の寝顔ではなくて、ケニーのムカつくくらいにニヤけた顔だった。
最低最悪の朝だった。
でもきっと、ケニーもガラにもなく、ハシャいでいたのだと思う。