◇35ページ◇嫉妬≦好き
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取引先やお偉い方への挨拶は、全面的にエルド達に任せた。
目が合ってしまってどうしても必要な時だけ、復職した報告も兼ねて簡単な挨拶をして乗り切った。
だから、パーティーのほとんどを、デザートばかりが並ぶテーブルのすぐ隣で、ケーキを何個も食べる名前を眺めながら過ごした。
そんなに食べて腹が痛くならないのか心配だったが、ノルマ10個までまだまだ足りないとか言って、無理にでも口に運んでいた。
よく分からないが、どうしてもケーキを最低10個食わないといけないらしかった。
「やぁ、リヴァイくん。やっと見つけたよ。」
生クリームの上に乗っていた苺を苦しそうに口に運ぶ名前を見ていたら、後ろから声をかけられた。
嫌な予感がして振り返れば、思った通り、政治家のバルトだった。
隣には、自慢の一人娘を連れていた。
「ザックレー社長から、君がパーティーに参加すると聞いてね。
あぁ、この娘は私の娘なんだ。ほら、リヴァイさんにご挨拶を。」
「初めまして、ナナです。どうぞよろしく。」
バルトの娘、ナナが、わざとらしいくらいに丁寧にお辞儀をすると、大きく開いた胸元からふたつの膨らみが落ちてきそうだった。
身体のラインを強調するホステスのような深紅のドレスは、ひどく場違いで、下品に見えた。
このパーティーには男を探しに来たと身体全体で訴えているようで、生理的に受け付けない。
「私の娘にしては器量の良い娘でね。引く手あまたでいろんな男に求婚されるんだが
どうも理想が高いらしい。だが、君の話をすると是非会ってみたいと言ってね。
どうだい?少し、2人で話してみないかい?」
バルトは、自慢で仕方がないらしい下品な娘を勧めて来た。
だから、パーティーは嫌なのだ。
年頃の娘がいるお偉い方は、まるでそうしないといけないという法律でもあるかのように、俺に見合いのようなことをさせようと迫ってくる。
それを分かっていて、ザックレーは俺をパーティに参加させたがった。
あわよくば、それで契約をうまくいかせようと考えているのがみえみえだった。
お偉い方達も30を過ぎた独身の男に婚期が近づいた娘を貰って欲しいのかもしれないが、俺にだって選ぶ権利はあるはずだ。
「悪ぃが、俺はー。」
「リヴァイさん、もうこれ以上は無理です。一旦、ケーキから離れて
辛いものを食べてから、ケーキにリベンジを・・・・。」
ちょうどタイミングよく、名前が俺に話しかけてきた。
そしてすぐに、俺と話していたバルトとその娘のナナに気が付いたようだった。
若い女が俺に声をかけてきて、バルトとナナの表情が強張ったのが分かった。
やっぱり、名前を連れてきてよかった。
ここでちゃんと、恋人がいると宣言して、くだらない見合い話を今後一切終わりにさせるつもりだった。
「すみません、お話の途中だったんですね。お邪魔しました。」
「いや、ここにいていい。ちょうどいいから、お前のことを紹介させてくれ。」
すぐに引っ込もうとした名前を引き留めて、隣に立たせた。
少し不安そうにしながら、名前は俺をチラリと見た後に、バルトとナナと向き合った。
「リヴァイくん、その女性はどちら様かな?」
「コイツは、俺のー。」
「待って、先に声をかけてきたのは私達だもの。
私から自己紹介させてくださる?」
名前を恋人だと紹介しようとした俺の言葉を遮って、ナナが口を挟んだ。
そして、不自然なくらいに口の端を上げた笑顔を浮かべて、自己紹介を始めた。
「はじめまして。ナナと申します。隣にいるのは私の父なの。
厚労省のバルトって聞いたら、分かるかしら?それとも、このパーティーの意味も分からずに
ケーキに夢中になってるあなたには政治の話は難し過ぎる?」
「こらこら、あまりいじめるんじゃないよ。」
