◇11話◇逃げられない
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走って、走って、走ってー。
息が切れるまで走っても、深い森から抜けられそうになくて、私は絶望しそうになっていた。
荷馬車に乗って古城へ向かったていたときは、そんなに長い森には思わなかったはずだった。
脚が震えて、うまく走れない。
それでも、一度でも立ち止まってしまったら巨人の大きな手に捕まえられるんじゃないかという恐怖心が、私を休ませてくれない。
どれくらい走ったのかは分からないけれど、生い茂る木々の向こうの空は真っ赤を通り越して紫色に変わっていた。
もうじき夜になる。
こんな森の中で夜を過ごすなんてー。
怖いけれど、怖いけれどー。
巨人のいる古城に戻るよりはマシだ。
「…っ!?」
すぐそばの木が揺れたと気づいた時には、目の前に3人の男が立っていた。
兵団服は着ていないから、リヴァイ達の仲間ではないのかもしれない。
でも、1人は銃を持っていて、私に友好的だとは思えなかった。
むしろ、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、少しずつ近づいてくる彼らからは、嫌な予感しかしない。
どうしてこんなときにー。
恐怖で震える身体で、必死に後退るが、ほんの少しずつしか動けていないのは自分でも分かるくらいだった。
「調査兵団の兵士長の女が天使になって戻って来たと聞いて来てみたら、
そっちから会いにきてくれるなんてなぁ。ラッキーだぜ。」
銃を持った男が嫌な笑みを浮かべながら近づいてくる。
逃げろー。
頭が警告を鳴らすのに、震える身体で漸く一歩後ろにさがれたときには、腕を掴まれていた。
そのまま腕を引かれて、背中から拘束するように抱きしめられる。
男の手がシャツの裾から強引に入ってきて、腹を撫でられると、恐怖で身体が固まり抵抗することも出来なくなった。
「へぇ。記憶がねぇってのは本当みてぇだな。
今までのあんただったら、俺らなんて簡単にやっつけられたのになぁ?」
「…っ、いや…っ。」
「身体も兵士だった頃を忘れちまってるみてぇだな。筋肉もなくなっちまったのか。
柔らけぇ身体になってくれたおかげで、もっと高く売れそうだ。」
「…っ、やめて…っ、はなし、て…っ。」
「天使なんて高く売れるに決まってる代物、
俺達が放っておくわけねぇだろう?」
震える声で必死に抵抗の意志を伝えたところで、動かない身体は男の言いなりだった。
銃を持った男は、拘束した私の身体を乱暴に突き飛ばした。
地面に落ちる直前になんとか両手をついて自分の身体を庇ったけれど、落ちている石か木の枝か何かで手を切ったのか痛いー。
でも、そんなことも分からないくらいに、今はただ、怖いー。
カチャカチャと嫌な音がして慌てて振り返れば、獣のような目をした男達が私を見下ろしていた。
「売る前に、俺達が味見しておかねぇとなぁ。」
「俺達はプロだからよ、不良品は売れねぇだろう?」
「一緒に楽しもうぜ。」
恐怖とパニックで男達の言っていることは頭をすり抜けていた。
でも、ベルトを外そうとしている手が、これから起こる最悪な事態を嫌でも教えてくれる。
(助けて…っ。)
叫んだはずだった。
悲鳴を上げたはずだった。
それなのに、声が出ない。
恐怖で助けも呼べないけれど、でも、誰かー。
助けてー。
男が私に手を伸ばす。
恐怖で目を瞑ったその時、何かが風を切る音がした。
息が切れるまで走っても、深い森から抜けられそうになくて、私は絶望しそうになっていた。
荷馬車に乗って古城へ向かったていたときは、そんなに長い森には思わなかったはずだった。
脚が震えて、うまく走れない。
それでも、一度でも立ち止まってしまったら巨人の大きな手に捕まえられるんじゃないかという恐怖心が、私を休ませてくれない。
どれくらい走ったのかは分からないけれど、生い茂る木々の向こうの空は真っ赤を通り越して紫色に変わっていた。
もうじき夜になる。
こんな森の中で夜を過ごすなんてー。
怖いけれど、怖いけれどー。
巨人のいる古城に戻るよりはマシだ。
「…っ!?」
すぐそばの木が揺れたと気づいた時には、目の前に3人の男が立っていた。
兵団服は着ていないから、リヴァイ達の仲間ではないのかもしれない。
でも、1人は銃を持っていて、私に友好的だとは思えなかった。
むしろ、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、少しずつ近づいてくる彼らからは、嫌な予感しかしない。
どうしてこんなときにー。
恐怖で震える身体で、必死に後退るが、ほんの少しずつしか動けていないのは自分でも分かるくらいだった。
「調査兵団の兵士長の女が天使になって戻って来たと聞いて来てみたら、
そっちから会いにきてくれるなんてなぁ。ラッキーだぜ。」
銃を持った男が嫌な笑みを浮かべながら近づいてくる。
逃げろー。
頭が警告を鳴らすのに、震える身体で漸く一歩後ろにさがれたときには、腕を掴まれていた。
そのまま腕を引かれて、背中から拘束するように抱きしめられる。
男の手がシャツの裾から強引に入ってきて、腹を撫でられると、恐怖で身体が固まり抵抗することも出来なくなった。
「へぇ。記憶がねぇってのは本当みてぇだな。
今までのあんただったら、俺らなんて簡単にやっつけられたのになぁ?」
「…っ、いや…っ。」
「身体も兵士だった頃を忘れちまってるみてぇだな。筋肉もなくなっちまったのか。
柔らけぇ身体になってくれたおかげで、もっと高く売れそうだ。」
「…っ、やめて…っ、はなし、て…っ。」
「天使なんて高く売れるに決まってる代物、
俺達が放っておくわけねぇだろう?」
震える声で必死に抵抗の意志を伝えたところで、動かない身体は男の言いなりだった。
銃を持った男は、拘束した私の身体を乱暴に突き飛ばした。
地面に落ちる直前になんとか両手をついて自分の身体を庇ったけれど、落ちている石か木の枝か何かで手を切ったのか痛いー。
でも、そんなことも分からないくらいに、今はただ、怖いー。
カチャカチャと嫌な音がして慌てて振り返れば、獣のような目をした男達が私を見下ろしていた。
「売る前に、俺達が味見しておかねぇとなぁ。」
「俺達はプロだからよ、不良品は売れねぇだろう?」
「一緒に楽しもうぜ。」
恐怖とパニックで男達の言っていることは頭をすり抜けていた。
でも、ベルトを外そうとしている手が、これから起こる最悪な事態を嫌でも教えてくれる。
(助けて…っ。)
叫んだはずだった。
悲鳴を上げたはずだった。
それなのに、声が出ない。
恐怖で助けも呼べないけれど、でも、誰かー。
助けてー。
男が私に手を伸ばす。
恐怖で目を瞑ったその時、何かが風を切る音がした。