◇51ページ◇楽しい日
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日の昼、ハンガーケースを抱えた男達が部屋にやって来た。
ぞろぞろと運び込んできたのは、ジャンと見たことのある友人達だった。
持って来ていた服がすべてなくなってしまったから、実家から送ってもらうことになったというのは聞いていたが、友人達がやって来るとは思っていなかったから多少驚いた。
「おーい、名前。これ、どこに運べばいいんだ?!」
「こっち~。」
名前は自分の部屋にジャンを案内していく。
その後ろをひょろひょろとした長身の男とガタイのいいこれまたデカい男がついていく。
「お久しぶりです。」
ヘラヘラと笑ったのは、ひょろひょろの長い男だ。
その後ろではガタイのいい男が、これがリヴァイさんの家かと見渡していて、少し気分が悪かった。
まぁそれでも、名前のために貴重な休みを潰して荷物を運んでくれた彼らに紅茶くらいは出してやろうかと、俺はキッチンに向かった。
ティーカップを用意していると、ジャンだけが部屋から出て来た。
「あ、そんなのいいっすよ。俺達、すぐに帰るんで。」
「分かった。」
出来ればすぐに帰って欲しかった俺は、素直にティーカップを棚に戻した。
少しだけジャンが驚いていたが、自分で言ったことの責任は持ってもらわないと困る。
俺はもうひっこめたティーカップをもう一度出すなんて面倒なことをする気はない。
名前と俺の分の紅茶だけは作ろうと茶葉を出していると、カウンターの椅子にジャンが腰を降ろした。
「他の奴らは?」
「クローゼットに服かけるのを手伝わされてます。
アイツ、ガキの頃から人使い荒いんで。」
「…そうか、そりゃご苦労なことだな。」
名前のことなら何でも知っているー。
そんな言い方が気になって、無意識に片眉が上がった。
でも、幼馴染のようだし、付き合いはジャンの方が長い。
今はまだジャンの方が素の名前を知っているかもしれないが、これからは俺の方がきっと知っていく。それでいい。
「それで、俺に何か言いたいことがあるんじゃねぇのか。」
茶葉を入れたポットに沸騰したばかりのお湯を注ぎながら、俺はジャンに言った。
視界の端で、少しだけジャンが狼狽えたのが見えたが、小さく息を吐いてから口を開いた。
「明日、また実家に帰って、結婚の話を破棄してもらうように
お願いしに行くって聞きました。
本気なんですね。アイツも…、リヴァイさんも。」
「あぁ。」
「名前にとっても、名前の家族にとっても、良い縁談なんです。
それを捨てさせるってことは、責任もって名前のことを一生大事にする覚悟があるんすよね。
今後、何があっても。どんな結末になっても。」
ポットに蓋をして、蒸らしを始めていた俺が顔を上げると、怖いくらいに真っすぐな切れ長の目に見据えられた。
そこからは、惚れてる女のことを想っている以上の、まるで家族のような強い想いを感じた。
幼馴染だと聞いていたけれど、もしかしたら、兄妹のように育ってきたのかもしれない。
「覚悟なんて、そんなもんねぇ。」
「は?いい加減な気持ちならー。」
「ただもう、名前が俺に隠してる秘密ごと、名前を放してやる気がないだけだ。
何があっても。」
「・・・それを覚悟って言うんすよ。」
ムスッとして、カウンターに肘をついたジャンが俺から目を反らした。
でもその横顔はどこか嬉しそうで、やっぱり、幼馴染というよりも兄や弟のような愛情を感じた。
「リヴァイさんの元カノ、また何かやらかしそうだったから
こっちで手を打っておきました。もう安心して大丈夫っすよ。」
「何したんだ?」
「まぁ…、俺の魔法っすかね。アイツは、俺の魔法には全然興味ねぇみたいだけど。」
「それは残念だったな。」
フッと鼻で笑うと、ジャンはまた不機嫌そうにムスッと眉を顰めた。
そろそろ蒸らすのも終わらせていい頃合いだ。
ティーカップに紅茶を注ぐと、ふわりと甘くて苦い香りが広がった。
「もし、何かあったら連絡ください。これ、俺の番号です。」
ジャンは電話番号を書いたメモを、ジャケットのポケットから取り出してカウンターに置いた。
