◇15ページ◇謝罪
Name change
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自宅マンションに戻ってみたが、当然そこに、追い出された名前が帰ってきているわけはなかった。
あちこち車を走らせても、こんな夜の遅い時間、しかも大雨注意報が出ているような激しい雷雨の中、外に出ている人間を見つけるのすら難しかったくらいだ。
そもそも、名前を追い出してから3日が経過している。
しかも、過労で倒れた俺を心配してくれた名前の心を酷い言葉で傷つけた。
そんな男のことを未だに心配してくれているわけ、ない。
もうとっくに愛想が尽きている方が自然だし、名前のことを同世代の男達が放っておくわけがないのだ。
他の男が、家がないという名前を助けてやったかもしれない。
そして、今頃ー。
「…クソッ。」
俺は、力任せにハンドルを殴った。
苛ついていた。
見つからないことにも、名前を勝手な思い込みで傷つけた自分自身にも、他の男といるかもしれないという想像にもー。
「まさか…!」
俺は、ショックと絶望で目を見開いた。
出逢いは、名前が橋から身を投げようとしていたのを助けたことだった。
そこから助けてくれた俺に恩を感じて、名前はいきなり家にまで押しかけて来たのだ。
その俺に拒絶されて、大嫌いだとまで言われて追い出されたのだ。
『クソみたいな魔法なんか、今すぐ解けて、お前なんか消えちまえばいい。』
自分が、名前を傷つけるためだけに吐き出した言葉を思い出した。
それを真に受けて、もしかしてまた自ら命をー。
そんな最悪の事態を想像して、さーっと血の気が引いた。
今すぐにあの橋へ向かおうー。
そう思ったのだけれど、どうしてもまだ、名前は自分のことを心配してくれていると信じたかったのだ。
ちょうど自宅マンション近くの公園横を走っているときだった。
この公園を探して、それでも見つからなければ、あの橋に向かおうと決めて、俺は適当な場所に車を停めた。
車から降りた途端、激しい雨が俺の身体を叩きつけた。
冬の冷たい風も重なって、凍えるように寒かった。
髪も服もほんの一瞬でびしょ濡れになったが、気にせずに公園の中へと入った。
そこまで大きくない公園だった。
滑り台やブランコといったよくある遊具が幾つか置いてあるだけだ。
公園を照らす外灯のおかげで真っ暗ではなかったが、大雨で睫毛も濡れて前が見づらかった。
濡れたジャケットの裾で、何度も目を拭いながら公園の中を見渡した。
そして、トンネルのようなかたちをした遊具を見つけた。
雨を凌ぐにはちょうどようさそうだと思った。
駆け寄って覗き込んだ俺は、ホッとして息を吐いた。
俺の勘は、当たった。
トンネルの中央あたりに名前はいた。
自分のコートを頭からすっぽりとかぶり、雷に怯えて丸まっていたらしい。
「え…?あ、あの…?」
名前は、戸惑った様子で俺の方を見た。
「何やってやがる。」
「…かくれんぼ…、かな…。」
いつかの再演のようなやりとりに、俺は長く息を吐いた。
本当に、とんだ馬鹿野郎だと思った。
サッサと、俺なんかに愛想を尽かせて消えてしまえばよかったのにー。
「そうか。じゃあ、もう見つかったんだ。さっさと出て来い。」
「…雨に濡れちゃうので。っていうか、リヴァイさん、びしょ濡れですよ。
風邪を引いちゃうので、早く家に帰った方がいいです。」
「そう思うなら、早く出て来い。帰るぞ。」
「ここが…、私の家なので。」
「バカか、ここは皆の公園だ。」
「知ってますけど、でもー。」
言いかけたところに、また大きな雷が鳴った。
名前が言葉を切って、慌てた様子で頭からかぶっていたコートに顔を隠した。
ガタガタと震えているのが、トンネルの入口から中を覗く俺にも分かるくらいだった。
俺が来るまでずっと、名前は独りきりでこうして雷の恐怖と寒さに震えていたのだろうか。
俺のせいでー。
「さっさと帰るぞ。」
「え、でも…っ。」
「早くしろ。俺が風邪引いちまったらお前のせいだからな。」
「え…!?」
戸惑う名前を無視して、俺は細い腕を掴んで強引に外に引っ張り出した。
激しい雨が名前まで濡らしだして、頭からかぶっていたコートもあっという間に何の役にも立たないくらいにびしょ濡れになった。
「行くぞ。」
「なん…っ。待ってください…っ。」
名前の手を引いて、俺は車を停めている方へと歩いた。
状況を理解していない名前は戸惑いながらも、身を任せていた。
「乗れ。」
助手席の扉を開けて、名前に車に乗るように促した。
「…でも、私が乗ったら濡れちゃいます。」
「構わねぇ。どうせ、オルオのだ。」
「オルオ?」
「いいから、乗りやがれ。」
肩を押し込んで、無理やり名前を助手席に座らせてから扉を閉めた。
