◇48ページ◇信じる
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
窓から朝日が差し込んで、ローテーブルの上に並べられた写真を照らした。
ソファに座って頭を抱え、俺は眠れずに夜を過ごした。
昨日の夜、電話を鳴らして俺を呼んでいたのは名前だった。
気づいたときにはもう遅かったようで、かけ直しても名前は出なかった。
それから、何度もかけ直しているけれど、スマホの電源が切れているようで、繋がりすらしなくなってしまった。
あのとき、どうして、どうせ名前じゃないと決めつけてしまったのか。
ため息をこぼしたとき、スマホがバイブを鳴らした。
急いで確認すると、メッセージを送ってきたのはアンだった。
嫌な気分を思い出して、憂鬱になった。
【10時にシーナ駅だよ。忘れないでね。】
トーク画面を開かずとも、ポップアップに表示されたメッセージを読んで、そういえばそんな約束をさせられたのだと思い出した。
魔法の世界にいる名前の元へ連れて行ってくれるんだったっけ。
そこに行けば、名前が俺に何を隠しているのかを知れるのか。
そして、帰ってくるのを待つことも出来ずに正体を暴こうとした俺はきっと、もう二度と名前を抱きしめられなくなるのだと思う。
名前が許したとしても、そんな惨めで最低な自分を誰よりも俺自身が許せないからー。
≪それでいいじゃねぇか。もう別れちまえよ。
どうせ魔法が解けるまでって約束だったんだ。きっと魔法が解けて
お前に飽きちまったんだよ。最初からこうなることは分かってただろ?≫
弱い俺が、強気に俺に話しかけた。
確かにそうだと思った。
きっと、他に男を見つけたのだ。
それが、あの長身の黒髪の男なのだ。
騙されたとか、そんなことは思わない。
ただの心変わりだ。よくあることだ。仕方ない。
立ち上がった俺は、ローテーブルの上に置いていた写真を拾い上げた。
それは、長身の男に手を引かれて歩いている名前の姿を写した写真だった。
破り捨てようとして、1㎝ほど切れ目が入ったところで俺の手は止まった。
『名前を信じて、待ってやってくれ。』
ふ、とエルヴィンの言葉を思い出した。
それが、俺に大切なことを気づかせた。
慌てた様に座って、テーブルの上に並べた見たくもない写真を1枚、1枚食い入るように見た。
目を凝らした。
そして、俺は確信した。
名前は、俺を裏切ってなんかいないし、騙してだっていない。
だって、この写真の中にいる名前はどれも笑顔じゃない。
俺に見せる底抜けに明るい笑顔の欠片もなく、とてもツラそうにしている。
どうして昨日、気づいてやれなかったのだろうか。
きっと今、とてもツラい思いをしている。
自分と家族の問題だと言っていたが、それにこの男が関係しているのか。
そんなことを考えていると、アンから電話が来た。
煩わしくは思いながらも、俺も言わなければならないことがあったから電話に出た。
『おはよう、リヴァイ。今日の約束はちゃんと覚えてるわよね?
返事がないから心配になって電話しちゃった。』
「俺は行かねぇ。」
『無理しないでよ。本当は知りたいんでしょう?
あの娘が何を隠しているのか、どうしてあなたに何も話してくれないのか。』
「あぁ、知りてぇな。死ぬほど知りたい。」
『珍しく素直じゃない。それなら、私と一緒にー。』
「でも、アイツが知られたくねぇと思ってるなら、知らないままでいい。」
『…なにそれ。カッコつけないでよ!
