◇4ページ◇お試し恋人の条件
Name change
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居候させるにあたって、条件を決めなくてはならない。
生活していく中で増えてはいくだろうが、まずは最低限のルールが必要だ。
そこで、俺は紙とペンを用意して、名前をリビングに呼びつけた。
ソファに座っている俺に対して、名前はテーブルを挟んだ向こうでカーペットの上に腰をおろして、広げた紙を覗き込んでいた。
隣に座るな、不要に近寄るなー。
食器の後片付けの後に俺が出した指示に従っているらしかった。
いい心がけだ。
それにしてもー。
(仔犬みてぇだな。)
ローテーブルに小さな両手をちょこんと乗せて、広げた紙を覗き込んでいる姿は、まるで仔犬のようだった。
仔犬でも拾ってきたと思うことにするのもいいかもしれない。
部屋の掃除もして、食事も作れる仔犬なら、めんどくさくない。
「それで、お前の歳は?」
「幾つだと思います?」
名前が目をキラキラして、逆に訊ねてくる。
ここを合コンの場か何かと勘違いしているのではないだろうか。
仮にここが合コンだとしても、一番めんどくさいタイプのやつだ。
「3歳。」
「ブッブー、残念でした~!
私、そんなに若く見えます?」
名前が大袈裟に両手でバツを作った。
それくらい分かっている。
脳みそが幼児レベルという嫌味だ。
3歳と言われて、若く見えると解釈する女がいるとは思ってもいなかったのだ。
そんなに肌がピチピチかと、ワクワクした様子で自分の頬を指でつつき出した名前を無視して、条件を考えることに集中することに切り替える。
まずは、さっきも言った通り、俺がいない間の掃除をしてもらおうー。
そう考えてから、ふ、と疑問が湧く。
「お前、学生か?社会人か?」
「ニートですよ~。」
「…働け。うちに住むなら、生活費を入れろ。
食費だって2人分かかるし、昼間もお前が家にいれば光熱費も余計にかかるだろ。」
「え~…。」
「俺の指示に従えねぇならー。」
「働きます!明日から、就活頑張ります!!」
「チッ。」
ここで文句を言ってくれれば、追い出す口実が出来たのにー。
一人暮らしがどれほど気が楽でいいものかを知ってしまった今、これから毎日名前が家にいるのだと思うと気が滅入ってくる。
だが、一緒に住める気になってワクワクしている名前に、やっぱりナシだとは言いづらかった。
「とりあえず、就職先が決まるまでは、部屋の掃除と食事の準備はてめぇの仕事だ。」
「了解!」
何でもするー、と宣言した通り、名前はどんな条件を出しても気持ちのいいくらいの肯定の返事をした。
とりあえずは、夕食のときに出した条件と生活する上での起床時間や就寝時間、家事の役割分担を決めた。
後は生活していく上で必要な条件を、俺が好きな時に好きなように付け足していくということで話はまとまった。
「それで、俺のプライバシーを垂れ流しまくるクソみてぇな魔法が解けるのはいつだ。」
条件を書いた紙をリビングの壁に貼り付けた俺は、ソファに腰をおろしながら訊ねた。
スマホで壁に貼られた紙の写真を撮りながら名前が適当に答える。
「ん~、いつですかねぇ?私にもわかんないです。」
「は?」
「3ヵ月は魔法が続いたらいいなぁと思ってるんですけどね~。
まぁ、長くて3ヵ月だと考えていてくれれば大丈夫ですよ~。」
「…よく分からねぇが、遅くとも年末年始には出てってくれるってことだな。」
「年末ですね。さすがに年始はないです。
新年には私はもういないと思いますよ~。寂しくなりますね~。」
スマホで写真を撮り終えたらしい名前が、振り返って眉尻を下げる。
「ならねーよ。」
「アハハ、そうでした~。寂しいのは私だけでした~。」
冷たく突き放したのに、やっぱり名前は全く気にする様子もなく笑った。
いや、俺はあのとき、名前がすごく嬉しそうに見えたんだ。
教えてくれよ
君は一体どんな気持ちで魔法が解ける日を待っていたの
嘘つき、寂しいのは俺の方じゃないか…
リヴァイさんの家で一緒に暮らすための条件を出された。
これさえ守れば、そばにいられると思ったら嬉しくて仕方がなかった。
だから、私は、スマホで条件の写真を撮るフリをして、お別れの日を待ち遠しく思うリヴァイさんに背を向けたの。
あのね、日記さん。
魔法が解ける日なんて、私は待っていたことなんかないんだよ。
いつだって、永遠に続けばいいのにと願ってた。
でも、解けない魔法なんてないの。
太陽が昇っては、沈んでいくくらいに絶対に、すべてのことには終わりがあるの。
とても残念だけどね、仕方ないよ。
分かってね、仕方がないの。
さぁ、だからこそ、今は楽しまなくちゃ。
大好きな人のそばにいられる魔法の時間を…
そして、魔法が解けたとき、リヴァイさんが寂しい思いをしませんように。
私は大好きな人を悲しませたくてここにいるわけじゃない。
生活していく中で増えてはいくだろうが、まずは最低限のルールが必要だ。
そこで、俺は紙とペンを用意して、名前をリビングに呼びつけた。
ソファに座っている俺に対して、名前はテーブルを挟んだ向こうでカーペットの上に腰をおろして、広げた紙を覗き込んでいた。
隣に座るな、不要に近寄るなー。
食器の後片付けの後に俺が出した指示に従っているらしかった。
いい心がけだ。
それにしてもー。
(仔犬みてぇだな。)
ローテーブルに小さな両手をちょこんと乗せて、広げた紙を覗き込んでいる姿は、まるで仔犬のようだった。
仔犬でも拾ってきたと思うことにするのもいいかもしれない。
部屋の掃除もして、食事も作れる仔犬なら、めんどくさくない。
「それで、お前の歳は?」
「幾つだと思います?」
名前が目をキラキラして、逆に訊ねてくる。
ここを合コンの場か何かと勘違いしているのではないだろうか。
仮にここが合コンだとしても、一番めんどくさいタイプのやつだ。
「3歳。」
「ブッブー、残念でした~!
