◇完結後◇一分一秒も、もう二度と離れないように
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プロポーズをされたその日に、彼は私の両親に挨拶をした。
あまりにも突然だし、もう少ししてからでもいいのではないかと思ったのだけれど、善は急げだと聞かなかった。
リヴァイさんは、頑固で強引な性格らしい。
出逢って1週間の男性と婚約しただなんて、母はともかく、父は絶対に反対すると思ったのだけれど、驚くほどにすんなりと受け入れてくれた。
むしろ、父も母も生き別れた息子と会えたような顔をして、とても感激していて嬉しそうだったのが印象的だった。
「ーでも、まさか、お泊りまで許してもらえるとは思いませんでした。」
まだ熱気も残る部屋で私は、少し汗ばむ胸元に手を添えて、甘えるように頬を寄せた。
リヴァイさんが1人暮らしをする家は、私の実家からあまり離れてはいなかったけれど、車の距離ではあった。
男の人を両親に紹介するどころか、恋人が出来たのだって初めての私は、もちろん、お泊りだってしたことがなかった。
だから、彼の家に行きたいなんて我儘、絶対に許してもらえないと思った。
結婚を許してもらえたのだから、順番が違うのかもしれないけれどー。
「泊り?」
リヴァイさんが訝し気に眉を顰めた。
もしかして、彼は私を家に泊める気はなかったのだろうか。
確かに、自分の家に来るかと誘われはしたけれど、泊ってもいいとは言われていないー。
「ごめんなさい。やっぱり、恋人になってすぐにお泊りするなんてダメですよね。
ちゃんと帰ります。」
嫌われたくなくて、私は聞き分けのいいフリをする。
恋人とどうやって距離を縮めるのか、進展していくのかを私はよく知らない。
すべて友人達が話してくれる恋話からの知識しかないけれど、この展開は早すぎることは気づいていた。
恋人になってすぐに身体を重ねるなんて、軽い女だと思われただろうかー。
「泣きそうな顔で何言ってやがる。」
身体を起こして私を見下ろすリヴァイさんは、呆れた様に言う。
初めての行為だった私は、身体を重ねるときだって要領が分からなくて、リヴァイさんに身を任せることしか出来なかった。
初めてだと知ったとき、リヴァイさんはとても嬉しいと言ってくれたし、とても嬉しそうにしていた。
でも、本当は面倒だったのだろうか。
今まで恋人もいなかったなんてつまらない女だと呆れたのだろうか。
「今日から、なまえの家はここだろ。」
「…え?」
「少なくとも、俺はお前の両親にそう伝えてきたが?」
「え!?」
驚きすぎて、身体を起こしてしまった。
何も着ていなかったことを思い出して、慌ててシーツを手繰り寄せて胸元を隠す。
今さらだとかなんとか言っているリヴァイさんの声を聞き流しつつ、状況を理解することに努めた。
でも、やっぱりよく分からなかった。
「私、ここに住むんですか?」
「嫌か?」
訊ねるリヴァイさんに、私は急いで首を横に振った。
そんなに激しく振ったら首が飛ぶー、とリヴァイさんがからかうように言っていて、とても楽しそうだ。
でもー。
「父と母が許してくれたんですか?」
「たまには顔を出せだそうだ。」
「え、それだけ?」
「あぁ…、あとは、死んでも泣かすなと親父に言われた。」
愛されてるんだなー。
そう言ったリヴァイさんの方がなんだかとても嬉しそうで、私は照れ臭さで胸が痒くなる。
私の知らない間に、すぐに必要な着替えや小物は母がバッグに詰めてリヴァイさんに渡していたと知って、驚きを通り越して感動してしまった。
なんだか、この世界の全てが、私とリヴァイさんが離れていた時間を今必死に埋めようとしてくれているみたいだ。
「一分一秒でも惜しいんだ。俺は出来る限りなまえと一緒にいたい。
もう二度と離れたくない。」
リヴァイさんは私の頬を撫でながら言う。
とても切なそうで、なぜかとても悲しそうでー。
胸がギュッと締め付けられた。
謝らなくちゃと思ったけれど、何を謝ればいいのか分からなかった。
だからー。
「私もです。」
頬に添えられたリヴァイさんの手を握りしめて、初めて私からキスをした。
少し驚いた気配を感じたけれど、そのまま受け入れてくれて、抱き寄せられた。
唇が離れて、私はリヴァイさんの胸にもう一度寄り掛かる。
私の髪に添えられた手が温かくて、そっと目を閉じた。
「リヴァイさんのご両親にも会いたいです。」
「あぁ、そうだな。今度、母親のところに一緒に行こう。
親父はいねぇが、クソうるせぇ叔父がいる。」
「会ってみたいなぁ。
ずっと前から、リヴァイさんのお母さんに会いたかった気がします。」
