◇43話◇ごめんなさい
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私が駆けつけたときには既に、なんとか生きていただけだったリヴァイは、次第に心臓の鼓動を弱くしていった。
リヴァイの病室には医療兵と医師が集まり、懸命の治療にあたった。
その時を迎えようとしているリヴァイの身体と魂を、医師の指示で医療兵達が必死に持ちこたえさせようとしていた。
でも、ダメだった。
リヴァイは生きることを望まず、心臓の鼓動を止めてしまった。
そして今、エルヴィンやハンジ、モブリット、リヴァイ班のみんなが見守る中、心臓マッサージが施されている。
みんな、必死に祈っている。願っている。
でも、リヴァイは戻って来てくれない。
帰って来てくれない。
私達の元へ、帰ってきたくないみたいだ。
もしかしたら、なまえに会えたのかもしれない。
彼は今、幸せの中にいるのかもしれない。
私達は、リヴァイを呼び戻したら、いけないのかもしれない。
ずっとずっと会いたくて、壊れてしまうくらいに愛しているなまえのもとへやっと行けたのにー。
なまえのいない地獄に帰ってきてくれ、なんて残酷だ。
そんなの、あんまりだ。
「もういい。止めてやってくれ。」
エルヴィンが、泣きながら必死に心臓マッサージをしていた医療兵の腕を掴んだ。
それでも、彼は心臓マッサージする手を止めない。
どうにかして、戻ってきてほしいからー。
それは、リヴァイが人類最強の兵士だからとか、そういうのではないのだと思う。
みんな、リヴァイのいる世界で生きていたいのだ。
リヴァイが、なまえのいる世界で生きていたかったみたいにー。
あぁ、本当に、私達はなんて勝手なんだろうー。
「止めなさい。」
「嫌です…!俺は絶対に、リヴァイ兵長を…!」
「リヴァイに、なまえとの最期の時間もやらないつもりか。」
「…っ。」
悔しそうに唇を噛んで、医療兵がリヴァイ兵長の胸の上から手をどかした。
ハンジに肩を支えられ、私は、ベッドで眠るリヴァイのそばに立たされた。
血の気のない顔は、諦めてくれと言っているみたいだった。
膝から崩れ落ちかけた私を、モブリットがベッド脇の椅子に座らせる。
リヴァイは、頭も、胸も、腕も、腹も、足もー、包帯だらけなのだ。
かろうじて見えている肌には、新しいものから古いものまで、傷がいくつもあって、ボロボロだ。
リヴァイの身体を見れば、自分の心と身体を傷つけながら、これまでも仲間を守るために必死に戦ってきたのだろうと、兵士ではない私にだって分かる程だった。
今回の壁外調査では、女型の巨人というものからリヴァイ班のみんなを守るために、1人で無理して戦ったのだそうだ。
そのおかげで、リヴァイ班のみんなはほぼ無傷で、女型の巨人になれる人間を捕らえることも出来たのだと、モブリットが教えてくれた。
リヴァイが助けに来なければ、リヴァイ班のみんなは死んでいたとペトラが泣いていた。
あぁ、きっとー。
きっと、彼は、もう二度と、誰にも死んでほしくなかったのだと思う。
これ以上、大切な人が欠けた世界で生きていたくなかったのだろう。
だから、無理をしてー。
でも、リヴァイが本当にそばにいてほしい人は、この世界にはもういない。
この世界は、彼にとって、生きていても地獄。地獄と同じ。
そして、今、半分ほど魂を預けている空の上の世界は、天国だ。
そこにいた方が、彼は幸せになれるのだと思う。
もう心と身体を傷つけながら、巨人のいる生きづらい世界で戦い続けなくていいのだから。
そこに、愛してやまないなまえがいるのだからー。
彼の幸せを考えれば、このまま逝かせてあげた方がいいのだろう。
引き留めてはいけない。
帰ってきてほしいと願っては、いけないー。
でも、私はー。
「リヴァイ…っ。帰ってきて…っ。」
リヴァイの手を握って、私は何度も何度も愛おしい名前を呼びながら懇願していた。
