包容力のあるイケメンはいかがですか~Mike~
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大きな木の下は、暑い日差しを遮ってくれるし、ほど良く涼しい風が頬を撫でてくれるから、過ごしやすい。
兵舎内の厩舎近くの広場だから、少しだけ獣っぽい匂いも漂うけれど、それもまぁ御愛嬌だ。
「すごく、好きだったんです。」
青い空を見上げながら、私は、彼の優しい微笑みを思い出していた。
先に恋をしたのは、彼の方だった。
真っ赤な顔をして、震える声で、好きだと伝えてくれたのが遠い昔のことのように思える。
それくらい、私は彼と一緒に時を過ごしたし、彼のことを好きになっていた。
いつの間にか、好きの大きさが逆転してしまうくらいにー。
何も答えないミケ分隊長は、匂いの苦手なこの場所で、ただずっと、私の隣に座って空を見上げてくれていた。
大きな身体の隣はとても安心して、私はポツリポツリと彼への想いを零し続ける。
それをただひたすら、ミケ分隊長は聞いていてくれる。
『元気がないな。何かあったのか。』
今朝、空元気の私に唯一気付いてくれたのが、ミケ分隊長だった。
それでも私は、彼に好きな人が出来てしまったと笑えたのだ。
ミケ分隊長は『そうか。』とただ一言呟くように言ったきり、何も喋らない。
朝食の後、何も言わずに私の手を引いて厩舎奥にある広場に連れてきてからも、ただひたすらに空を見上げるばかりだ。
それが、私にはとても助かった。
『優しいね。』とか『悲しいね。』なんて言われたら、きっと泣いてしまったし、想い出を話しておいて勝手だけれど、彼との想い出に誰かに口を出されるのは、何か違う気がするから。
「付き合うどころか、好きって言ってもないらしいんです。
でも、私と別れたいって。あぁ…、本気なんだなぁって思ったらもう…、
そっかぁ、なら仕方ないね…って笑うしか、泣くって…っ。」
必死に堪えていた涙がせり上がってきて、私は顎をグイッと上げて空を仰いだ。
瞳にグッと力を込めて、何が何でも涙が零れないように耐える。
だって、泣いてしまったら、彼への想いとか想い出までも一緒に流れて落ちて、消えて行ってしまう気がしてー。
それなのに、ずっと黙っていたミケ分隊長が、鼻を動かして、訝し気に急に喋り出すからー。
「一雨きそうだな。傘を忘れて来た。これで勘弁してくれ。」
ミケ分隊長はそう言うと、兵団ジャケットを脱いで私の頭の上にかぶせた。
大きな兵団ジャケットに、私はすっぽり隠れてしまって、傘よりも雨から守ってくれそうな気がした。
「---…っ。」
頭からかかぶった大きな兵団ジャケットを握りしめて、私は嗚咽を漏らした。
彼を想って溢れた涙が零れて、頬を伝って流れて落ちていく。
芝生に水たまりを作ってしまいそうなくらいにたくさんの涙が、私に教えてくれる。
彼とは素敵な想い出がたくさんあった。たくさん想われた、抱きしめ合って、キスをして、大切にしてもらった。
大好きだった。本当に、心から大好きだったー。
さよなら、私の初恋。さよなら、私の大好きだった人ー。
「雨が降らないと、誰も生きていけないんだ。だからうんとたくさん、雨は降った方がいい。
そうしないと、晴れの日の喜びも、我々は忘れてしまう。」
大きくて温かい傘の向こうで、ミケ分隊長のとても優しい声を聞いた。
失恋で涙を堪えていたら
包容力のあるイケメンに、終わった恋の雨を流されました
その馬鹿野郎もきっと、晴れの日の喜びに後から気づいて
這いつくばってでも戻ってきたくなるだろうな
だが、やめておいた方がいい
彼はきっと、無事には家に帰れないことをすぐに悟ることになる
兵舎内の厩舎近くの広場だから、少しだけ獣っぽい匂いも漂うけれど、それもまぁ御愛嬌だ。
「すごく、好きだったんです。」
青い空を見上げながら、私は、彼の優しい微笑みを思い出していた。
先に恋をしたのは、彼の方だった。
真っ赤な顔をして、震える声で、好きだと伝えてくれたのが遠い昔のことのように思える。
それくらい、私は彼と一緒に時を過ごしたし、彼のことを好きになっていた。
いつの間にか、好きの大きさが逆転してしまうくらいにー。
何も答えないミケ分隊長は、匂いの苦手なこの場所で、ただずっと、私の隣に座って空を見上げてくれていた。
大きな身体の隣はとても安心して、私はポツリポツリと彼への想いを零し続ける。
それをただひたすら、ミケ分隊長は聞いていてくれる。
『元気がないな。何かあったのか。』
今朝、空元気の私に唯一気付いてくれたのが、ミケ分隊長だった。
それでも私は、彼に好きな人が出来てしまったと笑えたのだ。
ミケ分隊長は『そうか。』とただ一言呟くように言ったきり、何も喋らない。
朝食の後、何も言わずに私の手を引いて厩舎奥にある広場に連れてきてからも、ただひたすらに空を見上げるばかりだ。
それが、私にはとても助かった。
『優しいね。』とか『悲しいね。』なんて言われたら、きっと泣いてしまったし、想い出を話しておいて勝手だけれど、彼との想い出に誰かに口を出されるのは、何か違う気がするから。
「付き合うどころか、好きって言ってもないらしいんです。
でも、私と別れたいって。あぁ…、本気なんだなぁって思ったらもう…、
そっかぁ、なら仕方ないね…って笑うしか、泣くって…っ。」
必死に堪えていた涙がせり上がってきて、私は顎をグイッと上げて空を仰いだ。
瞳にグッと力を込めて、何が何でも涙が零れないように耐える。
だって、泣いてしまったら、彼への想いとか想い出までも一緒に流れて落ちて、消えて行ってしまう気がしてー。
それなのに、ずっと黙っていたミケ分隊長が、鼻を動かして、訝し気に急に喋り出すからー。
「一雨きそうだな。傘を忘れて来た。これで勘弁してくれ。」
ミケ分隊長はそう言うと、兵団ジャケットを脱いで私の頭の上にかぶせた。
大きな兵団ジャケットに、私はすっぽり隠れてしまって、傘よりも雨から守ってくれそうな気がした。
「---…っ。」
頭からかかぶった大きな兵団ジャケットを握りしめて、私は嗚咽を漏らした。
彼を想って溢れた涙が零れて、頬を伝って流れて落ちていく。
芝生に水たまりを作ってしまいそうなくらいにたくさんの涙が、私に教えてくれる。
彼とは素敵な想い出がたくさんあった。たくさん想われた、抱きしめ合って、キスをして、大切にしてもらった。
大好きだった。本当に、心から大好きだったー。
さよなら、私の初恋。さよなら、私の大好きだった人ー。
「雨が降らないと、誰も生きていけないんだ。だからうんとたくさん、雨は降った方がいい。
そうしないと、晴れの日の喜びも、我々は忘れてしまう。」
大きくて温かい傘の向こうで、ミケ分隊長のとても優しい声を聞いた。
失恋で涙を堪えていたら
包容力のあるイケメンに、終わった恋の雨を流されました
その馬鹿野郎もきっと、晴れの日の喜びに後から気づいて
這いつくばってでも戻ってきたくなるだろうな
だが、やめておいた方がいい
彼はきっと、無事には家に帰れないことをすぐに悟ることになる
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