◇8話◇巨人
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古城を改装したという旧調査兵団本部に向かう道中も、私は前回と同じように荷馬車の上だった。
大昔に突如現れたとかいう意味の分からない巨人の話を聞かされたおかげで、昨夜はぐっすり眠れたため、途中で居眠りをすることもなく、ずっと景色を眺めていた。
見覚えのない街を通り過ぎた後、広い草原を抜けて、森の中を通って、やっと古城に辿り着いた頃には、私は不安と恐怖に押し潰されていた。
だって、馬に乗って走る大勢の兵士達の姿は、どこかの映画のワンシーンのようで、私の知っている景色はひとつもなかったから。
じゃあ、ここは本当に何処なのだー。
彼ら嘘をついていないのなら、私は一体、誰なのー。
不安なまま私が連れて来られたのは、前も見たリヴァイの執務室だった。
本人は任務というので忙しいらしく、ペトラ達と一緒に部屋を出てしまったが、私は、外は危険だからここから出るな、と言われている。
何が危険なのかは分からない。
でも、あれから一度もリヴァイが私を怖がらせるようなことはしていないし、とりあえずは、言う通りにしている。
戻るまでこれで暇つぶしをしておけばいいと本を数冊渡されていた。
リヴァイは、私が好きな小説だと言っていたけれど、知らない文字で書かれていて読めそうにない。
英語でもないし、ハングルでもないしー。
そういえば、カタカナに似てる気がする。
それでも、雑なカタカナで見づらい。
「…本を逆さまに読む人なんて初めて見たよ。」
ソファに座って、本を解読しているところにやってきたのはハンジだった。
呆れたのか、驚いたのか、変なものを見たような目を向けられて、急に恥ずかしくなる。
誤魔化すように本をソファの上に置こうとして、気づく。
「え?逆さま?」
私は手に持っている本を、逆さまにしてみた。
雑なカタカナが逆さまになって、余計に読みづらい。
「もしかして、文字も分からないの?」
隣に座ったハンジが、テーブルの上に置いてある数冊の本の中から1冊手に取った。
ペラペラとめくりながら、リヴァイが持ってきてくれたのかと訊ねるから、そうだと答える。
「恋愛小説かぁ、リヴァイが持ってるわけないし。
昨日、家からなまえのを持ってきたのかな。」
「…私の好きなのって言ってたから、そうなんじゃないの。」
今度こそ本をテーブルの上に置いた私は、投げやりな気持ちでクッションを抱きしめる。
私のことは、私が一番分かっていると思っていた。
でも、もう分からない。
リヴァイもハンジも、他の人達も、私より私を知っている。
私の知らない私をー。
「それでさ、なまえに見せたいものがあって来たんだっ。」
「見せたいもの?」
「そう!それを見たら何か思い出すかもしれないし、
少なくともなまえが何者か分かるきっかけになるんじゃないかと思ってる。」
ハンジがあまりにも真剣に言うし、私も自分が何者か分かりたかった。
だから、リヴァイの忠告も忘れて、ついていってしまったー。
それが大きな間違いだなんて、どうやって知ればよかったというのだろう。
私は、自分が誰なのかすらも分からなくなっていたというのにー。
大昔に突如現れたとかいう意味の分からない巨人の話を聞かされたおかげで、昨夜はぐっすり眠れたため、途中で居眠りをすることもなく、ずっと景色を眺めていた。
見覚えのない街を通り過ぎた後、広い草原を抜けて、森の中を通って、やっと古城に辿り着いた頃には、私は不安と恐怖に押し潰されていた。
だって、馬に乗って走る大勢の兵士達の姿は、どこかの映画のワンシーンのようで、私の知っている景色はひとつもなかったから。
じゃあ、ここは本当に何処なのだー。
彼ら嘘をついていないのなら、私は一体、誰なのー。
不安なまま私が連れて来られたのは、前も見たリヴァイの執務室だった。
本人は任務というので忙しいらしく、ペトラ達と一緒に部屋を出てしまったが、私は、外は危険だからここから出るな、と言われている。
何が危険なのかは分からない。
でも、あれから一度もリヴァイが私を怖がらせるようなことはしていないし、とりあえずは、言う通りにしている。
戻るまでこれで暇つぶしをしておけばいいと本を数冊渡されていた。
リヴァイは、私が好きな小説だと言っていたけれど、知らない文字で書かれていて読めそうにない。
英語でもないし、ハングルでもないしー。
そういえば、カタカナに似てる気がする。
それでも、雑なカタカナで見づらい。
「…本を逆さまに読む人なんて初めて見たよ。」
ソファに座って、本を解読しているところにやってきたのはハンジだった。
呆れたのか、驚いたのか、変なものを見たような目を向けられて、急に恥ずかしくなる。
誤魔化すように本をソファの上に置こうとして、気づく。
「え?逆さま?」
私は手に持っている本を、逆さまにしてみた。
雑なカタカナが逆さまになって、余計に読みづらい。
「もしかして、文字も分からないの?」
隣に座ったハンジが、テーブルの上に置いてある数冊の本の中から1冊手に取った。
ペラペラとめくりながら、リヴァイが持ってきてくれたのかと訊ねるから、そうだと答える。
「恋愛小説かぁ、リヴァイが持ってるわけないし。
昨日、家からなまえのを持ってきたのかな。」
「…私の好きなのって言ってたから、そうなんじゃないの。」
今度こそ本をテーブルの上に置いた私は、投げやりな気持ちでクッションを抱きしめる。
私のことは、私が一番分かっていると思っていた。
でも、もう分からない。
リヴァイもハンジも、他の人達も、私より私を知っている。
私の知らない私をー。
「それでさ、なまえに見せたいものがあって来たんだっ。」
「見せたいもの?」
「そう!それを見たら何か思い出すかもしれないし、
少なくともなまえが何者か分かるきっかけになるんじゃないかと思ってる。」
ハンジがあまりにも真剣に言うし、私も自分が何者か分かりたかった。
だから、リヴァイの忠告も忘れて、ついていってしまったー。
それが大きな間違いだなんて、どうやって知ればよかったというのだろう。
私は、自分が誰なのかすらも分からなくなっていたというのにー。