私、そんなに若く見えます?」
名前が大袈裟に両手でバツを作った。
それくらい分かっている。
脳みそが幼児レベルという嫌味だ。
3歳と言われて、若く見えると解釈する女がいるとは思ってもいなかったのだ。
そんなに肌がピチピチかと、ワクワクした様子で自分の頬を指でつつき出した名前を無視して、条件を考えることに集中することに切り替える。
まずは、さっきも言った通り、俺がいない間の掃除をしてもらおうー。
そう考えてから、ふ、と疑問が湧く。
「お前、学生か?社会人か?」
「ニートですよ~。」
「…働け。うちに住むなら、生活費を入れろ。
食費だって2人分かかるし、昼間もお前が家にいれば光熱費も余計にかかるだろ。」
「え~…。」
「俺の指示に従えねぇならー。」
「働きます!明日から、就活頑張ります!!」
「チッ。」
ここで文句を言ってくれれば、追い出す口実が出来たのにー。
一人暮らしがどれほど気が楽でいいものかを知ってしまった今、これから毎日名前が家にいるのだと思うと気が滅入ってくる。
だが、一緒に住める気になってワクワクしている名前に、やっぱりナシだとは言いづらかった。
「とりあえず、就職先が決まるまでは、部屋の掃除と食事の準備はてめぇの仕事だ。」
「了解!」
何でもするー、と宣言した通り、名前はどんな条件を出しても気持ちのいいくらいの肯定の返事をした。
とりあえずは、夕食のときに出した条件と生活する上での起床時間や就寝時間、家事の役割分担を決めた。
後は生活していく上で必要な条件を、俺が好きな時に好きなように付け足していくということで話はまとまった。
「それで、俺のプライバシーを垂れ流しまくるクソみてぇな魔法が解けるのはいつだ。」
条件を書いた紙をリビングの壁に貼り付けた俺は、ソファに腰をおろしながら訊ねた。
スマホで壁に貼られた紙の写真を撮りながら名前が適当に答える。
「ん~、いつですかねぇ?私にもわかんないです。」
「は?」
「3ヵ月は魔法が続いたらいいなぁと思ってるんですけどね~。
まぁ、長くて3ヵ月だと考えていてくれれば大丈夫ですよ~。」
「…よく分からねぇが、遅くとも年末年始には出てってくれるってことだな。」
「年末ですね。さすがに年始はないです。
新年には私はもういないと思いますよ~。寂しくなりますね~。」
スマホで写真を撮り終えたらしい名前が、振り返って眉尻を下げる。
「ならねーよ。」
「アハハ、そうでした~。寂しいのは私だけでした~。」
冷たく突き放したのに、やっぱり名前は全く気にする様子もなく笑った。
いや、俺はあのとき、名前がすごく嬉しそうに見えたんだ。
教えてくれよ
君は一体どんな気持ちで魔法が解ける日を待っていたの
嘘つき、寂しいのは俺の方じゃないか…
リヴァイさんの家で一緒に暮らすための条件を出された。
これさえ守れば、そばにいられると思ったら嬉しくて仕方がなかった。
だから、私は、スマホで条件の写真を撮るフリをして、お別れの日を待ち遠しく思うリヴァイさんに背を向けたの。
あのね、日記さん。
魔法が解ける日なんて、私は待っていたことなんかないんだよ。
いつだって、永遠に続けばいいのにと願ってた。
でも、解けない魔法なんてないの。
太陽が昇っては、沈んでいくくらいに絶対に、すべてのことには終わりがあるの。
とても残念だけどね、仕方ないよ。
分かってね、仕方がないの。
さぁ、だからこそ、今は楽しまなくちゃ。
大好きな人のそばにいられる魔法の時間を…
そして、魔法が解けたとき、リヴァイさんが寂しい思いをしませんように。
私は大好きな人を悲しませたくてここにいるわけじゃない。