◇34ページ◇パーティーの花
Name change
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適当についているテレビでは、今日一日を締めくくる夜のニュースが流れていた。
茶道だとか華道だとか分からないが、どこかのご立派な道の家元のご子息が素晴らしい功績を残したのだそうだ。
興味もないし、よく分からないが、とにかく、ゴロツキ出身の俺とは生まれから違う人間の話だ。
最近よく見るオネェタレントが、それがどれほど凄いことなのかを嬉しそうに喋っているのを右から左に聞き流す俺は、ソファに深く腰掛けて読書を楽しんでいた。
素晴らしい世界に興味のないもう1人、名前は、俺の肩に頭を預けて、すっかり夢の中だ。
あの後も、名前の態度は全く変わらなかった。
別に期待していたわけではないし、本当の恋人になった途端にデカい態度をとられるようになるよりはマシだ。
でも、ゆっくりしようとリビングへ行き、今までのように離れたところでカーペットの上に腰を降ろしたときは、さすがに驚いた。
『…なぜそこに座る。』
『え、立ってた方がいいですか?』
すごく悲しそうに本気でそう訊ねて立ち上がった名前には、ため息も出なかった。
隣に来るように言えば、とても驚いていたけれど、スキップでもしそうな足取りでやって来たので、喜んではいたようだったけれど、正直、名前が何を考えているのか分からない。
好きだと自覚した途端、無邪気な名前が、無邪気すぎて謎なのだ。
だから、ここ数日でやっと俺の隣に座ることも慣れてきてくれて、こうして気を許して居眠りをしてくれたのは、すごく嬉しい。
愛おしさが止まらなくて頭を撫でると、少しだけ眉を顰めて、名前が目を開けた。
余計なことをして、起こしてしまったようだ。
「寝そうでした…。」
「いや、お前は寝てた。」
「…やっぱり、夢を見てた気もします。」
とぼけたことを言いながら、名前がゆっくりと身体を起こした。
テレビでは相変わらず、素晴らしいご子息を褒め称えるニュースが続いていた。
パーティー会場の様子に切り替わると、別の流派だという茶道の家元のご息女まで出てきて、普段では聞くこともないようなご丁寧過ぎる口調で今後は共に手を取り合ってどうの、と語りだした。
それを寝ぼけまなこでなんとなく見ながら、名前は両手で顔を覆って欠伸をした口元を隠した。
「名前はパーティーは好きか?」
「パーティー?こういうのですか?」
欠伸を終えた名前は、テレビを指さした。
そして、眉尻を下げて答えた。
「こういうのは、あんまり好きじゃないです。
偉い人達のご機嫌とったりとか面倒ですし。」
「まぁ、お偉い政治家もお医者様もやってはくるが、
あそこまで堅苦しいもんじゃねぇよ。」
俺はそう言うと、今度の週末、製薬会社の付き合いでパーティーに誘われたことを話した。
一度、ザックレーにどうしてもと頼まれて参加して散々な目にあってからは、面倒だと言って断っていたのだ。
だが、名前がいるのなら話は別だ。
それに、復職したことを報告するためにも参加した方がいいとザックレーにも言われている。
だから、名前が一緒に行ってくれるのなら、参加しようと思っていたのだ。
「ハンジ達も来るし、会いたがってたから、
名前が行きてぇなら、俺も参加する。」
「私も行っていいんですか?邪魔になりませんか?」
「そうだな。着飾った名前がやってきたせいで
せっかくのドレスも霞んじまった他の女は邪魔だと思うかもしれねぇな。
でも、気にするな。お前の隣にいる俺も他のクソ共に邪魔だと思われるから、一緒だ。」
「ふふ、なんですかそれ。」
本気混じりの俺に、名前は可笑しそうに笑った。
まだ会わせたことのない友人も来るから、紹介したいと言えば、嬉しそうにパーティーの参加を頷いてくれた。