本当は知りたいくせに!!』
アンが声を荒げた。
それでも俺の頭は、驚くほどに冷静だった。
声を荒げて感情的になるのは簡単だ。
そうすれば、名前が隠していることを知れて、俺はスッキリ出来たのかもしれない。
でも、俺が本当に知りたいのはそれじゃない。
昨日の夜は、俺を裏切っている証拠にしか見えなかった写真が今、名前の気持ちが確かに俺にあると教えてくれていた。
名前を愛しているという自分の気持ち、そして、名前の気持ちをちゃんと知っていれば、それでいい。
「どうしても知りたかったら名前に訊く。
そして、アイツが話してもいいと思うまで待つ。
少なくともお前から聞くことじゃない。」
一方的に言って、電話を切った。
アンはまだ何かを喚いていたけれど無視をした。
そして、電話番号を着信拒否に設定した。
もう二度と元恋人に惑わされるのはやめよう。信じたい人を信じよう。そう決めた。
俺は、悪意しか感じない写真を雑にまとめると破り捨てた。
君を愛してはいけないと頭が理解していても
君を愛することをどうしても止められないと心が叫ぶんだ
ソファに座って頭を抱え、俺は眠れずに夜を過ごした。
昨日の夜、電話を鳴らして俺を呼んでいたのは名前だった。
気づいたときにはもう遅かったようで、かけ直しても名前は出なかった。
それから、何度もかけ直しているけれど、スマホの電源が切れているようで、繋がりすらしなくなってしまった。
あのとき、どうして、どうせ名前じゃないと決めつけてしまったのか。
ため息をこぼしたとき、スマホがバイブを鳴らした。
急いで確認すると、メッセージを送ってきたのはアンだった。
嫌な気分を思い出して、憂鬱になった。
【10時にシーナ駅だよ。忘れないでね。】
トーク画面を開かずとも、ポップアップに表示されたメッセージを読んで、そういえばそんな約束をさせられたのだと思い出した。
魔法の世界にいる名前の元へ連れて行ってくれるんだったっけ。
そこに行けば、名前が俺に何を隠しているのかを知れるのか。
そして、帰ってくるのを待つことも出来ずに正体を暴こうとした俺はきっと、もう二度と名前を抱きしめられなくなるのだと思う。
名前が許したとしても、そんな惨めで最低な自分を誰よりも俺自身が許せないからー。
≪それでいいじゃねぇか。もう別れちまえよ。
どうせ魔法が解けるまでって約束だったんだ。きっと魔法が解けて
お前に飽きちまったんだよ。最初からこうなることは分かってただろ?≫
弱い俺が、強気に俺に話しかけた。
確かにそうだと思った。
きっと、他に男を見つけたのだ。
それが、あの長身の黒髪の男なのだ。
騙されたとか、そんなことは思わない。
ただの心変わりだ。よくあることだ。仕方ない。
立ち上がった俺は、ローテーブルの上に置いていた写真を拾い上げた。
それは、長身の男に手を引かれて歩いている名前の姿を写した写真だった。
破り捨てようとして、1㎝ほど切れ目が入ったところで俺の手は止まった。
『名前を信じて、待ってやってくれ。』
ふ、とエルヴィンの言葉を思い出した。
それが、俺に大切なことを気づかせた。
慌てた様に座って、テーブルの上に並べた見たくもない写真を1枚、1枚食い入るように見た。
目を凝らした。
そして、俺は確信した。
名前は、俺を裏切ってなんかいないし、騙してだっていない。
だって、この写真の中にいる名前はどれも笑顔じゃない。
俺に見せる底抜けに明るい笑顔の欠片もなく、とてもツラそうにしている。
どうして昨日、気づいてやれなかったのだろうか。
きっと今、とてもツラい思いをしている。
自分と家族の問題だと言っていたが、それにこの男が関係しているのか。
そんなことを考えていると、アンから電話が来た。
煩わしくは思いながらも、俺も言わなければならないことがあったから電話に出た。
『おはよう、リヴァイ。今日の約束はちゃんと覚えてるわよね?
返事がないから心配になって電話しちゃった。』
「俺は行かねぇ。」
『無理しないでよ。本当は知りたいんでしょう?
あの娘が何を隠しているのか、どうしてあなたに何も話してくれないのか。』
「あぁ、知りてぇな。死ぬほど知りたい。」
『珍しく素直じゃない。それなら、私と一緒にー。』
「でも、アイツが知られたくねぇと思ってるなら、知らないままでいい。」
『…なにそれ。カッコつけないでよ!
本当は知りたいくせに!!』
アンが声を荒げた。
それでも俺の頭は、驚くほどに冷静だった。
声を荒げて感情的になるのは簡単だ。
そうすれば、名前が隠していることを知れて、俺はスッキリ出来たのかもしれない。
でも、俺が本当に知りたいのはそれじゃない。
昨日の夜は、俺を裏切っている証拠にしか見えなかった写真が今、名前の気持ちが確かに俺にあると教えてくれていた。
名前を愛しているという自分の気持ち、そして、名前の気持ちをちゃんと知っていれば、それでいい。
「どうしても知りたかったら名前に訊く。
そして、アイツが話してもいいと思うまで待つ。
少なくともお前から聞くことじゃない。」
一方的に言って、電話を切った。
アンはまだ何かを喚いていたけれど無視をした。
そして、電話番号を着信拒否に設定した。
もう二度と元恋人に惑わされるのはやめよう。信じたい人を信じよう。そう決めた。
俺は、悪意しか感じない写真を雑にまとめると破り捨てた。
君を愛してはいけないと頭が理解していても
君を愛することをどうしても止められないと心が叫ぶんだ