◇47話◇彼とキスをした
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その日は、朝からリヴァイの身体の調子が良かった。
兵舎から出ないのであれば、車椅子で散歩に出てもいいと医師から許可も出たのだけれど、本人はあまり乗り気ではない。
それなら、無理に外に出る必要もないので、今日もいつものように私はベッド脇の椅子に座って、リヴァイとお喋りをしては本を読む。
この世界の文字が読めるようになれば、なまえとの趣味は同じなので、リヴァイが用意してくれていた本は面白い。
リヴァイはそもそもあまり話すようなタイプではないし、私も無理して話したいとは思わない。
それに、あまり喋り過ぎてボロが出るのも困る。
だから、時々、お互いに思いついた時に話すくらいで、私はなまえの本を読んでいつも時間を過ごしていた。
「なまえ。」
声をかけられて、顔を上げる。
椅子に座る私と視線が合うように、リヴァイが身体を曲げているのが見えた。
気づいたら、キスをされていた。
記憶が戻ったと言った後もリヴァイがそういうことをすることはなかった。
だから、不意打ちのそれにすごく驚いてー。
読んでいた本が、手元から滑って床に落ちる。
リヴァイの手が肩のあたりに這わされて、ベッドに上がるように促してくる。
ピタリと重なった唇は離れなくて、私はまるで操られているみたいに、ベッドに膝を乗せていた。
腰を抱き寄せられれば、いつの間にか私はリヴァイの膝の上に跨っていた。
それでも、怪我人の彼に体重をかけないように膝立ちするような余裕は残っていたようだった。
でも、リヴァイが誰を想ってキスをしているのかを理解出来るほど、冷静ではなかった。
リヴァイの頭を抱えるように両腕をまわして、私はただ愛おしい人のキスを受け止めていた。
私の背中を撫でまわすように抱きしめるリヴァイの手の感触を感じながら、舌を絡め合う。
とろけるようなキスー。
甘くて、私が人生で知ることがなかったほどの愛が唇から流れ込む、幸せなキスー。
脳が痺れて、閉じた瞼に見える視界すらユラユラと揺れる。
このまま私の心が壊れてしまえば、幸せな時間のまま時が止まってくれたのにー。
リヴァイの手が、スカートをたくし上げて太ももを撫でて、もう片方の手がシャツの隙間から肌を撫でながら胸に触れたとき、私は急に気づいてしまった。
彼が求めているのは、なまえだってこと。
それなのに、私が、私に戻ってしまっていたことー。
「ダメ…ッ!」
無意識に胸元を思いっきり突き飛ばして、ハッとする。
私もリヴァイも、お互いが驚いていたと思う。
痛みを感じたはずのリヴァイすら目を見開いていて、時間が止まったようだった。
「病室で…っ、こんなことしちゃダメだよ…!
いつ誰が来るか、わかんないのに…っ。」
それらしい言い訳をしながら、私はいつの間にか乱れていた服を直す。
それで納得してくれたのかは分からないけれど、リヴァイからはどこかホッとしたような息が漏れたのが聞こえた。
そして、またリヴァイの手が腰にまわり、少し強めに抱き寄せられる。
思わずよろけるように抱き着いた私の耳元で、リヴァイが言う。
「病室じゃなかったら、いいんだな?」
「…っ。」
本当にほんの一瞬だけ、なまえとして抱かれる可哀想な自分を想像してしまった。
でも、それ以上に、リヴァイと身体を重ねられる日が来る喜びの方が嬉しかった。
私は本当にどうしようもないくらいに、彼が好きなのだと思う。
「…宿舎に戻ったらね。」
そっと身体を離して、私は染まる頬を隠すように下を向いて答える。
でも、またリヴァイに抱き寄せられるのだ。
彼がズルいのは、いつもはあまり気持ちを表情に出さないくせに、こんな時に限ってひどく嬉しそうな笑顔を見せたことだ。
話している内容とはかけ離れた、まるで無邪気な子供みたいな嬉しそうな笑顔で、私を抱き寄せしめてー。
「早く治さねぇとな!」
踊るような声は、その日がとても楽しみだと言っていた。
私は、バカだ。
そんな無邪気な彼を、可愛いなんて思うんだからー。
彼が楽しみなその日に、私は心も身体も、ひどく傷つけられるというのにー。
