◇11ページ◇雷の夜
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日は、朝から雨が降っていた。
天気予報通り、日中もずっと降り続いた雨は、俺が帰宅する頃には大雨注意報が出るほどの激しい雷雨に変わっていた。
少し離れた地域では避難勧告まで出たようだった。
「リヴァイさん、今日は一緒にお風呂に入りましょうか。」
夕食も終わりに近づき出したころ、名前が突然、思いがけない提案をしてきた。
またとんでもないことを思いついたもんだー。
そう思った俺は、止まりかけた箸を口に運び聞き流した。
だが、それを了承ととったのか、名前はとても楽しそうに話し続けた。
「私が背中を流してあげますね。リヴァイさんに背中を流させるのは申し訳ないので
私は自分で洗いますよ。あ、でも、リヴァイさんが私の身体を洗いたいのならー。」
「洗いたくねぇ。」
「そうですか。じゃあ、やっぱり、私の身体は自分でー。」
「お前と入る気はねぇ。」
「そう、ですか…。」
いつものようにヘラヘラと笑うかと思った名前だったが、いつものようにしつこく誘うことはないものの、ただ静かに頷いただけだった。
どうかしたのだろうかー。
そう思わなかったわけではないが、敢えて聞こうともしなかった。
それからすぐに食事は終わり、いつものように俺が先に風呂へ行き、名前は食器の後片付けを始めた。
潔癖だからと勘違いされることが多いが、俺は風呂に時間をかけるのは好きじゃない。
時間をかけなくても、自分の身体ひとつくらい綺麗に洗うことが出来るのだ。
だからその日も、俺が風呂から上がっても、名前はまだ食器の後片付けを終わらせてはいなかった。
肩にかけたタオルで濡れた髪を雑に拭きながら、風呂上がりの牛乳でも飲もうかと冷蔵庫を開けたときだった。
大きな雷音が鳴り響いた。
近くに落ちたんじゃないかと思うほどの大きな音だった。
それに驚いたのか、名前が洗っていた食器を床に落としてしまった。
珍しい失敗に、俺は雷よりも床で粉々に割れて散らばった皿の方に驚いた。
「ごめんなさい…っ。」
名前は慌てた様子でしゃがみ込むと、床に落ちた皿の破片に手を伸ばした。
案の定、何も考えずに破片を掴むから、指を切って痛そうな顔をして手を放した。
ため息を吐いて、俺も皿の破片を拾うことにした。
「危ねぇな。こっちは俺がやるから、お前は指の傷をどうにかして来い。」
俺は、破片を拾おうとしている名前の指を覆うように捕まえた。
すると、名前はひどく驚いた様子で、焦ったように俺の手を振りほどいた。
好きだ好きだと態度でも言葉でも示し続けた名前からの拒絶の反応に、俺は戸惑った。
でも、それは名前も同じようだった。
狼狽えたように、大きな瞳が左右に不安そうに揺れていた。
そして、そのときまた、大きな雷が鳴ったのだ。
すると、さっき自ら振りほどいたばかりの俺の手を名前はいきなり握りしめて来た。
「…おい、どうして震えてやがる。」
俺の手を握りしめた名前の手は、小刻みに震えていた。
よく見てみれば、震えているのは手だけじゃなかった。
名前は何かに怯えるように、身体を震わせていた。
「あ、あの…っ、掃除機持ってきます…!!」
俺の質問には答えず、名前は勢いよく立ち上がった。
スリッパをパタパタとさせながら廊下の方へと走る背中は、いつも通りに見えなくもなかった。
天気予報通り、日中もずっと降り続いた雨は、俺が帰宅する頃には大雨注意報が出るほどの激しい雷雨に変わっていた。
少し離れた地域では避難勧告まで出たようだった。
「リヴァイさん、今日は一緒にお風呂に入りましょうか。」
夕食も終わりに近づき出したころ、名前が突然、思いがけない提案をしてきた。
またとんでもないことを思いついたもんだー。
そう思った俺は、止まりかけた箸を口に運び聞き流した。
だが、それを了承ととったのか、名前はとても楽しそうに話し続けた。
「私が背中を流してあげますね。リヴァイさんに背中を流させるのは申し訳ないので
私は自分で洗いますよ。あ、でも、リヴァイさんが私の身体を洗いたいのならー。」
「洗いたくねぇ。」
「そうですか。じゃあ、やっぱり、私の身体は自分でー。」
「お前と入る気はねぇ。」
「そう、ですか…。」
いつものようにヘラヘラと笑うかと思った名前だったが、いつものようにしつこく誘うことはないものの、ただ静かに頷いただけだった。
どうかしたのだろうかー。
そう思わなかったわけではないが、敢えて聞こうともしなかった。
それからすぐに食事は終わり、いつものように俺が先に風呂へ行き、名前は食器の後片付けを始めた。
潔癖だからと勘違いされることが多いが、俺は風呂に時間をかけるのは好きじゃない。
時間をかけなくても、自分の身体ひとつくらい綺麗に洗うことが出来るのだ。
だからその日も、俺が風呂から上がっても、名前はまだ食器の後片付けを終わらせてはいなかった。
肩にかけたタオルで濡れた髪を雑に拭きながら、風呂上がりの牛乳でも飲もうかと冷蔵庫を開けたときだった。
大きな雷音が鳴り響いた。
近くに落ちたんじゃないかと思うほどの大きな音だった。
それに驚いたのか、名前が洗っていた食器を床に落としてしまった。
珍しい失敗に、俺は雷よりも床で粉々に割れて散らばった皿の方に驚いた。
「ごめんなさい…っ。」
名前は慌てた様子でしゃがみ込むと、床に落ちた皿の破片に手を伸ばした。
案の定、何も考えずに破片を掴むから、指を切って痛そうな顔をして手を放した。
ため息を吐いて、俺も皿の破片を拾うことにした。
「危ねぇな。こっちは俺がやるから、お前は指の傷をどうにかして来い。」
俺は、破片を拾おうとしている名前の指を覆うように捕まえた。
すると、名前はひどく驚いた様子で、焦ったように俺の手を振りほどいた。
好きだ好きだと態度でも言葉でも示し続けた名前からの拒絶の反応に、俺は戸惑った。
でも、それは名前も同じようだった。
狼狽えたように、大きな瞳が左右に不安そうに揺れていた。
そして、そのときまた、大きな雷が鳴ったのだ。
すると、さっき自ら振りほどいたばかりの俺の手を名前はいきなり握りしめて来た。
「…おい、どうして震えてやがる。」
俺の手を握りしめた名前の手は、小刻みに震えていた。
よく見てみれば、震えているのは手だけじゃなかった。
名前は何かに怯えるように、身体を震わせていた。
「あ、あの…っ、掃除機持ってきます…!!」
俺の質問には答えず、名前は勢いよく立ち上がった。
スリッパをパタパタとさせながら廊下の方へと走る背中は、いつも通りに見えなくもなかった。