ナナが小馬鹿にしたように言えば、バルトが面白そうに笑った。
人を見下すばかりで、本当に似た者親子だ。
どう反応すればいいか分からない様子の名前は、困った顔をして俺に助けを求めた。
そこをすかさずナナが意地悪くせめた。
「あら、いいわね。政治なんて分からないって顔をしたら、可愛がってもらえるんだものね。
でも、それは今のうちだけよ?私みたいに、若いうちからしっかりと
知性と教養を身につけなくちゃね。すぐに誰も相手をしてくれなくなるわよ?」
ナナが自慢気に鼻を高くした。
その下品なドレスを堂々と着こなせる脳みそのどこに知性と教養があるのか、俺にはサッパリわからなかったが、バルトは「その通りだ。」と感心したように何度も頷いていた。
「素敵な男性っていうのは、結局、自分と釣り合う女の元へいくんだから。
リヴァイさんも今から、私と結婚を前提にしたお付き合いをしようってお話をしていたところなのよ。」
「何を言ってー。」
「だから私は、リヴァイさんの未来の婚約者みたいなものかしら。
それで、あなたはリヴァイさんの何かしら?」
俺が口を挟む隙も与えずに、ナナが勝手なことを言った。
名前に嫌な思いをさせてしまった。
そう思って、すぐに訂正しようとしたが、それよりも先に名前が口を開いた。
「それはおめでとうございます。リヴァイさんとは遠い親戚なんです。
今日は美味しいものを食べられると聞いて、連れてきてもらったんですよ。」
名前はとても上手な笑顔を浮かべていた。
ナナのとんでもない自己紹介よりも、名前からスラスラと出て来たその嘘の方が、俺は驚いた。信じられなかった。
「それじゃ、お兄ちゃん。私はあっちで辛いもの食べてくるね。
さっきエレンが、あっちに信じられないくらい辛いカレーがあったって言ってたから。」
名前は俺にも笑顔を見せると「兄をよろしくお願いします。」ととんでもないことを言って、頭を下げてから立ち去った。
なんだそういうことかー、とバルトはホッとしたような顔をしていた。
俺は、どうして名前があんな嘘を吐いたのか分からなかった。
目が合ってしまってどうしても必要な時だけ、復職した報告も兼ねて簡単な挨拶をして乗り切った。
だから、パーティーのほとんどを、デザートばかりが並ぶテーブルのすぐ隣で、ケーキを何個も食べる名前を眺めながら過ごした。
そんなに食べて腹が痛くならないのか心配だったが、ノルマ10個までまだまだ足りないとか言って、無理にでも口に運んでいた。
よく分からないが、どうしてもケーキを最低10個食わないといけないらしかった。
「やぁ、リヴァイくん。やっと見つけたよ。」
生クリームの上に乗っていた苺を苦しそうに口に運ぶ名前を見ていたら、後ろから声をかけられた。
嫌な予感がして振り返れば、思った通り、政治家のバルトだった。
隣には、自慢の一人娘を連れていた。
「ザックレー社長から、君がパーティーに参加すると聞いてね。
あぁ、この娘は私の娘なんだ。ほら、リヴァイさんにご挨拶を。」
「初めまして、ナナです。どうぞよろしく。」
バルトの娘、ナナが、わざとらしいくらいに丁寧にお辞儀をすると、大きく開いた胸元からふたつの膨らみが落ちてきそうだった。
身体のラインを強調するホステスのような深紅のドレスは、ひどく場違いで、下品に見えた。
このパーティーには男を探しに来たと身体全体で訴えているようで、生理的に受け付けない。
「私の娘にしては器量の良い娘でね。引く手あまたでいろんな男に求婚されるんだが
どうも理想が高いらしい。だが、君の話をすると是非会ってみたいと言ってね。
どうだい?少し、2人で話してみないかい?」
バルトは、自慢で仕方がないらしい下品な娘を勧めて来た。
だから、パーティーは嫌なのだ。
年頃の娘がいるお偉い方は、まるでそうしないといけないという法律でもあるかのように、俺に見合いのようなことをさせようと迫ってくる。