心臓が弱くなってると医師達が慌ただしく処置をし始めたときから、ずっと、同じことを繰り返している。
泣きながら、リヴァイの名前を呼び続けている。
彼にとってこの世界は地獄なのだと分かっている。
私が今しているのは、自分勝手で我儘な願いだってことも分かっている。
でもー。
「リヴァイ…っ、お願い、リヴァイ…っ。」
リヴァイのいない世界なんて、嫌だー。
怖い。そんな世界が存在するかもしれないと考えることさえも、怖いー。
心臓が冷えて、恐怖で足がすくむ。
息の仕方を忘れて苦しくなって、心臓の鼓動の仕方を忘れて胸が痛くなる。
あぁ、やっとー。
やっと私は、リヴァイがどれほど恐ろしい世界で生きていたのかが、分かった。
だから、もう二度と、そんな思いを私がさせないからー。
お願い、戻ってきてー。
帰ってきてー。
置いて、行かないでー。
「リヴァイ…っ、愛してるの…っ。」
心臓の音のしないリヴァイに、縋るように抱き着いた。
温かい頬に、涙で濡れた私の頬を重ねる。
お願い。死なないでー。
帰ってきてー。
「動いた…!!指が動いた!!」
誰かが叫んだ。
ハンジだった気がする。
諦めかけていた空気が、慌ただしく希望に向けて動き出す。
それと同時に、弱々しい心臓の音が、抱き着く私の身体に届き始めてー。
(う、そ…。帰ってきて、くれたの…?地獄に…?)
医師や医療兵達が、リヴァイに声をかけながら、身体の反射を調べ出した。
リヴァイの命の火が、また灯り始めたのか。
か弱いけれども、希望があるのかー。
「なまえ、処置を再開するからこっちで待ってようか。」
モブリットが私の肩を支えて、リヴァイに縋りついていた私の身体を抱き起した。
壁際まで下がった私達は、リヴァイの周りを囲み必死に命を舞い戻そうとしている医療兵と医師達を見守った。
死なないでー。
そう願いながら。
ごめんなさいー。
そう、謝りながら。
それでも私は、リヴァイが生きている世界を望んだ。
たとえ、この世界がリヴァイを苦しめても、そばにいてほしくてー。
リヴァイの病室には医療兵と医師が集まり、懸命の治療にあたった。
その時を迎えようとしているリヴァイの身体と魂を、医師の指示で医療兵達が必死に持ちこたえさせようとしていた。
でも、ダメだった。
リヴァイは生きることを望まず、心臓の鼓動を止めてしまった。
そして今、エルヴィンやハンジ、モブリット、リヴァイ班のみんなが見守る中、心臓マッサージが施されている。
みんな、必死に祈っている。願っている。
でも、リヴァイは戻って来てくれない。
帰って来てくれない。
私達の元へ、帰ってきたくないみたいだ。
もしかしたら、なまえに会えたのかもしれない。
彼は今、幸せの中にいるのかもしれない。
私達は、リヴァイを呼び戻したら、いけないのかもしれない。
ずっとずっと会いたくて、壊れてしまうくらいに愛しているなまえのもとへやっと行けたのにー。
なまえのいない地獄に帰ってきてくれ、なんて残酷だ。
そんなの、あんまりだ。
「もういい。止めてやってくれ。」
エルヴィンが、泣きながら必死に心臓マッサージをしていた医療兵の腕を掴んだ。
それでも、彼は心臓マッサージする手を止めない。
どうにかして、戻ってきてほしいからー。
それは、リヴァイが人類最強の兵士だからとか、そういうのではないのだと思う。
みんな、リヴァイのいる世界で生きていたいのだ。
リヴァイが、なまえのいる世界で生きていたかったみたいにー。
あぁ、本当に、私達はなんて勝手なんだろうー。
「止めなさい。」
「嫌です…!俺は絶対に、リヴァイ兵長を…!」
「リヴァイに、なまえとの最期の時間もやらないつもりか。」
「…っ。」
悔しそうに唇を噛んで、医療兵がリヴァイ兵長の胸の上から手をどかした。
ハンジに肩を支えられ、私は、ベッドで眠るリヴァイのそばに立たされた。
