◇82話◇新しい生活と変わらない気持ち~残酷な世界side~
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あれから3か月が経った。
あのとき撃たれた傷も、もうすっかり塞がって、傷跡が虚しく残ってるだけだ。
脇腹に当たった銃弾は、運良く臓器を避けてくれたおかげで、完治までに時間もかからなかった。
なまえがいなくなってから、この世界は目まぐるしく動いた。
あのあと、リヴァイの負傷もあって、惜しくも獣の巨人と車力の巨人は逃してしまった調査兵団だったが、ウォール・ローゼに襲来した巨人を討伐し、その正体を突き止めた。
偽物だった王政は、旧リヴァイ班のエルド達の暗躍で、真の王であるヒストリアにとってかわらせることに成功し、調査兵団の活躍で、ウォール・マリアも奪還した。
その際、拘束に成功した獣の巨人のジークと車力の巨人のピークから得た情報と、エレンの地下室に隠されていた情報で、この壁の中の世界が置かれている立場も理解した。
だからやっぱり、リヴァイは思うのだ。
なまえを平和な世界に帰してやれてよかったとー。
あのとき、なまえを鏡の向こうの世界へと無理やりにでも帰したことを後悔していない。
これでよかったと、思っている。
でもー。
「ー時々、思うんだよね。
リヴァイに彼女の正体を話さなきゃよかったなって。」
王都での授与式を終えた帰り、リヴァイとハンジ、エルヴィンを乗せた客車はトロスト区に向かって、急ぐでもなく馬を走らせていた。
窓の外を眺めながら、ハンジが口にした大きな独り言に、エルヴィンもリヴァイも返事はしなかった。
なまえがこの世界から消えたのと同時に、彼女が存在していた記憶もほとんどの人間から消えた。
どうやら、彼女がパラレルワールドの住人だと知っていた者以外は彼女の記憶を残すことが出来なかったようだった。
記憶の改ざんが出来る人間がいることが分かった今、そんな現象が起きている今を不思議には思わない。
きっと最初から、彼女はリヴァイの心を救った後、全ての人間の記憶から消えてなくなることになっていたのだろう。
でも、ハンジが真相を暴いてしまい、リヴァイは彼女を愛してしまったー。
「あのとき、リヴァイが割らないでおいた鏡が旧本部にあったのも
あの部屋でジークが彼女を人質にしたのも、リヴァイが彼女を守って
撃たれたことも全部がさ、運命に操られてた気がするんだ。」
ハンジの大きな独り言は終わらない。
いつものように巨人談義を嬉々として聞かされる方がマシだ、とリヴァイは腕を組むと、そのまま目を瞑って眠ったフリをする。
本当は、目を閉じるのはあまり好きじゃないのだ。
彼女との記憶が瞼の裏に蘇り、願っても無駄なことで胸が引き裂かれそうになるからー。
「まるで、運命がさ、向こうの世界のリヴァイと彼女を
引き合せようとしていたみたいだった。全て運命の仕業さ。
彼女を鏡の向こうに突き放したのはリヴァイじゃない。ー運命だ。」
あぁ、本当にー。
長い付き合いというのは、こういうときお互いに煩わしいものだ。
組んだ腕の向こうで、無意識に指に力が入る。
瞼を閉じた真っ暗な視界に浮かび上がり続ける彼女がいる。
目の前にハンジが運命の相手だと言っていた男がいても、なまえはリヴァイのそばを離れなかった。
彼女の瞳が映すのは自分で、彼女が手を伸ばすのもそうだった。
あのとき初めて、向こうの世界と繋がっても帰らない、と言ってくれた彼女の言葉を心から信じることが出来たのだ。
彼女は自分を選んでくれるー、そう確信できるくらいに。
それなのにー。
ほんの小さな擦り傷ひとつつけずに守ってあげたかった彼女なのに、その心に傷をつけてしまったんじゃないかとー。