雷雨は相変わらず濡れた身体を痛いくらいに叩きつけていて、俺も急いで運転席へと移動して、車に乗り込んだ。
あちこち車を走らせても、こんな夜の遅い時間、しかも大雨注意報が出ているような激しい雷雨の中、外に出ている人間を見つけるのすら難しかったくらいだ。
そもそも、名前を追い出してから3日が経過している。
しかも、過労で倒れた俺を心配してくれた名前の心を酷い言葉で傷つけた。
そんな男のことを未だに心配してくれているわけ、ない。
もうとっくに愛想が尽きている方が自然だし、名前のことを同世代の男達が放っておくわけがないのだ。
他の男が、家がないという名前を助けてやったかもしれない。
そして、今頃ー。
「…クソッ。」
俺は、力任せにハンドルを殴った。
苛ついていた。
見つからないことにも、名前を勝手な思い込みで傷つけた自分自身にも、他の男といるかもしれないという想像にもー。
「まさか…!」
俺は、ショックと絶望で目を見開いた。
出逢いは、名前が橋から身を投げようとしていたのを助けたことだった。
そこから助けてくれた俺に恩を感じて、名前はいきなり家にまで押しかけて来たのだ。
その俺に拒絶されて、大嫌いだとまで言われて追い出されたのだ。
『クソみたいな魔法なんか、今すぐ解けて、お前なんか消えちまえばいい。』
自分が、名前を傷つけるためだけに吐き出した言葉を思い出した。
それを真に受けて、もしかしてまた自ら命をー。
そんな最悪の事態を想像して、さーっと血の気が引いた。
今すぐにあの橋へ向かおうー。
そう思ったのだけれど、どうしてもまだ、名前は自分のことを心配してくれていると信じたかったのだ。
ちょうど自宅マンション近くの公園横を走っているときだった。
この公園を探して、それでも見つからなければ、あの橋に向かおうと決めて、俺は適当な場所に車を停めた。
車から降りた途端、激しい雨が俺の身体を叩きつけた。
冬の冷たい風も重なって、凍えるように寒かった。
髪も服もほんの一瞬でびしょ濡れになったが、気にせずに公園の中へと入った。
そこまで大きくない公園だった。
滑り台やブランコといったよくある遊具が幾つか置いてあるだけだ。
公園を照らす外灯のおかげで真っ暗ではなかったが、大雨で睫毛も濡れて前が見づらかった。
濡れたジャケットの裾で、何度も目を拭いながら公園の中を見渡した。
そして、トンネルのようなかたちをした遊具を見つけた。
雨を凌ぐにはちょうどようさそうだと思った。
駆け寄って覗き込んだ俺は、ホッとして息を吐いた。
俺の勘は、当たった。
トンネルの中央あたりに名前はいた。
自分のコートを頭からすっぽりとかぶり、雷に怯えて丸まっていたらしい。
「え…?あ、あの…?」
名前は、戸惑った様子で俺の方を見た。
「何やってやがる。」
「…かくれんぼ…、かな…。」
いつかの再演のようなやりとりに、俺は長く息を吐いた。
本当に、とんだ馬鹿野郎だと思った。
サッサと、俺なんかに愛想を尽かせて消えてしまえばよかったのにー。
「そうか。じゃあ、もう見つかったんだ。さっさと出て来い。」
「…雨に濡れちゃうので。っていうか、リヴァイさん、びしょ濡れですよ。
風邪を引いちゃうので、早く家に帰った方がいいです。」
「そう思うなら、早く出て来い。帰るぞ。」
「ここが…、私の家なので。」
「バカか、ここは皆の公園だ。」
「知ってますけど、でもー。」
言いかけたところに、また大きな雷が鳴った。
名前が言葉を切って、慌てた様子で頭からかぶっていたコートに顔を隠した。
ガタガタと震えているのが、トンネルの入口から中を覗く俺にも分かるくらいだった。
俺が来るまでずっと、名前は独りきりでこうして雷の恐怖と寒さに震えていたのだろうか。
俺のせいでー。
「さっさと帰るぞ。」
「え、でも…っ。」
「早くしろ。俺が風邪引いちまったらお前のせいだからな。」
「え…!?」
戸惑う名前を無視して、俺は細い腕を掴んで強引に外に引っ張り出した。
激しい雨が名前まで濡らしだして、頭からかぶっていたコートもあっという間に何の役にも立たないくらいにびしょ濡れになった。
「行くぞ。」
「なん…っ。待ってください…っ。」
名前の手を引いて、俺は車を停めている方へと歩いた。
状況を理解していない名前は戸惑いながらも、身を任せていた。
「乗れ。」
助手席の扉を開けて、名前に車に乗るように促した。
「…でも、私が乗ったら濡れちゃいます。」
「構わねぇ。どうせ、オルオのだ。」
「オルオ?」
「いいから、乗りやがれ。」
肩を押し込んで、無理やり名前を助手席に座らせてから扉を閉めた。
雷雨は相変わらず濡れた身体を痛いくらいに叩きつけていて、俺も急いで運転席へと移動して、車に乗り込んだ。