それを分かっていて、ザックレーは俺をパーティに参加させたがった。
あわよくば、それで契約をうまくいかせようと考えているのがみえみえだった。
お偉い方達も30を過ぎた独身の男に婚期が近づいた娘を貰って欲しいのかもしれないが、俺にだって選ぶ権利はあるはずだ。
「悪ぃが、俺はー。」
「リヴァイさん、もうこれ以上は無理です。一旦、ケーキから離れて
辛いものを食べてから、ケーキにリベンジを・・・・。」
ちょうどタイミングよく、名前が俺に話しかけてきた。
そしてすぐに、俺と話していたバルトとその娘のナナに気が付いたようだった。
若い女が俺に声をかけてきて、バルトとナナの表情が強張ったのが分かった。
やっぱり、名前を連れてきてよかった。
ここでちゃんと、恋人がいると宣言して、くだらない見合い話を今後一切終わりにさせるつもりだった。
「すみません、お話の途中だったんですね。お邪魔しました。」
「いや、ここにいていい。ちょうどいいから、お前のことを紹介させてくれ。」
すぐに引っ込もうとした名前を引き留めて、隣に立たせた。
少し不安そうにしながら、名前は俺をチラリと見た後に、バルトとナナと向き合った。
「リヴァイくん、その女性はどちら様かな?」
「コイツは、俺のー。」
「待って、先に声をかけてきたのは私達だもの。
私から自己紹介させてくださる?」
名前を恋人だと紹介しようとした俺の言葉を遮って、ナナが口を挟んだ。
そして、不自然なくらいに口の端を上げた笑顔を浮かべて、自己紹介を始めた。
「はじめまして。ナナと申します。隣にいるのは私の父なの。
厚労省のバルトって聞いたら、分かるかしら?それとも、このパーティーの意味も分からずに
ケーキに夢中になってるあなたには政治の話は難し過ぎる?」
「こらこら、あまりいじめるんじゃないよ。」
ナナが小馬鹿にしたように言えば、バルトが面白そうに笑った。
人を見下すばかりで、本当に似た者親子だ。
どう反応すればいいか分からない様子の名前は、困った顔をして俺に助けを求めた。
そこをすかさずナナが意地悪くせめた。
「あら、いいわね。政治なんて分からないって顔をしたら、可愛がってもらえるんだものね。
でも、それは今のうちだけよ?私みたいに、若いうちからしっかりと
知性と教養を身につけなくちゃね。すぐに誰も相手をしてくれなくなるわよ?」
ナナが自慢気に鼻を高くした。
その下品なドレスを堂々と着こなせる脳みそのどこに知性と教養があるのか、俺にはサッパリわからなかったが、バルトは「その通りだ。」と感心したように何度も頷いていた。
「素敵な男性っていうのは、結局、自分と釣り合う女の元へいくんだから。
リヴァイさんも今から、私と結婚を前提にしたお付き合いをしようってお話をしていたところなのよ。」
「何を言ってー。」
「だから私は、リヴァイさんの未来の婚約者みたいなものかしら。
それで、あなたはリヴァイさんの何かしら?」
俺が口を挟む隙も与えずに、ナナが勝手なことを言った。
名前に嫌な思いをさせてしまった。
そう思って、すぐに訂正しようとしたが、それよりも先に名前が口を開いた。
「それはおめでとうございます。リヴァイさんとは遠い親戚なんです。
今日は美味しいものを食べられると聞いて、連れてきてもらったんですよ。」
名前はとても上手な笑顔を浮かべていた。
ナナのとんでもない自己紹介よりも、名前からスラスラと出て来たその嘘の方が、俺は驚いた。信じられなかった。
「それじゃ、お兄ちゃん。私はあっちで辛いもの食べてくるね。
さっきエレンが、あっちに信じられないくらい辛いカレーがあったって言ってたから。」
名前は俺にも笑顔を見せると「兄をよろしくお願いします。」ととんでもないことを言って、頭を下げてから立ち去った。
なんだそういうことかー、とバルトはホッとしたような顔をしていた。
俺は、どうして名前があんな嘘を吐いたのか分からなかった。