◇9ページ◇何も知らない
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仔犬を見るー、というのが目的だったはずだった。
達成したのだから帰れという俺の意見は、当然のように無視された。
犬だと思っていたのが若い女だったことで、酔いも覚めたメンバーは、ゾロゾロと家に上がり込んでいた。
ダイニングテーブルには、名前が用意しておいた夕食が並んでいて、分かっていたはずなのに、また罪悪感が俺を襲った。
「わぁ~っ、美味しそう~っ。」
ダイニングテーブルの上に並んでいる夕食に最初に気づいたのはニファだった。
早速、他人の家のリビングで寛ごうとしていたハンジ達もその声に反応して、街灯に群がる虫のように集まって来た。
そして、ニファと似たような反応をしていた。
確かに、名前の料理は見た目も彩りが綺麗で美味しそうだし、味も良い。
「リヴァイさん達は、お食事は終わりましたか?」
「あぁ、さっき食ってきー。」
「一応、食べたんだけどさぁ。君に会いたくて途中で切り上げたから
まだお腹空いてるんだよね~。貰ってもいい?」
「はいっ!それじゃ、皆さんで食べられるようにお皿を入れ替えますね。」
「ありがとう~、助かるよ~。」
すっかりここで食事をしていく気になっているハンジ達は、名前に甘えてリビングでダラけだした。
ニファだけは、手伝うとキッチンへ向かったようだったが、お客様だからと名前に断られたらしかった。
名前はすぐに大皿と取り皿を持ってリビングへやって来た。
でも、ローテーブルの上に置かれた大皿に乗せられた料理は、さっきダイニングテーブルに乗っていたものと微妙に違っていた。
すぐにそれに気づいて訊ねたのは、ニファだった。
「あれ?さっきのと違うね?」
「皆さん、お酒呑んでらっしゃるようだったので、
お酒のおつまみに合いそうなものに少しだけアレンジしたんです。お口に合えばいいですけど…。
ー今からお酒も買ってきますね。何が好きですか?」
名前は当然のように言って、カウンターに置いていた財布を手に取った。
驚いたのは、俺だけじゃなかった。
むしろ、モブリット達の方が驚いていたかもしれない。
結局、お客さんに買いに行かせられないと渋る名前をモブリットが説得して、モブリットとケイジが酒を買いに出かけた。
「なら、私はモブリットさん達が帰って来るまでに
おつまみを増やしておきますね。気をつけていってらっしゃい。」
モブリット達を笑顔で見送った名前は、キッチンに入って、つまみを作り始めた。
リビングのソファに座って、それを眺めていれば、カウンターキッチンから俺の顔が見えたようで、名前がとても嬉しそうにニコリと微笑んだ。
俺はそれに、うまく反応できなかった。
想定外のことが起こりすぎて、理解が追い付いていなかったのだ。
だからすごく、戸惑っていた。
どうして、名前は嫌な顔ひとつしないで、俺達を受け入れてるのだろう。
考えてみても、どうしても分からなかった。
「リヴァイに懐いた仔犬、とてもいい娘だね。君に本当に惚れてるみたいだ。」
ハンジが俺の隣に座って肩を組むと、耳元で至極楽しそうに言った。
それで、少しだけ、なんとなく分かった。
惚れているから許せたのかー。
だからやっぱり、俺には分からなかったのだ。
チラつく過去が、こんなのはありえないと俺に訴えていたからー。
「でも、どこかで見たことがあるんだよなぁ〜。
テレビだったかなぁ〜?ねぇ、リヴァイ、彼女ってアイドルか女優の経験ある?」
「知るか。少なくともこの前までニートだった。今はフリーターだ。」
「じゃあ、テレビじゃないのかなぁ…?うーん…。」
カウンターキッチンの向こうで、手際よく料理をしている名前を観察しながら、ハンジはしきりに首を傾げていた。
「ていうか、アレなに?あの条件ってやつ。」
ハンジがリビングの壁に貼られている紙を指差した。
何も言わないから気づいていないかと思っていたが、しっかりチェック済みだったらしい。
「アイツをここに置いてやる条件だ。」
「へぇ〜。めんどくさい男なんだな、リヴァイ。」
「うるせぇ。」
「プライベートに口出ししないってのが、君らしいよ。」
