◇89話◇逃げた、無駄だったけど
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先週の日曜日、なまえは新しく契約したマンションへと引っ越して行った。
引っ越しを手伝おうかと言うリヴァイの申し出を当然のように断り、イアンとミタビに荷物を運ばせていたようだった。
以前住んでいたマンションに集まっていた蠅のようなマスコミも姿を失せ、引き渡しの手続きも問題なかったとリコから聞いた。
あれから1週間、リヴァイは、家に帰れば1人で自由に過ごせている。
誰かのペースに合わせる必要もない生活は、やっぱり性に合っている。
2人分の食器を洗わなくていいし、そもそも近くのコンビニで適当に買った弁当で食事を済ませるだけでいいから楽だ。
漸く、なまえが居候として転がり込む前の生活が戻って来たー。
はずだった、のだー。
「やぁん…っ。」
耳障りな甲高い声に、リヴァイは眉を顰めた。
なまえの声は、もっと柔らかくて、それでいて艶めかしくて、心の奥まで疼かせてくれたのにー。
切れかけの街灯が路地を照らすだけの暗い裏通り、女の細い腰を抱き寄せながら、どうしてこうなったかを思い返すー。
週末前の金曜の今日は、定時帰りを推奨する会社の規定に則って早めに仕事を切り上げた。
家に帰ったのはいいものの、シンとしたリビングが妙に虚しくて、酒でも飲もうかとコンビニに行ったのだ。
そしたら、エレン達の歓迎会のときにも纏わりついていた女と出くわしてしまってー。
家に連れて行ってと追いかけて来た女が煩くて、黙らせるために唇に噛みついた拍子に、持っていたコンビニの袋を落としてしまった。
折角買ったばかりの酒の缶は、足元に転がっている。
(勿体ねぇ…、もう飲めねぇじゃねぇか。)
ヒドくイラついて、無駄に大きく開いたセーターをずり下ろした。
人通りはないとは言え、いつ誰が来るかも分からないこんな場所なのに、女は抵抗もしないで、むしろ悦んでいるようだった。
下着の隙間から手を入れて、さっきからずっと零れそうだった胸を揉みしだけば、だらしのない声を上げる。
なまえよりも幾分か大きな胸は、触れる前から頂を硬く反り立たせていた。
少し前に好きなだけ触れたなまえの胸を思い出す。
彼女の胸はもっと柔らかくて、小さな頂は、摘まんでやれば跳ねるように可愛い声を上げてー。
(クソが、なんでアイツのことなんか思い出す…!)
リヴァイは、苛立っていた。
理性も忘れて、こんな裏通りで、手近にいた女に噛みついて手を這わせてしまう程にー。
女の腕が首元にまわって、女の脚がリヴァイの脚に絡みつく。
そのどれも、なまえとは違う。彼女がしたように、リヴァイの心を動かしてはくれない。
あぁ、吐きそうだ。
唇を離したいのに、女の舌が絡みついて、なまえの嬌声がこびりついて離れないー。
もう関係ないのにー。
なまえなんて、初めからどうでもいい。
居候という関係もなくなった今、ただの仕事仲間でしかない。
引っ越した後もなまえとは、同じプロジェクトを担当している同士、よく顔を合わせた。
でも、部署もフロアも違う彼女の顔を見るのは、ミーティングのときだけだ。
この前のミーティングでは、マスコミもいなくなって、すごく平穏に過ごせていると嬉しそうに笑っていた。
なまえは、すごく平穏だってー。
(クソが…っ。)
どうして自分だけー。
寂しいとか、帰ってきてほしいとか、思っているのだろう。
酒を飲んで寂しさを誤魔化すなんて、そんな情けない真似をするような男じゃなかったはずなのにー。
どうでもいい女を、こんな場所で犯そうとするだらしない男でもなかったはずだー。
戻りたい、なまえと知り合う前の自分にー。
あぁ、でも、もう、戻れるとも思えないー。
「ぁ…んっ、リヴァイ…っ、ベッドで、抱いてよぉ…っ。」
漸く、舌を離してくれた女は、口元を唾液で汚したままで上目遣いで甘える。
普段のリヴァイなら、女を自分の家に上げたりなんかしなかった。
でも、なまえなら家に上げるどころか3か月以上も居候させていたじゃないか。
なまえだけが特別なわけじゃない。
違う。絶対に、違うのだー。
最近の週末は決まって、流行りのゲーム好きのファーランとイザベルがやって来て、なまえと一緒に遊んでいた。
3人で呆れるくらいに大笑いしては、真剣に勝ち負けを争っていて、騒がしかった。
でも、もうなまえはいないし、ファーラン達が来ることもない。
賑やかな週末はもう終わったー。
明日からの週末は久しぶりに1人でゆっくり過ごせる。
『他の女の人とお楽しみしてるあなたの顔は見たくないの。』
頭の中で、なまえの声がガンガンと響く。
本当に面倒だ。面倒な女だった。
でももう、自分の家で、どう過ごしたって、誰にも文句は言われない。
どうでもいい女を抱いて、自分の身体を汚してしまえば、心の奥で渦巻くドロドロとした黒い何かの汚さも分からなくなるかもしれないー。
そうやって、同じ顔の他の男を想い続ける真っすぐで真っ白ななまえには、もう二度と触れられなくなるくらいに汚れてしまいばいいー。
