◇23ページ◇高熱
Name change
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昨日から、いよいよ本格的に研究施設での治療薬研究の仕事が始まっていた。
定時を少し過ぎて、仕事を終えた俺は、白衣を脱ぐと、自分のロッカーにそれを戻した。
出来るだけ残業をしないようにというハンジの研究所の主義は、俺の身体にも身についていたようだった。
必要であれば残業もやむを得ないのは確かだが、今やるべきことと明日へ持ち越す妥協と勇気を持てるようになっている自分に驚いた。
今は、必要以上にのめり込んで研究しなくてもいいと思えていた。
それには、俺が倒れたら意味がないのだという名前の言葉も効いていたはずだ。
班を任されている俺の判断が、部下の勤務時間にも大きく関わる。
昨日からほとんど残業なく仕事を終えられるようになったエルド達は、本当にいいのだろうかと戸惑っているようだった。
だが、帰りに買い物でもしていこうかと世間話を始めた彼らの表情は、明るい。
俺は、スマホを取り出して、連絡が届いていないか確認をする。
名前には、欲しいものがあれば教えろと言っておいたのに、思った通り、着信やメッセージの受信を知らせるランプはついていない。
【今から帰る。体調はどうだ。食いたいものはあるか。】
名前とのトーク画面を表示して、メッセージを打った。
すぐに既読の文字がついた。
少し待てば、返事も届いた。
【おつかれさまでさ。だいじょうふでし。
たべたいなあ、リヴァイさん、あえたら、げんきでまし。】
アホみたいな文章に、思わず小さく吹き出してしまった。
全く大丈夫ではないのが、よく伝わってくる。
高熱にだいぶやられているようだ。
(俺のことが食いてぇみてぇだな。)
そう思って、やっぱり、笑ってしまいそうになって、左手の甲で口元を覆って、喉の奥で笑いを堪えた。
「名前ちゃんですか?」
急いで帰る、とメッセージを打っていると、エルドに声をかけられて、スマホに落としていた視線を上げた。
エルドは、ニヤニヤと口元を歪めて俺を見ていた。
何となくばつが悪くて、思わず、咳払いをしてから、肯定の返事をした。
「熱が出ちゃったんですよね?
やっぱり、私達に合わせて無理させちゃったせいですよね…。
本当にすみません。」
ペトラが申し訳なさそうに言った。
昨日、念のため、午前休をとって名前を病院に連れて行き、過労という診断をナイルに下してもらった。
それから、家に戻るまではそれなりに元気にしていたのだが、夜、食事中にぼんやりとしている名前が気になって熱を計らせたら39度の高熱を出していたのだ。
結局、今朝もまた病院へ連れて行って、今度は風邪だと診断された。
過労で身体が弱っているところで風邪を引いてしまったようだった。
「お前達は気にしなくていい。無理をさせたのは俺だ。
どっちにしろ、名前は誰も悪ぃとは思ってねぇ。」
「そんな感じの娘ですね。」
エルドが困ったように苦笑する。
見舞いに行ってやりたいが、熱が出てキツいときに押しかけても可哀想だからというペトラ達から、見舞いの言葉だけをもらって、俺は足早に研究施設を出た。
定時を少し過ぎて、仕事を終えた俺は、白衣を脱ぐと、自分のロッカーにそれを戻した。
出来るだけ残業をしないようにというハンジの研究所の主義は、俺の身体にも身についていたようだった。
必要であれば残業もやむを得ないのは確かだが、今やるべきことと明日へ持ち越す妥協と勇気を持てるようになっている自分に驚いた。
今は、必要以上にのめり込んで研究しなくてもいいと思えていた。
それには、俺が倒れたら意味がないのだという名前の言葉も効いていたはずだ。
班を任されている俺の判断が、部下の勤務時間にも大きく関わる。
昨日からほとんど残業なく仕事を終えられるようになったエルド達は、本当にいいのだろうかと戸惑っているようだった。
だが、帰りに買い物でもしていこうかと世間話を始めた彼らの表情は、明るい。
俺は、スマホを取り出して、連絡が届いていないか確認をする。
名前には、欲しいものがあれば教えろと言っておいたのに、思った通り、着信やメッセージの受信を知らせるランプはついていない。
【今から帰る。体調はどうだ。食いたいものはあるか。】
名前とのトーク画面を表示して、メッセージを打った。
すぐに既読の文字がついた。
少し待てば、返事も届いた。
【おつかれさまでさ。だいじょうふでし。
たべたいなあ、リヴァイさん、あえたら、げんきでまし。】
アホみたいな文章に、思わず小さく吹き出してしまった。
全く大丈夫ではないのが、よく伝わってくる。
高熱にだいぶやられているようだ。
(俺のことが食いてぇみてぇだな。)
そう思って、やっぱり、笑ってしまいそうになって、左手の甲で口元を覆って、喉の奥で笑いを堪えた。
「名前ちゃんですか?」
急いで帰る、とメッセージを打っていると、エルドに声をかけられて、スマホに落としていた視線を上げた。
エルドは、ニヤニヤと口元を歪めて俺を見ていた。
何となくばつが悪くて、思わず、咳払いをしてから、肯定の返事をした。
「熱が出ちゃったんですよね?
やっぱり、私達に合わせて無理させちゃったせいですよね…。
本当にすみません。」
ペトラが申し訳なさそうに言った。
昨日、念のため、午前休をとって名前を病院に連れて行き、過労という診断をナイルに下してもらった。
それから、家に戻るまではそれなりに元気にしていたのだが、夜、食事中にぼんやりとしている名前が気になって熱を計らせたら39度の高熱を出していたのだ。
結局、今朝もまた病院へ連れて行って、今度は風邪だと診断された。
過労で身体が弱っているところで風邪を引いてしまったようだった。
「お前達は気にしなくていい。無理をさせたのは俺だ。
どっちにしろ、名前は誰も悪ぃとは思ってねぇ。」
「そんな感じの娘ですね。」
エルドが困ったように苦笑する。
見舞いに行ってやりたいが、熱が出てキツいときに押しかけても可哀想だからというペトラ達から、見舞いの言葉だけをもらって、俺は足早に研究施設を出た。