◇39ページ◇恋人のいるクリスマス・イヴ
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「いつも真剣だな。」
クリスマス目前の週末、俺は、名前と一緒に近所のスーパーにやって来ていた。
3ヵ月前までは、いつも1人で適当に目に入ったものを買っていたのに、今では、荷物持ちの俺が持つ買い物カゴの中に、名前が厳選したものが入れられていくのが、当然の流れになっていて、不思議な感覚になる。
今日も、名前は、どれも同じに見えるジャガイモをあらゆる角度から見て観察をしている。
「リヴァイさんが口にするものですからね、特に良いものでないと。」
名前がジャガイモから目を離さずに答えた。
そんなことを考えながら選んでいたのかと驚いて、可笑しな理由に思わず苦笑が漏れた。
そこを見逃さなかったらしい名前が、特に良いものと判断したらしいジャガイモをカゴに入れた後、俺を見て口を尖らせた。
「今、馬鹿にしましたね?」
「いや、有難ぇなと思っただけだ。」
「…ならいいですけど。次は、お肉を選びましょう。」
不服そうにしながらも、名前は、カゴを持っていない方の俺の腕に自分の腕を絡めて、慣れた足取りで精肉コーナーへと向かう。
映画を観た日、様子がおかしかった名前だったけれど、翌日にはもういつもの底抜けに明るい笑顔に戻っていた。
あれから数日、夜も一緒に抱き合って眠っているし、名前に変わった様子はなかった。
スーパーの店内を無駄なく歩き回って必要なものを手に入れて店を出て駐車場にとめた車に向かった。
そして、買ったばかりの荷物を後部座席に乗せて、俺は運転席に座った。
助手席に乗った名前がシートベルトを締めたのを確認して、アクセルを踏んだ。
「私、こうやってリヴァイさんと普通過ぎる買い物をするのが夢だったんです。
今、すごく幸せです。」
帰りの車の中、名前は嬉しそうに頬を緩めた。
普通過ぎる、というその通りな表現が余計に、何でもない毎日の幸せを表しているようだった。
「普通じゃないのは好きじゃねぇか?」
「んー。リヴァイさんとだったら、何だって好きですよ。
でも、普通じゃないって、たとえば何ですか?」
「今年のクリスマスは運よく土曜らしい。
どうせだ、泊りがけで少し特別なデートをしねぇか?」
名前からの返事はなかった。
どうしたのだろうかと思って、チラりと隣を見てみると、驚いたらしく目を見開いたまま固まっていた。
タイミングよく赤信号で車が止まって、俺は名前の頬をつねってみた。
ハッとした顔をして、名前が漸く息を吸った。
「クリスマスデートですかっ!」
名前が飛び跳ねるような声を上げた。
やっと時間が動き出したらしい。
嬉しそうな反応に、俺の方が嬉しくなった。
「映画に連れてってやると言って、それもまだ行けてねぇしな。
午前中は映画を観に行くのもいい。好きなとこに連れてってやる。
いつも俺のために頑張ってくれてる名前に褒美だ。」
「…っ、嬉しいです…!今年のクリスマスは、生まれてきて一番幸せなクリスマスです!!」
「まだ早ぇよ。クリスマスを過ごしてから感想を言ってくれ。」
苦笑する俺に、名前は、一緒に過ごせるだけで最高に幸せであることは決まっていたのだと熱弁し始めた。
恋人がいるイベントなんて、何かをしてやらなければならないというプレッシャーで面倒なだけだと思っていた。
世の男達は1年中何かしらのイベントに追われて本当によくやると感心していたのだ。
でも、名前と恋人になって分かった。
何かをしてやらなければ、ではない。何かをしてやりたい、と思ってしまうのだ。
大切な彼女の笑顔が見たい、ただそれだけだった。
「クリスマスがもっと楽しみになりました!」
「ならよかった。」
信号が青になり、俺はまたアクセルを踏んだ。
助手席では、観たい映画がたくさんあるから、クリスマスまでにどれにするかを決めなくてはならない、と名前が嬉しそうに悩んでいた。
「あ、じゃあ、クリスマスのご馳走はイヴに作りますね!
