出来上がった朝食をテーブルの上に並べ終えたリヴァイは、壁掛けの時計を確認した。
出勤日ならそろそろなまえが起きてくる時間だが、今日は休みだしもうしばらく寝かせておこうと決めて、リヴァイは冷蔵庫を開ける。
冷たい麦茶をグラスに注ぐと、それを一気に飲み干した。
グラスをダイニングテーブルに置いて、キッチンの壁にかけてあるカレンダーの前に立った。
すっかり季節は真夏になったどころか、行方不明になったなまえがパラレルワールドから帰ってきて2年が経っていた。
結局、なまえを襲って、リヴァイを刺した犯人は、翌日にはすぐに捕まった。
血だらけのナイフを持って、繁華街をフラフラしていたのだそうだ。
それでも、お金がもったいないというなまえの反対を押し切って、一緒に暮らすための家に引っ越したいからとリヴァイは、会社から少し離れたところに見つけた庭の広い家を無断で買った。
引っ越しの日になまえは驚きすぎて悲鳴を上げていたけれど、今でもその家で、一緒に暮らしている。

「フッ…。」

引っ越しの日、この家に連れて来たときのなまえの顔を思い出した、リヴァイから思わず笑いが漏れる。
リコにリサーチをして、なまえが好きそうな家を徹底的に調べて見つけた家だったのだ。
家に着くまでは、お金が勿体ないだとか、勝手なことばかりするとか文句を言っていたくせに、家を見た途端に、一目惚れだとハシャぎ出して、本当に面白かった。
2人で暮らすための家を気に入ってくれて、嬉しかったー。
リヴァイは、赤のマーカーでハートマークで囲まれているカレンダーの今日の日付をなぞる。
エルヴィンが端を発し、なまえとリヴァイが2年がかりで進めたプロジェクトは大成功だった。
そして、忙しかった毎日も落ち着き、休みを貰えることになった。
土日も合わせて、今日から5日間の連休だ。
何をしようかーとなまえはワクワクしていたけれど、実はもう決めている。

『なんでハートマーク？リヴァイ、可愛い～っ。』
『うるせぇ。可愛いってなら、なまえの顔にも書いてやろうか。』
『わぁっ！目が本気っ、やめてよっ！』
『ほら、目をハートで囲ってやるから。』
『いやぁぁ～～～～っ！！』

本気で逃げ回っていたなまえを思い出して、リヴァイは口元がにやけて止まらない。
本当に単純で素直で、面白い女だ。2年経っても、飽きない。
だから、今日ー。
玄関のチャイムが鳴った。

(うるせぇな。なまえが起きちまうじゃねぇーか。)

新聞の勧誘だろうか。
リヴァイはチッと舌打ちをして、玄関へ向かった。