あぁ、そうすればきっとー。
元に戻れる。
女なんて煩わしいだけだと本気で言ってのけていた、元の自分に、戻れるはずだー。
引っ越しを手伝おうかと言うリヴァイの申し出を当然のように断り、イアンとミタビに荷物を運ばせていたようだった。
以前住んでいたマンションに集まっていた蠅のようなマスコミも姿を失せ、引き渡しの手続きも問題なかったとリコから聞いた。
あれから1週間、リヴァイは、家に帰れば1人で自由に過ごせている。
誰かのペースに合わせる必要もない生活は、やっぱり性に合っている。
2人分の食器を洗わなくていいし、そもそも近くのコンビニで適当に買った弁当で食事を済ませるだけでいいから楽だ。
漸く、なまえが居候として転がり込む前の生活が戻って来たー。
はずだった、のだー。
「やぁん…っ。」
耳障りな甲高い声に、リヴァイは眉を顰めた。
なまえの声は、もっと柔らかくて、それでいて艶めかしくて、心の奥まで疼かせてくれたのにー。
切れかけの街灯が路地を照らすだけの暗い裏通り、女の細い腰を抱き寄せながら、どうしてこうなったかを思い返すー。
週末前の金曜の今日は、定時帰りを推奨する会社の規定に則って早めに仕事を切り上げた。
家に帰ったのはいいものの、シンとしたリビングが妙に虚しくて、酒でも飲もうかとコンビニに行ったのだ。
そしたら、エレン達の歓迎会のときにも纏わりついていた女と出くわしてしまってー。
家に連れて行ってと追いかけて来た女が煩くて、黙らせるために唇に噛みついた拍子に、持っていたコンビニの袋を落としてしまった。
折角買ったばかりの酒の缶は、足元に転がっている。
(勿体ねぇ…、もう飲めねぇじゃねぇか。)
ヒドくイラついて、無駄に大きく開いたセーターをずり下ろした。
人通りはないとは言え、いつ誰が来るかも分からないこんな場所なのに、女は抵抗もしないで、むしろ悦んでいるようだった。
下着の隙間から手を入れて、さっきからずっと零れそうだった胸を揉みしだけば、だらしのない声を上げる。
なまえよりも幾分か大きな胸は、触れる前から頂を硬く反り立たせていた。
少し前に好きなだけ触れたなまえの胸を思い出す。
彼女の胸はもっと柔らかくて、小さな頂は、摘まんでやれば跳ねるように可愛い声を上げてー。
(クソが、なんでアイツのことなんか思い出す…!)
リヴァイは、苛立っていた。
理性も忘れて、こんな裏通りで、手近にいた女に噛みついて手を這わせてしまう程にー。
女の腕が首元にまわって、女の脚がリヴァイの脚に絡みつく。
そのどれも、なまえとは違う。彼女がしたように、リヴァイの心を動かしてはくれない。
あぁ、吐きそうだ。
唇を離したいのに、女の舌が絡みついて、なまえの嬌声がこびりついて離れないー。
もう関係ないのにー。
なまえなんて、初めからどうでもいい。
居候という関係もなくなった今、ただの仕事仲間でしかない。
引っ越した後もなまえとは、同じプロジェクトを担当している同士、よく顔を合わせた。
でも、部署もフロアも違う彼女の顔を見るのは、ミーティングのときだけだ。
この前のミーティングでは、マスコミもいなくなって、すごく平穏に過ごせていると嬉しそうに笑っていた。
なまえは、すごく平穏だってー。
(クソが…っ。)
どうして自分だけー。
寂しいとか、帰ってきてほしいとか、思っているのだろう。
酒を飲んで寂しさを誤魔化すなんて、そんな情けない真似をするような男じゃなかったはずなのにー。
どうでもいい女を、こんな場所で犯そうとするだらしない男でもなかったはずだー。
戻りたい、なまえと知り合う前の自分にー。
あぁ、でも、もう、戻れるとも思えないー。
「ぁ…んっ、リヴァイ…っ、ベッドで、抱いてよぉ…っ。」
漸く、舌を離してくれた女は、口元を唾液で汚したままで上目遣いで甘える。
普段のリヴァイなら、女を自分の家に上げたりなんかしなかった。
でも、なまえなら家に上げるどころか3か月以上も居候させていたじゃないか。
なまえだけが特別なわけじゃない。
違う。絶対に、違うのだー。
最近の週末は決まって、流行りのゲーム好きのファーランとイザベルがやって来て、なまえと一緒に遊んでいた。
3人で呆れるくらいに大笑いしては、真剣に勝ち負けを争っていて、騒がしかった。
でも、もうなまえはいないし、ファーラン達が来ることもない。
賑やかな週末はもう終わったー。
明日からの週末は久しぶりに1人でゆっくり過ごせる。
『他の女の人とお楽しみしてるあなたの顔は見たくないの。』
頭の中で、なまえの声がガンガンと響く。
本当に面倒だ。面倒な女だった。
でももう、自分の家で、どう過ごしたって、誰にも文句は言われない。
どうでもいい女を抱いて、自分の身体を汚してしまえば、心の奥で渦巻くドロドロとした黒い何かの汚さも分からなくなるかもしれないー。
そうやって、同じ顔の他の男を想い続ける真っすぐで真っ白ななまえには、もう二度と触れられなくなるくらいに汚れてしまいばいいー。
あぁ、そうすればきっとー。
元に戻れる。
女なんて煩わしいだけだと本気で言ってのけていた、元の自分に、戻れるはずだー。