私はー。
「早く元気になってね。」
なまえが乗り移った、明るい笑顔を見せたのだからー。
兵舎から出ないのであれば、車椅子で散歩に出てもいいと医師から許可も出たのだけれど、本人はあまり乗り気ではない。
それなら、無理に外に出る必要もないので、今日もいつものように私はベッド脇の椅子に座って、リヴァイとお喋りをしては本を読む。
この世界の文字が読めるようになれば、なまえとの趣味は同じなので、リヴァイが用意してくれていた本は面白い。
リヴァイはそもそもあまり話すようなタイプではないし、私も無理して話したいとは思わない。
それに、あまり喋り過ぎてボロが出るのも困る。
だから、時々、お互いに思いついた時に話すくらいで、私はなまえの本を読んでいつも時間を過ごしていた。
「なまえ。」
声をかけられて、顔を上げる。
椅子に座る私と視線が合うように、リヴァイが身体を曲げているのが見えた。
気づいたら、キスをされていた。
記憶が戻ったと言った後もリヴァイがそういうことをすることはなかった。
だから、不意打ちのそれにすごく驚いてー。
読んでいた本が、手元から滑って床に落ちる。
リヴァイの手が肩のあたりに這わされて、ベッドに上がるように促してくる。
ピタリと重なった唇は離れなくて、私はまるで操られているみたいに、ベッドに膝を乗せていた。
腰を抱き寄せられれば、いつの間にか私はリヴァイの膝の上に跨っていた。
それでも、怪我人の彼に体重をかけないように膝立ちするような余裕は残っていたようだった。
でも、リヴァイが誰を想ってキスをしているのかを理解出来るほど、冷静ではなかった。
リヴァイの頭を抱えるように両腕をまわして、私はただ愛おしい人のキスを受け止めていた。
私の背中を撫でまわすように抱きしめるリヴァイの手の感触を感じながら、舌を絡め合う。
とろけるようなキスー。
甘くて、私が人生で知ることがなかったほどの愛が唇から流れ込む、幸せなキスー。
脳が痺れて、閉じた瞼に見える視界すらユラユラと揺れる。
このまま私の心が壊れてしまえば、幸せな時間のまま時が止まってくれたのにー。
リヴァイの手が、スカートをたくし上げて太ももを撫でて、もう片方の手がシャツの隙間から肌を撫でながら胸に触れたとき、私は急に気づいてしまった。
彼が求めているのは、なまえだってこと。
それなのに、私が、私に戻ってしまっていたことー。
「ダメ…ッ!」
無意識に胸元を思いっきり突き飛ばして、ハッとする。
私もリヴァイも、お互いが驚いていたと思う。
痛みを感じたはずのリヴァイすら目を見開いていて、時間が止まったようだった。
「病室で…っ、こんなことしちゃダメだよ…!
いつ誰が来るか、わかんないのに…っ。」
それらしい言い訳をしながら、私はいつの間にか乱れていた服を直す。
それで納得してくれたのかは分からないけれど、リヴァイからはどこかホッとしたような息が漏れたのが聞こえた。
そして、またリヴァイの手が腰にまわり、少し強めに抱き寄せられる。
思わずよろけるように抱き着いた私の耳元で、リヴァイが言う。
「病室じゃなかったら、いいんだな?」
「…っ。」
本当にほんの一瞬だけ、なまえとして抱かれる可哀想な自分を想像してしまった。
でも、それ以上に、リヴァイと身体を重ねられる日が来る喜びの方が嬉しかった。
私は本当にどうしようもないくらいに、彼が好きなのだと思う。
「…宿舎に戻ったらね。」
そっと身体を離して、私は染まる頬を隠すように下を向いて答える。
でも、またリヴァイに抱き寄せられるのだ。
彼がズルいのは、いつもはあまり気持ちを表情に出さないくせに、こんな時に限ってひどく嬉しそうな笑顔を見せたことだ。
話している内容とはかけ離れた、まるで無邪気な子供みたいな嬉しそうな笑顔で、私を抱き寄せしめてー。
「早く治さねぇとな!」
踊るような声は、その日がとても楽しみだと言っていた。
私は、バカだ。
そんな無邪気な彼を、可愛いなんて思うんだからー。
彼が楽しみなその日に、私は心も身体も、ひどく傷つけられるというのにー。
私はー。
「早く元気になってね。」
なまえが乗り移った、明るい笑顔を見せたのだからー。