◇91話◇何処にいても、逃げられない
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駅から出た私は、まばらな人混みの中を立ち尽くしていた。
どうやって電車に乗ったのか、覚えていない。
それでも、少し遠くに新しく契約したマンションが見えている。
無意識にICカードを使って、改札を通ることが出来たらしい。
そんなことにも、私は、この平和な世界の住人だと思い知らされる。
駅近は家賃が高くて、セキュリティを重視した結果、駅から離れたマンションになってしまったから、これから20分は歩かないといけない。
でも、マンションと駅の間に挟まれるようにある大きな公園を横切れば、それを10分程に短縮することが出来た。
夜は危ないから女性は通らない方がいいですよ、と不動産の営業の人に言われたけれど、私は毎晩、近道として公園を利用している。
公園を出たらすぐ目の前にマンションがあるのに、わざわざ公園を迂回するなんて面倒だし、疲れる。
今夜も近道の公園に入れば、夜風に揺れた葉がガサガサッと気味の悪い音を立てる。
一応、外灯もあるのだけれど、公園内の散歩道をかろうじて照らしてくれるだけで、安心できるだけの明るさはない。
マンションの内見に行ったのは休日の昼間で、その時はこの公園は子供達の笑い声で溢れていた。
とても活気と生命力に満ち溢れていた場所なのに、夜の闇がその姿を全く正反対のものに変えてしまっていた。
ガサガサと揺れる葉と、時々、強い風が吹いてキーキーと揺れるブランコ。
怖い幽霊が出てきそうーというよりも、公園そのものが恐ろしいモンスターみたいだ。
怖くなって、私は早足で歩く。
朝、駅に向かうときに通るときはそこまで感じないのに、今夜はやけに公園を通り抜けるまでの時間が長く感じる。
少し前から私の足音に合わせて、誰かの足音も後ろから聞こえていた。
その誰かも早足で歩いているのか、距離は近づきもしなければ、離れることもなかった。
広い公園を漸く抜ければ、セキュリティの高い新築マンションが出迎えた。
ここは、リコが見つけてくれたマンションで、イアンとミタビも納得のセキュリティだった。
コンシェルジュも常駐しているし、駅が遠いお陰で家賃もギリギリ予算の範囲内だった。
中に入ってしまえば、とても安全だったのだー。
「やっと見つけた。」
後ろから声がした。
振り返るよりも先に、私は腕を掴まれていた。
どうやって電車に乗ったのか、覚えていない。
それでも、少し遠くに新しく契約したマンションが見えている。
無意識にICカードを使って、改札を通ることが出来たらしい。
そんなことにも、私は、この平和な世界の住人だと思い知らされる。
駅近は家賃が高くて、セキュリティを重視した結果、駅から離れたマンションになってしまったから、これから20分は歩かないといけない。
でも、マンションと駅の間に挟まれるようにある大きな公園を横切れば、それを10分程に短縮することが出来た。
夜は危ないから女性は通らない方がいいですよ、と不動産の営業の人に言われたけれど、私は毎晩、近道として公園を利用している。
公園を出たらすぐ目の前にマンションがあるのに、わざわざ公園を迂回するなんて面倒だし、疲れる。
今夜も近道の公園に入れば、夜風に揺れた葉がガサガサッと気味の悪い音を立てる。
一応、外灯もあるのだけれど、公園内の散歩道をかろうじて照らしてくれるだけで、安心できるだけの明るさはない。
マンションの内見に行ったのは休日の昼間で、その時はこの公園は子供達の笑い声で溢れていた。
とても活気と生命力に満ち溢れていた場所なのに、夜の闇がその姿を全く正反対のものに変えてしまっていた。
ガサガサと揺れる葉と、時々、強い風が吹いてキーキーと揺れるブランコ。
怖い幽霊が出てきそうーというよりも、公園そのものが恐ろしいモンスターみたいだ。
怖くなって、私は早足で歩く。
朝、駅に向かうときに通るときはそこまで感じないのに、今夜はやけに公園を通り抜けるまでの時間が長く感じる。
少し前から私の足音に合わせて、誰かの足音も後ろから聞こえていた。
その誰かも早足で歩いているのか、距離は近づきもしなければ、離れることもなかった。
広い公園を漸く抜ければ、セキュリティの高い新築マンションが出迎えた。
ここは、リコが見つけてくれたマンションで、イアンとミタビも納得のセキュリティだった。
コンシェルジュも常駐しているし、駅が遠いお陰で家賃もギリギリ予算の範囲内だった。
中に入ってしまえば、とても安全だったのだー。
「やっと見つけた。」
後ろから声がした。
振り返るよりも先に、私は腕を掴まれていた。