◇5話◇私は生きてここにいる
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調査兵団の兵舎というところに連れて来られていた私は、団長と呼ばれる男の執務室に案内された。
この組織のトップなのだそうだ。
リヴァイにエルヴィンと呼ばれたその男もまた、私を見るとひどく驚いた顔をした。
ハンジ達みたいに青くはならなかったけれど、食い入るように顔を見られた。
とりあえず詳しく話が聞きたいと言われて、エルヴィンと向かい合ってソファに腰を降ろす。
エルヴィンの両隣にはリヴァイとハンジが座っていた。
不安と恐怖に支配され震えそうで、私は隣に座ったリコの手を握った。
私が一緒に来てほしいとお願いしたのだけれど、ハンジも元々リコも一緒に来てもらうつもりだったそうだ。
「昨夜、ハンジにも確認されたと思うが、もう一度、訊ねさせてくれ。
君の名前は何だ?」
「…なまえです。」
「…そうか。」
一度息を呑んだ後、エルヴィンはゆっくりと咀嚼するように頷いた。
それからも昨夜ハンジが私に聞いたのと同じ質問が続いた。
巨人になれるのかとか、そもそも巨人を知らないのかとか、兵士だったことは覚えているかとかー。
同じことを何度も訊かれて、知らないと答える度に難しい顔をされる。
こんなことを続けていたら、本当に、私の方が頭がおかしいんだろうかと信じてしまいそうになるー。
「ねぇ、リコ。もう嫌だよ。怖い。帰りたい。
ここはどこなの?どうして私達、こんなところにいるの?
イアンとミタビが心配してるよ。帰ろう?」
私は隣に座るリコの手を握って、懇願するように言った。
でも、リコはひどく傷ついた顔をして、私から目を反らす。
「…イアンとミタビは死んだ。」
「死ん、だ…?何言ってるの?
もうすぐリコはイアンと結婚式でしょう?リコを残してイアンが死ぬなんてー。」
「…!?やめてくれよ、何をおかしなことを言ってるんだよっ。
私とイアンはそんなんじゃない…っ!」
「どうしちゃったの?イアンと喧嘩でもしたの?」
「お願いだ、もうやめてくれ!イアンとミタビは死んだんだっ!!」
「ねぇ、もう何を言ってるの!?リコまで意味わかんないこと言うのやめてよっ!」
「意味わかんないのは、なまえの方だろう!?
あの日、イアンとミタビと一緒に、なまえだって死んだじゃないか!!
どうしてここにいるんだよ!!頭が痛いのはこっちの方だっ!」
リコは泣きそうな顔で頭を抱えた。
私の声なんて聞きたくないみたいに、私の顔なんて見たくないみたいにー。
「…死んだ?…私、が…?」
絶望的に、私は呟く。
こんなにはっきりと言われたのは初めてだったけれど、そういえば、それに似たようなことは何度か言われていたような気がする。
そう考えると、私の顔を見て、ハンジ達が青い顔をした理由も分かるような気もしてくる。
じゃあ、ここは死後の世界なのか。
いや、違う。死んだ人間の私がここにいることに対して、リコ達は驚いているようだったからー。
あぁ、もう、本当に意味が分からない。
怖いー。
私は死んだ人間だと信じ切っている、彼らの目が、怖いー。
あぁー。
私は、死んだのかなー。
「死んでねぇ。なまえは死んでねぇから、ここにいるんだろ。」
リヴァイがハッキリと言って、ここにいるみんなを叱ってくれた。
私は生きているって、ちゃんとここにいるんだってー。
不安と恐怖の中で、自信を持って私の存在を認めてくれていたリヴァイのその言葉に、私がどれだけ救われたかー。
妄想男に絶望しそうな心を救ってもらえるなんて、思ってもいなかった。
でも、確かに、その時その場所でただ一人、私が生きてここにいることを無条件で受け入れてくれたリヴァイに、私は救われたのだ。
この組織のトップなのだそうだ。
リヴァイにエルヴィンと呼ばれたその男もまた、私を見るとひどく驚いた顔をした。
ハンジ達みたいに青くはならなかったけれど、食い入るように顔を見られた。
とりあえず詳しく話が聞きたいと言われて、エルヴィンと向かい合ってソファに腰を降ろす。
エルヴィンの両隣にはリヴァイとハンジが座っていた。
不安と恐怖に支配され震えそうで、私は隣に座ったリコの手を握った。
私が一緒に来てほしいとお願いしたのだけれど、ハンジも元々リコも一緒に来てもらうつもりだったそうだ。
「昨夜、ハンジにも確認されたと思うが、もう一度、訊ねさせてくれ。
君の名前は何だ?」
「…なまえです。」
「…そうか。」
一度息を呑んだ後、エルヴィンはゆっくりと咀嚼するように頷いた。
それからも昨夜ハンジが私に聞いたのと同じ質問が続いた。
巨人になれるのかとか、そもそも巨人を知らないのかとか、兵士だったことは覚えているかとかー。
同じことを何度も訊かれて、知らないと答える度に難しい顔をされる。
こんなことを続けていたら、本当に、私の方が頭がおかしいんだろうかと信じてしまいそうになるー。
「ねぇ、リコ。もう嫌だよ。怖い。帰りたい。
ここはどこなの?どうして私達、こんなところにいるの?
イアンとミタビが心配してるよ。帰ろう?」
私は隣に座るリコの手を握って、懇願するように言った。
でも、リコはひどく傷ついた顔をして、私から目を反らす。
「…イアンとミタビは死んだ。」
「死ん、だ…?何言ってるの?
もうすぐリコはイアンと結婚式でしょう?リコを残してイアンが死ぬなんてー。」
「…!?やめてくれよ、何をおかしなことを言ってるんだよっ。
私とイアンはそんなんじゃない…っ!」
「どうしちゃったの?イアンと喧嘩でもしたの?」
「お願いだ、もうやめてくれ!イアンとミタビは死んだんだっ!!」
「ねぇ、もう何を言ってるの!?リコまで意味わかんないこと言うのやめてよっ!」
「意味わかんないのは、なまえの方だろう!?
あの日、イアンとミタビと一緒に、なまえだって死んだじゃないか!!
どうしてここにいるんだよ!!頭が痛いのはこっちの方だっ!」
リコは泣きそうな顔で頭を抱えた。
私の声なんて聞きたくないみたいに、私の顔なんて見たくないみたいにー。
「…死んだ?…私、が…?」
絶望的に、私は呟く。
こんなにはっきりと言われたのは初めてだったけれど、そういえば、それに似たようなことは何度か言われていたような気がする。
そう考えると、私の顔を見て、ハンジ達が青い顔をした理由も分かるような気もしてくる。
じゃあ、ここは死後の世界なのか。
いや、違う。死んだ人間の私がここにいることに対して、リコ達は驚いているようだったからー。
あぁ、もう、本当に意味が分からない。
怖いー。
私は死んだ人間だと信じ切っている、彼らの目が、怖いー。
あぁー。
私は、死んだのかなー。
「死んでねぇ。なまえは死んでねぇから、ここにいるんだろ。」
リヴァイがハッキリと言って、ここにいるみんなを叱ってくれた。
私は生きているって、ちゃんとここにいるんだってー。
不安と恐怖の中で、自信を持って私の存在を認めてくれていたリヴァイのその言葉に、私がどれだけ救われたかー。
妄想男に絶望しそうな心を救ってもらえるなんて、思ってもいなかった。
でも、確かに、その時その場所でただ一人、私が生きてここにいることを無条件で受け入れてくれたリヴァイに、私は救われたのだ。