◇29話◇鏡の向こうの世界
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荷馬車の上を久しぶりだと感じてしまうくらいに、私はこの世界に馴染んでしまったのかもしれない。
最低な気分で、生温かい風を顔面に浴びているところだ。
この荷馬車は今、調査兵団の兵舎のあるトロスト区へ向かっている。
「なぜ、俺の馬に乗らねぇ。なぜ、俺の馬にー。」
荷馬車に馬に乗って並走しているリヴァイが、さっきからブツブツとうるさい。
とりあえず無視して、私は今、生温い風を顔面に浴びている。
夜は雁字搦めの腕で閉じ込められて一睡もできず、唯一の休憩時間だったモブリットの背中と睡眠も奪われ、私の心と身体はボロボロだった。
しかも、私が眠れないことをリヴァイに教えたのがモブリットだと分かったときのショックは計り知れないものがあった。
リヴァイにも私の身体を気遣って欲しいー、と思ったらしいけれど、むしろ逆効果だ。
でも、嬉しいこともあった。
それはー。
『パラレルワールドに戻る道を思いついたんだ。』
1週間ほど前、いつものように訓練中の調査兵達にホースの水をかけて遊んでいるところに、ハンジとモブリットがやってきた。
そして、連れて行かれた会議室で、彼らはパラレルワールドへ戻る道に心当たりを見つけたと教えてくれた。
それがあるのは、トロスト区にあるなまえとリヴァイの家だった。
あの日、なまえは鏡の向こう側にいた。もしも、なまえも鏡に向かって話していたとしたら、それはあの家の全身鏡だったのではないか。
その全身鏡が、向こうの世界の私の家の鏡と繋がっているのなら、そこから元の世界に帰れるかもしれないー。
(絶対、帰る…!)
私はまっすぐに前を見据える。
先頭を走っているハンジとモブリットの背中を、私は信じるしかない。
この世界で、本当の私を知っている彼らに、頼るしかないー。
もしも、元の世界に帰れる道を見つけたとしても、今はまだ残っていてほしいと言われている。
壁外調査という、壁の外の巨人のいる領域に出る作戦が近々実行されるらしい。
人類最強の兵士であるリヴァイには、万全の状態でそれに挑んでもらう必要がある。
もしも、その作戦前に、生き返った恋人が消えてしまって、リヴァイが潰れてしまったら、今までの努力も全て水の泡なのだそうだ。
本当は今すぐ帰りたいー。
でも、ハンジとモブリットには、感謝もしている。
リヴァイのことも嫌いなわけじゃない。
だからー。
壁外調査まで、それまで頑張れば、私は帰れる。
帰れると、信じてるー。
最低な気分で、生温かい風を顔面に浴びているところだ。
この荷馬車は今、調査兵団の兵舎のあるトロスト区へ向かっている。
「なぜ、俺の馬に乗らねぇ。なぜ、俺の馬にー。」
荷馬車に馬に乗って並走しているリヴァイが、さっきからブツブツとうるさい。
とりあえず無視して、私は今、生温い風を顔面に浴びている。
夜は雁字搦めの腕で閉じ込められて一睡もできず、唯一の休憩時間だったモブリットの背中と睡眠も奪われ、私の心と身体はボロボロだった。
しかも、私が眠れないことをリヴァイに教えたのがモブリットだと分かったときのショックは計り知れないものがあった。
リヴァイにも私の身体を気遣って欲しいー、と思ったらしいけれど、むしろ逆効果だ。
でも、嬉しいこともあった。
それはー。
『パラレルワールドに戻る道を思いついたんだ。』
1週間ほど前、いつものように訓練中の調査兵達にホースの水をかけて遊んでいるところに、ハンジとモブリットがやってきた。
そして、連れて行かれた会議室で、彼らはパラレルワールドへ戻る道に心当たりを見つけたと教えてくれた。
それがあるのは、トロスト区にあるなまえとリヴァイの家だった。
あの日、なまえは鏡の向こう側にいた。もしも、なまえも鏡に向かって話していたとしたら、それはあの家の全身鏡だったのではないか。
その全身鏡が、向こうの世界の私の家の鏡と繋がっているのなら、そこから元の世界に帰れるかもしれないー。
(絶対、帰る…!)
私はまっすぐに前を見据える。
先頭を走っているハンジとモブリットの背中を、私は信じるしかない。
この世界で、本当の私を知っている彼らに、頼るしかないー。
もしも、元の世界に帰れる道を見つけたとしても、今はまだ残っていてほしいと言われている。
壁外調査という、壁の外の巨人のいる領域に出る作戦が近々実行されるらしい。
人類最強の兵士であるリヴァイには、万全の状態でそれに挑んでもらう必要がある。
もしも、その作戦前に、生き返った恋人が消えてしまって、リヴァイが潰れてしまったら、今までの努力も全て水の泡なのだそうだ。
本当は今すぐ帰りたいー。
でも、ハンジとモブリットには、感謝もしている。
リヴァイのことも嫌いなわけじゃない。
だからー。
壁外調査まで、それまで頑張れば、私は帰れる。
帰れると、信じてるー。