ハンジは条件の感想をそう告げた。
俺は聞こえなかったフリをした。
達成したのだから帰れという俺の意見は、当然のように無視された。
犬だと思っていたのが若い女だったことで、酔いも覚めたメンバーは、ゾロゾロと家に上がり込んでいた。
ダイニングテーブルには、名前が用意しておいた夕食が並んでいて、分かっていたはずなのに、また罪悪感が俺を襲った。
「わぁ~っ、美味しそう~っ。」
ダイニングテーブルの上に並んでいる夕食に最初に気づいたのはニファだった。
早速、他人の家のリビングで寛ごうとしていたハンジ達もその声に反応して、街灯に群がる虫のように集まって来た。
そして、ニファと似たような反応をしていた。
確かに、名前の料理は見た目も彩りが綺麗で美味しそうだし、味も良い。
「リヴァイさん達は、お食事は終わりましたか?」
「あぁ、さっき食ってきー。」
「一応、食べたんだけどさぁ。君に会いたくて途中で切り上げたから
まだお腹空いてるんだよね~。貰ってもいい?」
「はいっ!それじゃ、皆さんで食べられるようにお皿を入れ替えますね。」
「ありがとう~、助かるよ~。」
すっかりここで食事をしていく気になっているハンジ達は、名前に甘えてリビングでダラけだした。
ニファだけは、手伝うとキッチンへ向かったようだったが、お客様だからと名前に断られたらしかった。
名前はすぐに大皿と取り皿を持ってリビングへやって来た。
でも、ローテーブルの上に置かれた大皿に乗せられた料理は、さっきダイニングテーブルに乗っていたものと微妙に違っていた。
すぐにそれに気づいて訊ねたのは、ニファだった。
「あれ?さっきのと違うね?」
「皆さん、お酒呑んでらっしゃるようだったので、
お酒のおつまみに合いそうなものに少しだけアレンジしたんです。お口に合えばいいですけど…。
ー今からお酒も買ってきますね。何が好きですか?」
名前は当然のように言って、カウンターに置いていた財布を手に取った。
驚いたのは、俺だけじゃなかった。
むしろ、モブリット達の方が驚いていたかもしれない。
結局、お客さんに買いに行かせられないと渋る名前をモブリットが説得して、モブリットとケイジが酒を買いに出かけた。
「なら、私はモブリットさん達が帰って来るまでに
おつまみを増やしておきますね。気をつけていってらっしゃい。」
モブリット達を笑顔で見送った名前は、キッチンに入って、つまみを作り始めた。
リビングのソファに座って、それを眺めていれば、カウンターキッチンから俺の顔が見えたようで、名前がとても嬉しそうにニコリと微笑んだ。
俺はそれに、うまく反応できなかった。
想定外のことが起こりすぎて、理解が追い付いていなかったのだ。
だからすごく、戸惑っていた。
どうして、名前は嫌な顔ひとつしないで、俺達を受け入れてるのだろう。
考えてみても、どうしても分からなかった。
「リヴァイに懐いた仔犬、とてもいい娘だね。君に本当に惚れてるみたいだ。」
ハンジが俺の隣に座って肩を組むと、耳元で至極楽しそうに言った。
それで、少しだけ、なんとなく分かった。
惚れているから許せたのかー。
だからやっぱり、俺には分からなかったのだ。
チラつく過去が、こんなのはありえないと俺に訴えていたからー。
「でも、どこかで見たことがあるんだよなぁ〜。
テレビだったかなぁ〜?ねぇ、リヴァイ、彼女ってアイドルか女優の経験ある?」
「知るか。少なくともこの前までニートだった。今はフリーターだ。」
「じゃあ、テレビじゃないのかなぁ…?うーん…。」
カウンターキッチンの向こうで、手際よく料理をしている名前を観察しながら、ハンジはしきりに首を傾げていた。
「ていうか、アレなに?あの条件ってやつ。」
ハンジがリビングの壁に貼られている紙を指差した。
何も言わないから気づいていないかと思っていたが、しっかりチェック済みだったらしい。
「アイツをここに置いてやる条件だ。」
「へぇ〜。めんどくさい男なんだな、リヴァイ。」
「うるせぇ。」
「プライベートに口出ししないってのが、君らしいよ。」
ハンジは条件の感想をそう告げた。
俺は聞こえなかったフリをした。