あれからずっと、それだけがー
あぁ、それだけが、気掛かりだー。
あのとき撃たれた傷も、もうすっかり塞がって、傷跡が虚しく残ってるだけだ。
脇腹に当たった銃弾は、運良く臓器を避けてくれたおかげで、完治までに時間もかからなかった。
なまえがいなくなってから、この世界は目まぐるしく動いた。
あのあと、リヴァイの負傷もあって、惜しくも獣の巨人と車力の巨人は逃してしまった調査兵団だったが、ウォール・ローゼに襲来した巨人を討伐し、その正体を突き止めた。
偽物だった王政は、旧リヴァイ班のエルド達の暗躍で、真の王であるヒストリアにとってかわらせることに成功し、調査兵団の活躍で、ウォール・マリアも奪還した。
その際、拘束に成功した獣の巨人のジークと車力の巨人のピークから得た情報と、エレンの地下室に隠されていた情報で、この壁の中の世界が置かれている立場も理解した。
だからやっぱり、リヴァイは思うのだ。
なまえを平和な世界に帰してやれてよかったとー。
あのとき、なまえを鏡の向こうの世界へと無理やりにでも帰したことを後悔していない。
これでよかったと、思っている。
でもー。
「ー時々、思うんだよね。
リヴァイに彼女の正体を話さなきゃよかったなって。」
王都での授与式を終えた帰り、リヴァイとハンジ、エルヴィンを乗せた客車はトロスト区に向かって、急ぐでもなく馬を走らせていた。
窓の外を眺めながら、ハンジが口にした大きな独り言に、エルヴィンもリヴァイも返事はしなかった。
なまえがこの世界から消えたのと同時に、彼女が存在していた記憶もほとんどの人間から消えた。
どうやら、彼女がパラレルワールドの住人だと知っていた者以外は彼女の記憶を残すことが出来なかったようだった。
記憶の改ざんが出来る人間がいることが分かった今、そんな現象が起きている今を不思議には思わない。
きっと最初から、彼女はリヴァイの心を救った後、全ての人間の記憶から消えてなくなることになっていたのだろう。
でも、ハンジが真相を暴いてしまい、リヴァイは彼女を愛してしまったー。
「あのとき、リヴァイが割らないでおいた鏡が旧本部にあったのも
あの部屋でジークが彼女を人質にしたのも、リヴァイが彼女を守って
撃たれたことも全部がさ、運命に操られてた気がするんだ。」
ハンジの大きな独り言は終わらない。
いつものように巨人談義を嬉々として聞かされる方がマシだ、とリヴァイは腕を組むと、そのまま目を瞑って眠ったフリをする。
本当は、目を閉じるのはあまり好きじゃないのだ。
彼女との記憶が瞼の裏に蘇り、願っても無駄なことで胸が引き裂かれそうになるからー。
「まるで、運命がさ、向こうの世界のリヴァイと彼女を
引き合せようとしていたみたいだった。全て運命の仕業さ。
彼女を鏡の向こうに突き放したのはリヴァイじゃない。ー運命だ。」
あぁ、本当にー。
長い付き合いというのは、こういうときお互いに煩わしいものだ。
組んだ腕の向こうで、無意識に指に力が入る。
瞼を閉じた真っ暗な視界に浮かび上がり続ける彼女がいる。
目の前にハンジが運命の相手だと言っていた男がいても、なまえはリヴァイのそばを離れなかった。
彼女の瞳が映すのは自分で、彼女が手を伸ばすのもそうだった。
あのとき初めて、向こうの世界と繋がっても帰らない、と言ってくれた彼女の言葉を心から信じることが出来たのだ。
彼女は自分を選んでくれるー、そう確信できるくらいに。
それなのにー。
ほんの小さな擦り傷ひとつつけずに守ってあげたかった彼女なのに、その心に傷をつけてしまったんじゃないかとー。
あれからずっと、それだけがー
あぁ、それだけが、気掛かりだー。