金曜日のお仕事が終わったら、お家でクリスマスパーティーしましょうっ。
リヴァイさんの好物ばーっかりにするので、楽しみにしててくださいね!」
毎日の料理で充分に美味いし、わざわざ頑張ってもらわなくてもよかった。
でも、クリスマスパーティーの話をしている名前が楽しそうで、甘えるのもいいかと思えた。
「あぁ、金曜は必ず定時で終わらせて帰ってくる。」
「頑張ってください。少しだけ期待して待ってます。」
名前が嬉しそうに頷いた。
俺にとっても、ガキの頃以来、久々に楽しみのクリスマスだった。
クリスマス目前の週末、俺は、名前と一緒に近所のスーパーにやって来ていた。
3ヵ月前までは、いつも1人で適当に目に入ったものを買っていたのに、今では、荷物持ちの俺が持つ買い物カゴの中に、名前が厳選したものが入れられていくのが、当然の流れになっていて、不思議な感覚になる。
今日も、名前は、どれも同じに見えるジャガイモをあらゆる角度から見て観察をしている。
「リヴァイさんが口にするものですからね、特に良いものでないと。」
名前がジャガイモから目を離さずに答えた。
そんなことを考えながら選んでいたのかと驚いて、可笑しな理由に思わず苦笑が漏れた。
そこを見逃さなかったらしい名前が、特に良いものと判断したらしいジャガイモをカゴに入れた後、俺を見て口を尖らせた。
「今、馬鹿にしましたね?」
「いや、有難ぇなと思っただけだ。」
「…ならいいですけど。次は、お肉を選びましょう。」
不服そうにしながらも、名前は、カゴを持っていない方の俺の腕に自分の腕を絡めて、慣れた足取りで精肉コーナーへと向かう。
映画を観た日、様子がおかしかった名前だったけれど、翌日にはもういつもの底抜けに明るい笑顔に戻っていた。
あれから数日、夜も一緒に抱き合って眠っているし、名前に変わった様子はなかった。
スーパーの店内を無駄なく歩き回って必要なものを手に入れて店を出て駐車場にとめた車に向かった。
そして、買ったばかりの荷物を後部座席に乗せて、俺は運転席に座った。
助手席に乗った名前がシートベルトを締めたのを確認して、アクセルを踏んだ。
「私、こうやってリヴァイさんと普通過ぎる買い物をするのが夢だったんです。
今、すごく幸せです。」
帰りの車の中、名前は嬉しそうに頬を緩めた。
普通過ぎる、というその通りな表現が余計に、何でもない毎日の幸せを表しているようだった。
「普通じゃないのは好きじゃねぇか?」
「んー。リヴァイさんとだったら、何だって好きですよ。
でも、普通じゃないって、たとえば何ですか?」
「今年のクリスマスは運よく土曜らしい。
どうせだ、泊りがけで少し特別なデートをしねぇか?」
名前からの返事はなかった。
どうしたのだろうかと思って、チラりと隣を見てみると、驚いたらしく目を見開いたまま固まっていた。
タイミングよく赤信号で車が止まって、俺は名前の頬をつねってみた。
ハッとした顔をして、名前が漸く息を吸った。
「クリスマスデートですかっ!」
名前が飛び跳ねるような声を上げた。
やっと時間が動き出したらしい。
嬉しそうな反応に、俺の方が嬉しくなった。
「映画に連れてってやると言って、それもまだ行けてねぇしな。
午前中は映画を観に行くのもいい。好きなとこに連れてってやる。
いつも俺のために頑張ってくれてる名前に褒美だ。」
「…っ、嬉しいです…!今年のクリスマスは、生まれてきて一番幸せなクリスマスです!!」
「まだ早ぇよ。クリスマスを過ごしてから感想を言ってくれ。」
苦笑する俺に、名前は、一緒に過ごせるだけで最高に幸せであることは決まっていたのだと熱弁し始めた。
恋人がいるイベントなんて、何かをしてやらなければならないというプレッシャーで面倒なだけだと思っていた。
世の男達は1年中何かしらのイベントに追われて本当によくやると感心していたのだ。
でも、名前と恋人になって分かった。
何かをしてやらなければ、ではない。何かをしてやりたい、と思ってしまうのだ。
大切な彼女の笑顔が見たい、ただそれだけだった。
「クリスマスがもっと楽しみになりました!」
「ならよかった。」
信号が青になり、俺はまたアクセルを踏んだ。
助手席では、観たい映画がたくさんあるから、クリスマスまでにどれにするかを決めなくてはならない、と名前が嬉しそうに悩んでいた。
「あ、じゃあ、クリスマスのご馳走はイヴに作りますね!
金曜日のお仕事が終わったら、お家でクリスマスパーティーしましょうっ。
リヴァイさんの好物ばーっかりにするので、楽しみにしててくださいね!」
毎日の料理で充分に美味いし、わざわざ頑張ってもらわなくてもよかった。
でも、クリスマスパーティーの話をしている名前が楽しそうで、甘えるのもいいかと思えた。
「あぁ、金曜は必ず定時で終わらせて帰ってくる。」
「頑張ってください。少しだけ期待して待ってます。」
名前が嬉しそうに頷いた。
俺にとっても、ガキの頃以来、久々に楽しみのクリスマスだった。