ちょうどそこに部屋から名前達が出て来てしまって、タイミングを逃してしまった。
ぞろぞろと運び込んできたのは、ジャンと見たことのある友人達だった。
持って来ていた服がすべてなくなってしまったから、実家から送ってもらうことになったというのは聞いていたが、友人達がやって来るとは思っていなかったから多少驚いた。
「おーい、名前。これ、どこに運べばいいんだ?!」
「こっち~。」
名前は自分の部屋にジャンを案内していく。
その後ろをひょろひょろとした長身の男とガタイのいいこれまたデカい男がついていく。
「お久しぶりです。」
ヘラヘラと笑ったのは、ひょろひょろの長い男だ。
その後ろではガタイのいい男が、これがリヴァイさんの家かと見渡していて、少し気分が悪かった。
まぁそれでも、名前のために貴重な休みを潰して荷物を運んでくれた彼らに紅茶くらいは出してやろうかと、俺はキッチンに向かった。
ティーカップを用意していると、ジャンだけが部屋から出て来た。
「あ、そんなのいいっすよ。俺達、すぐに帰るんで。」
「分かった。」
出来ればすぐに帰って欲しかった俺は、素直にティーカップを棚に戻した。
少しだけジャンが驚いていたが、自分で言ったことの責任は持ってもらわないと困る。
俺はもうひっこめたティーカップをもう一度出すなんて面倒なことをする気はない。
名前と俺の分の紅茶だけは作ろうと茶葉を出していると、カウンターの椅子にジャンが腰を降ろした。
「他の奴らは?」
「クローゼットに服かけるのを手伝わされてます。
アイツ、ガキの頃から人使い荒いんで。」
「…そうか、そりゃご苦労なことだな。」
名前のことなら何でも知っているー。
そんな言い方が気になって、無意識に片眉が上がった。
でも、幼馴染のようだし、付き合いはジャンの方が長い。
今はまだジャンの方が素の名前を知っているかもしれないが、これからは俺の方がきっと知っていく。それでいい。
「それで、俺に何か言いたいことがあるんじゃねぇのか。」
茶葉を入れたポットに沸騰したばかりのお湯を注ぎながら、俺はジャンに言った。
視界の端で、少しだけジャンが狼狽えたのが見えたが、小さく息を吐いてから口を開いた。
「明日、また実家に帰って、結婚の話を破棄してもらうように
お願いしに行くって聞きました。
本気なんですね。アイツも…、リヴァイさんも。」
「あぁ。」
「名前にとっても、名前の家族にとっても、良い縁談なんです。
それを捨てさせるってことは、責任もって名前のことを一生大事にする覚悟があるんすよね。
今後、何があっても。どんな結末になっても。」
ポットに蓋をして、蒸らしを始めていた俺が顔を上げると、怖いくらいに真っすぐな切れ長の目に見据えられた。
そこからは、惚れてる女のことを想っている以上の、まるで家族のような強い想いを感じた。
幼馴染だと聞いていたけれど、もしかしたら、兄妹のように育ってきたのかもしれない。
「覚悟なんて、そんなもんねぇ。」
「は?いい加減な気持ちならー。」
「ただもう、名前が俺に隠してる秘密ごと、名前を放してやる気がないだけだ。
何があっても。」
「・・・それを覚悟って言うんすよ。」
ムスッとして、カウンターに肘をついたジャンが俺から目を反らした。
でもその横顔はどこか嬉しそうで、やっぱり、幼馴染というよりも兄や弟のような愛情を感じた。
「リヴァイさんの元カノ、また何かやらかしそうだったから
こっちで手を打っておきました。もう安心して大丈夫っすよ。」
「何したんだ?」
「まぁ…、俺の魔法っすかね。アイツは、俺の魔法には全然興味ねぇみたいだけど。」
「それは残念だったな。」
フッと鼻で笑うと、ジャンはまた不機嫌そうにムスッと眉を顰めた。
そろそろ蒸らすのも終わらせていい頃合いだ。
ティーカップに紅茶を注ぐと、ふわりと甘くて苦い香りが広がった。
「もし、何かあったら連絡ください。これ、俺の番号です。」
ジャンは電話番号を書いたメモを、ジャケットのポケットから取り出してカウンターに置いた。
ちょうどそこに部屋から名前達が出て来てしまって、タイミングを逃してしまった。