これで、とりあえず、ザックレーの頼みは聞いてやったことになるだろう。
茶道だとか華道だとか分からないが、どこかのご立派な道の家元のご子息が素晴らしい功績を残したのだそうだ。
興味もないし、よく分からないが、とにかく、ゴロツキ出身の俺とは生まれから違う人間の話だ。
最近よく見るオネェタレントが、それがどれほど凄いことなのかを嬉しそうに喋っているのを右から左に聞き流す俺は、ソファに深く腰掛けて読書を楽しんでいた。
素晴らしい世界に興味のないもう1人、名前は、俺の肩に頭を預けて、すっかり夢の中だ。
あの後も、名前の態度は全く変わらなかった。
別に期待していたわけではないし、本当の恋人になった途端にデカい態度をとられるようになるよりはマシだ。
でも、ゆっくりしようとリビングへ行き、今までのように離れたところでカーペットの上に腰を降ろしたときは、さすがに驚いた。
『…なぜそこに座る。』
『え、立ってた方がいいですか?』
すごく悲しそうに本気でそう訊ねて立ち上がった名前には、ため息も出なかった。
隣に来るように言えば、とても驚いていたけれど、スキップでもしそうな足取りでやって来たので、喜んではいたようだったけれど、正直、名前が何を考えているのか分からない。
好きだと自覚した途端、無邪気な名前が、無邪気すぎて謎なのだ。
だから、ここ数日でやっと俺の隣に座ることも慣れてきてくれて、こうして気を許して居眠りをしてくれたのは、すごく嬉しい。
愛おしさが止まらなくて頭を撫でると、少しだけ眉を顰めて、名前が目を開けた。
余計なことをして、起こしてしまったようだ。
「寝そうでした…。」
「いや、お前は寝てた。」
「…やっぱり、夢を見てた気もします。」
とぼけたことを言いながら、名前がゆっくりと身体を起こした。
テレビでは相変わらず、素晴らしいご子息を褒め称えるニュースが続いていた。
パーティー会場の様子に切り替わると、別の流派だという茶道の家元のご息女まで出てきて、普段では聞くこともないようなご丁寧過ぎる口調で今後は共に手を取り合ってどうの、と語りだした。
それを寝ぼけまなこでなんとなく見ながら、名前は両手で顔を覆って欠伸をした口元を隠した。
「名前はパーティーは好きか?」
「パーティー?こういうのですか?」
欠伸を終えた名前は、テレビを指さした。
そして、眉尻を下げて答えた。
「こういうのは、あんまり好きじゃないです。
偉い人達のご機嫌とったりとか面倒ですし。」
「まぁ、お偉い政治家もお医者様もやってはくるが、
あそこまで堅苦しいもんじゃねぇよ。」
俺はそう言うと、今度の週末、製薬会社の付き合いでパーティーに誘われたことを話した。
一度、ザックレーにどうしてもと頼まれて参加して散々な目にあってからは、面倒だと言って断っていたのだ。
だが、名前がいるのなら話は別だ。
それに、復職したことを報告するためにも参加した方がいいとザックレーにも言われている。
だから、名前が一緒に行ってくれるのなら、参加しようと思っていたのだ。
「ハンジ達も来るし、会いたがってたから、
名前が行きてぇなら、俺も参加する。」
「私も行っていいんですか?邪魔になりませんか?」
「そうだな。着飾った名前がやってきたせいで
せっかくのドレスも霞んじまった他の女は邪魔だと思うかもしれねぇな。
でも、気にするな。お前の隣にいる俺も他のクソ共に邪魔だと思われるから、一緒だ。」
「ふふ、なんですかそれ。」
本気混じりの俺に、名前は可笑しそうに笑った。
まだ会わせたことのない友人も来るから、紹介したいと言えば、嬉しそうにパーティーの参加を頷いてくれた。
これで、とりあえず、ザックレーの頼みは聞いてやったことになるだろう。