真夜中、目が覚めた。
たぶん、いつも私を雁字搦めに抱きしめているリヴァイの腕がなかったせいだ。

(どこに行ったんだろう？)

静かな寝室を見渡して、この部屋の主を探す。
でも、窓から覗く月明かりが淡く照らすだけの薄暗い部屋に、リヴァイの姿はなかった。
こんな真夜中にどこへ行ったのだろう。
せっかくベッドを独り占めして眠れるのに、なぜか私はリヴァイの姿を探そうとしていた。
ベッドから降りて、寝室を出る。
そしてすぐに、リヴァイを見つけた。
彼は、執務室の窓枠に腰を降ろして、夜空を見上げていた。
月明かりが、リヴァイの端正な横顔を照らして、ひどく綺麗に見える。
とても切なそうな切れ長の目は、今、何を見ているのだろう。
在りし日の彼女の姿だろうかー。

「起きたのか？」

私に気づいたリヴァイが、こちらを向く。
もう少し、夜空を見上げるリヴァイの横顔が見たかった気がする。

「今日は、早く寝ちゃったからかな。」
「そうだな。序盤で寝たからな。」
「…ごめん。」
「別にいい。あれで思い出すとも思ってねぇ。」

リヴァイはそう言うと、窓枠から降りた。
寝室に戻るのかと思ったけれど、廊下に続く扉へと向かう。

「どこか行くの？」
「そこで待ってろ。」

リヴァイはそれだけ言うと、部屋から出て行ってしまう。
いつも彼は説明が足りないと思う。
何を待っていればいいのかも分からないけれど、仕方なく、私はソファに腰を降ろして彼が戻ってくるのを待つことにした。
しばらくボーッとしていれば、リヴァイは立体起動装置を腰につけて戻って来た。
こんな夜中に、訓練でもするのだろうか。

「来い。」

リヴァイは私の手を引いて、部屋を出た。