血の気のない顔は、諦めてくれと言っているみたいだった。
膝から崩れ落ちかけた私を、モブリットがベッド脇の椅子に座らせる。
リヴァイは、頭も、胸も、腕も、腹も、足もー、包帯だらけなのだ。
かろうじて見えている肌には、新しいものから古いものまで、傷がいくつもあって、ボロボロだ。
リヴァイの身体を見れば、自分の心と身体を傷つけながら、これまでも仲間を守るために必死に戦ってきたのだろうと、兵士ではない私にだって分かる程だった。
今回の壁外調査では、女型の巨人というものからリヴァイ班のみんなを守るために、1人で無理して戦ったのだそうだ。
そのおかげで、リヴァイ班のみんなはほぼ無傷で、女型の巨人になれる人間を捕らえることも出来たのだと、モブリットが教えてくれた。
リヴァイが助けに来なければ、リヴァイ班のみんなは死んでいたとペトラが泣いていた。
あぁ、きっとー。
きっと、彼は、もう二度と、誰にも死んでほしくなかったのだと思う。
これ以上、大切な人が欠けた世界で生きていたくなかったのだろう。
だから、無理をしてー。
でも、リヴァイが本当にそばにいてほしい人は、この世界にはもういない。
この世界は、彼にとって、生きていても地獄。地獄と同じ。
そして、今、半分ほど魂を預けている空の上の世界は、天国だ。
そこにいた方が、彼は幸せになれるのだと思う。
もう心と身体を傷つけながら、巨人のいる生きづらい世界で戦い続けなくていいのだから。
そこに、愛してやまないなまえがいるのだからー。
彼の幸せを考えれば、このまま逝かせてあげた方がいいのだろう。
引き留めてはいけない。
帰ってきてほしいと願っては、いけないー。
でも、私はー。
「リヴァイ…っ。帰ってきて…っ。」
リヴァイの手を握って、私は何度も何度も愛おしい名前を呼びながら懇願していた。
心臓が弱くなってると医師達が慌ただしく処置をし始めたときから、ずっと、同じことを繰り返している。
泣きながら、リヴァイの名前を呼び続けている。
彼にとってこの世界は地獄なのだと分かっている。
私が今しているのは、自分勝手で我儘な願いだってことも分かっている。
でもー。
「リヴァイ…っ、お願い、リヴァイ…っ。」
リヴァイのいない世界なんて、嫌だー。
怖い。そんな世界が存在するかもしれないと考えることさえも、怖いー。
心臓が冷えて、恐怖で足がすくむ。
息の仕方を忘れて苦しくなって、心臓の鼓動の仕方を忘れて胸が痛くなる。
あぁ、やっとー。
やっと私は、リヴァイがどれほど恐ろしい世界で生きていたのかが、分かった。
だから、もう二度と、そんな思いを私がさせないからー。
お願い、戻ってきてー。
帰ってきてー。
置いて、行かないでー。
「リヴァイ…っ、愛してるの…っ。」
心臓の音のしないリヴァイに、縋るように抱き着いた。
温かい頬に、涙で濡れた私の頬を重ねる。
お願い。死なないでー。
帰ってきてー。
「動いた…!!指が動いた!!」
誰かが叫んだ。
ハンジだった気がする。
諦めかけていた空気が、慌ただしく希望に向けて動き出す。
それと同時に、弱々しい心臓の音が、抱き着く私の身体に届き始めてー。
(う、そ…。帰ってきて、くれたの…?地獄に…?)
医師や医療兵達が、リヴァイに声をかけながら、身体の反射を調べ出した。
リヴァイの命の火が、また灯り始めたのか。
か弱いけれども、希望があるのかー。
「なまえ、処置を再開するからこっちで待ってようか。」
モブリットが私の肩を支えて、リヴァイに縋りついていた私の身体を抱き起した。
壁際まで下がった私達は、リヴァイの周りを囲み必死に命を舞い戻そうとしている医療兵と医師達を見守った。
死なないでー。
そう願いながら。
ごめんなさいー。
そう、謝りながら。
それでも私は、リヴァイが生きている世界を望んだ。
たとえ、この世界がリヴァイを苦しめても、そばにいてほしくてー。