◇36話◇君のためだけのアドバイス
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書類仕事を進めるにはちょうどいい静かな図書室には、窓の外から楽しそうな笑い声が届く。
窓辺に立つモブリットは、普段は人がいることのない裏庭で恋人達が幸せな時間を過ごしているのを眺めていた。
なぜわざわざ裏庭なんかで恋人の時間を過ごさなければならないのかと腹が立つほどには、とても嬉しそうに頬を染めるなまえの笑顔が良く見えた。
なぜ、自分の部屋で書類仕事をしようと思わなかったのだろう。
あぁ、そうだ。
1人の部屋にいると、余計なことを考えてしまいそうだったからだ。
でも、こんなことになるくらいなら、自分の部屋で仕事をしていた方がマシだったかもしれない。
いや、きっと、逆に良かったのだ。
なまえの気持ちに気づいても尚、彼女を守るのは自分であればいいなんて想いが消えないのだからー。
なまえは、何を言われて、あんなに嬉しそうに頬を染めたのだろう。
ちゃんと、彼が気持ちを伝えてあげられたのなら、それでなまえが今、幸せだとほんのわずかでも思ってくれたのなら、それだけでいいー。
『リヴァイ兵長!』
ここへ来る前、今すぐにでもなまえの元へと駆けだしたそうな背中を呼び止めた。
『何か問題でもあったか。』
『仕事のことではないのですが…。
これからは、彼女に、気持ちを言葉にして伝えてあげたらどうでしょうか?』
『…何だ、いきなり。』
『いえ…、昨日の彼女を見て思ったのですが。
記憶のない自分がリヴァイ兵長に愛されているか不安になっているようだったので。』
『まぁ、そうだな。
だが、常にそばに置いておいて、不安になる理由が俺には分からねぇ。』
『たぶん、彼女は、愛されているのは自分じゃないと思ってるんだと思います。』
『…は?』
『生き返る前の自分のことをリヴァイ兵長は愛していたから、
自分を、生き返る前の自分と重ねて愛してるんだと…
思ってるんじゃないでしょうか。自分を見てるわけじゃないと…。』
『そんなわけねぇだろ。今のなまえを…見てる。』
『それを伝えてあげて欲しいんです。
今のそのままで好きだと、愛おしいんだと。
そうすれば、彼女は喜ぶと思います。』
『…随分とアイツのことを知った口をたたくんだな。』
『あ…!すみません…っ、出過ぎたことを言いました…っ。』
『いや、いい。お前の言う通りかもしれん。善処する。』
リヴァイは早口でそう言うと、ほとんど駆け出すような勢いで廊下の向こうに消えていった。
どれくらい自分のアドバイスが届いたのか自信がなかったが、リヴァイはちゃんと、なまえを喜ばすことを言ってくれたようだ。
よかった。
本当に、よかったー。
そう思ってるのは、嘘じゃない。
ただ少しだけ、アドバイスをしたことを後悔しただけだ。
調子に乗ったリヴァイがキスをしようとして、驚いたなまえに胸元を思いっきり突き飛ばされたのを見届けて、モブリットはデスクに戻った。
窓辺に立つモブリットは、普段は人がいることのない裏庭で恋人達が幸せな時間を過ごしているのを眺めていた。
なぜわざわざ裏庭なんかで恋人の時間を過ごさなければならないのかと腹が立つほどには、とても嬉しそうに頬を染めるなまえの笑顔が良く見えた。
なぜ、自分の部屋で書類仕事をしようと思わなかったのだろう。
あぁ、そうだ。
1人の部屋にいると、余計なことを考えてしまいそうだったからだ。
でも、こんなことになるくらいなら、自分の部屋で仕事をしていた方がマシだったかもしれない。
いや、きっと、逆に良かったのだ。
なまえの気持ちに気づいても尚、彼女を守るのは自分であればいいなんて想いが消えないのだからー。
なまえは、何を言われて、あんなに嬉しそうに頬を染めたのだろう。
ちゃんと、彼が気持ちを伝えてあげられたのなら、それでなまえが今、幸せだとほんのわずかでも思ってくれたのなら、それだけでいいー。
『リヴァイ兵長!』
ここへ来る前、今すぐにでもなまえの元へと駆けだしたそうな背中を呼び止めた。
『何か問題でもあったか。』
『仕事のことではないのですが…。
これからは、彼女に、気持ちを言葉にして伝えてあげたらどうでしょうか?』
『…何だ、いきなり。』
『いえ…、昨日の彼女を見て思ったのですが。
記憶のない自分がリヴァイ兵長に愛されているか不安になっているようだったので。』
『まぁ、そうだな。
だが、常にそばに置いておいて、不安になる理由が俺には分からねぇ。』
『たぶん、彼女は、愛されているのは自分じゃないと思ってるんだと思います。』
『…は?』
『生き返る前の自分のことをリヴァイ兵長は愛していたから、
自分を、生き返る前の自分と重ねて愛してるんだと…
思ってるんじゃないでしょうか。自分を見てるわけじゃないと…。』
『そんなわけねぇだろ。今のなまえを…見てる。』
『それを伝えてあげて欲しいんです。
今のそのままで好きだと、愛おしいんだと。
そうすれば、彼女は喜ぶと思います。』
『…随分とアイツのことを知った口をたたくんだな。』
『あ…!すみません…っ、出過ぎたことを言いました…っ。』
『いや、いい。お前の言う通りかもしれん。善処する。』
リヴァイは早口でそう言うと、ほとんど駆け出すような勢いで廊下の向こうに消えていった。
どれくらい自分のアドバイスが届いたのか自信がなかったが、リヴァイはちゃんと、なまえを喜ばすことを言ってくれたようだ。
よかった。
本当に、よかったー。
そう思ってるのは、嘘じゃない。
ただ少しだけ、アドバイスをしたことを後悔しただけだ。
調子に乗ったリヴァイがキスをしようとして、驚いたなまえに胸元を思いっきり突き飛ばされたのを見届けて、モブリットはデスクに戻った。