◇20話◇医務室の彼女
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瞼に触れる指の感触に気が付いて、ゆっくりと目を開けた。
離れていく手の向こうに、心配そうに私を見下ろすリヴァイと目が合う。
「泣いてたのか。」
「え?」
「瞼が腫れてる。」
リヴァイに言われて、私は自分の瞼に触れた。
触っただけでは正直分からないけれど、泣いていたのは事実だ。
ここで誤魔化しても、嘘だということは明らかなのだろう。
「覚えてないけど、怖い夢を見たのかも。」
「…そうか。」
自分でも呆れるくらいの嘘だったけれど、僅かに目を伏せたリヴァイはそれ以上追及することはなかった。
この人は、あとどれくらい我慢をしたら、苦しみを呑み込んで、呑み込まれたら、現実を現実として受け入れるんだろう。
人類最強と呼ばれていた目の前の兵士が、私にはいつも、この世界で一番弱い人に見える。
儚く、見えるー。
そんなことを考えていると、リヴァイと目が合った。
「思い出したのか?」
意を決したように、リヴァイは訊ねた。
知りたいけれど、知りたくないことなのかもしれない。
だって、エレンに対して私が言った言葉は、なまえは戦死したと確定づけるものだったからー。
それはきっと、リヴァイが一番否定してほしかったことだ。
「あ~…、エレンのことを少しだけ。一番、新しい記憶だからかな。」
「他は?」
「…ごめんなさい。」
「いや、気にするな。またそうやってこれから思い出すかもしれねぇ。」
絶対にないけどー。
そう思ったけれど、一応、小さく頷いておいた。
リヴァイは何か考えるように黙り込んだ後、新しい質問を私にした。
「どうして廊下にいたんだ。」
「あ…。」
「また、逃げようとしてたのか。」
リヴァイは目を反らしはしなかったけれど、私の目を見てもいなかった。
「…リヴァイの部屋に行こうと思ってただけだよ。」
「俺の部屋に?」
「医務室って薬の匂いがして、好きじゃなくて。」
「あぁ…。そういえば、そうだったな、お前は。」
長い息を吐いたリヴァイは、ホッとしたというより、とても嬉しそうだった。
彼が思い出した彼女も、医務室が嫌いだったのだろうか。
思いがけず、私はうまく彼女のフリが出来たようだ。
離れていく手の向こうに、心配そうに私を見下ろすリヴァイと目が合う。
「泣いてたのか。」
「え?」
「瞼が腫れてる。」
リヴァイに言われて、私は自分の瞼に触れた。
触っただけでは正直分からないけれど、泣いていたのは事実だ。
ここで誤魔化しても、嘘だということは明らかなのだろう。
「覚えてないけど、怖い夢を見たのかも。」
「…そうか。」
自分でも呆れるくらいの嘘だったけれど、僅かに目を伏せたリヴァイはそれ以上追及することはなかった。
この人は、あとどれくらい我慢をしたら、苦しみを呑み込んで、呑み込まれたら、現実を現実として受け入れるんだろう。
人類最強と呼ばれていた目の前の兵士が、私にはいつも、この世界で一番弱い人に見える。
儚く、見えるー。
そんなことを考えていると、リヴァイと目が合った。
「思い出したのか?」
意を決したように、リヴァイは訊ねた。
知りたいけれど、知りたくないことなのかもしれない。
だって、エレンに対して私が言った言葉は、なまえは戦死したと確定づけるものだったからー。
それはきっと、リヴァイが一番否定してほしかったことだ。
「あ~…、エレンのことを少しだけ。一番、新しい記憶だからかな。」
「他は?」
「…ごめんなさい。」
「いや、気にするな。またそうやってこれから思い出すかもしれねぇ。」
絶対にないけどー。
そう思ったけれど、一応、小さく頷いておいた。
リヴァイは何か考えるように黙り込んだ後、新しい質問を私にした。
「どうして廊下にいたんだ。」
「あ…。」
「また、逃げようとしてたのか。」
リヴァイは目を反らしはしなかったけれど、私の目を見てもいなかった。
「…リヴァイの部屋に行こうと思ってただけだよ。」
「俺の部屋に?」
「医務室って薬の匂いがして、好きじゃなくて。」
「あぁ…。そういえば、そうだったな、お前は。」
長い息を吐いたリヴァイは、ホッとしたというより、とても嬉しそうだった。
彼が思い出した彼女も、医務室が嫌いだったのだろうか。
思いがけず、私はうまく彼女のフリが出来たようだ。