「そう言ってやれ。きっと喜ぶ。」
「そうだといいな。」
低くて優しい声が、私の耳に届く度に、子守歌のように柔らかく眠気に包まれる。
こんなに幸せな夜は初めてだ。
ううん、久しぶりだ。すごく懐かしい気がするのだ。
でもやっぱり、こんなに幸せな夜は初めてで、私は泣いてしまいそうだった。
だから、ギュッと抱きつく。
ここにいる彼をちゃんとしっかり感じたくてー。
ついさっき、身体中で彼の熱や愛を感じたばかりなのにー。
もっともっと、彼と一緒に生きている今を感じていたくてー。
「迎えに来てくれて、ありがとうございます。」
「こちらこそ。待っててくれて、ありがとうな。」
どちらからともなく、見つめ合う。
そして、重なる唇ー。
身体を重ねていたときも思ったことがある。
神様はきっと、私の身体を、彼を受け入れるために作ってくれたに違いない。
だって、彼の唇が、身体が、私と重なる度に、私は漸く完全になれた気がするからー。
あまりにも突然だし、もう少ししてからでもいいのではないかと思ったのだけれど、善は急げだと聞かなかった。
リヴァイさんは、頑固で強引な性格らしい。
出逢って1週間の男性と婚約しただなんて、母はともかく、父は絶対に反対すると思ったのだけれど、驚くほどにすんなりと受け入れてくれた。
むしろ、父も母も生き別れた息子と会えたような顔をして、とても感激していて嬉しそうだったのが印象的だった。
「ーでも、まさか、お泊りまで許してもらえるとは思いませんでした。」
まだ熱気も残る部屋で私は、少し汗ばむ胸元に手を添えて、甘えるように頬を寄せた。
リヴァイさんが1人暮らしをする家は、私の実家からあまり離れてはいなかったけれど、車の距離ではあった。
男の人を両親に紹介するどころか、恋人が出来たのだって初めての私は、もちろん、お泊りだってしたことがなかった。
だから、彼の家に行きたいなんて我儘、絶対に許してもらえないと思った。
結婚を許してもらえたのだから、順番が違うのかもしれないけれどー。
「泊り?」
リヴァイさんが訝し気に眉を顰めた。
もしかして、彼は私を家に泊める気はなかったのだろうか。
確かに、自分の家に来るかと誘われはしたけれど、泊ってもいいとは言われていないー。
「ごめんなさい。やっぱり、恋人になってすぐにお泊りするなんてダメですよね。
ちゃんと帰ります。」
嫌われたくなくて、私は聞き分けのいいフリをする。
恋人とどうやって距離を縮めるのか、進展していくのかを私はよく知らない。
すべて友人達が話してくれる恋話からの知識しかないけれど、この展開は早すぎることは気づいていた。
恋人になってすぐに身体を重ねるなんて、軽い女だと思われただろうかー。
「泣きそうな顔で何言ってやがる。」
身体を起こして私を見下ろすリヴァイさんは、呆れた様に言う。
初めての行為だった私は、身体を重ねるときだって要領が分からなくて、リヴァイさんに身を任せることしか出来なかった。
初めてだと知ったとき、リヴァイさんはとても嬉しいと言ってくれたし、とても嬉しそうにしていた。
でも、本当は面倒だったのだろうか。
今まで恋人もいなかったなんてつまらない女だと呆れたのだろうか。
「今日から、なまえの家はここだろ。」
「…え?」
「少なくとも、俺はお前の両親にそう伝えてきたが?」
「え!?」
驚きすぎて、身体を起こしてしまった。
何も着ていなかったことを思い出して、慌ててシーツを手繰り寄せて胸元を隠す。
今さらだとかなんとか言っているリヴァイさんの声を聞き流しつつ、状況を理解することに努めた。
でも、やっぱりよく分からなかった。
「私、ここに住むんですか?」
「嫌か?」
訊ねるリヴァイさんに、私は急いで首を横に振った。
そんなに激しく振ったら首が飛ぶー、とリヴァイさんがからかうように言っていて、とても楽しそうだ。
でもー。
「父と母が許してくれたんですか?」
「たまには顔を出せだそうだ。」
「え、それだけ?」
「あぁ…、あとは、死んでも泣かすなと親父に言われた。」
愛されてるんだなー。
そう言ったリヴァイさんの方がなんだかとても嬉しそうで、私は照れ臭さで胸が痒くなる。
私の知らない間に、すぐに必要な着替えや小物は母がバッグに詰めてリヴァイさんに渡していたと知って、驚きを通り越して感動してしまった。
なんだか、この世界の全てが、私とリヴァイさんが離れていた時間を今必死に埋めようとしてくれているみたいだ。
「一分一秒でも惜しいんだ。俺は出来る限りなまえと一緒にいたい。
もう二度と離れたくない。」
リヴァイさんは私の頬を撫でながら言う。
とても切なそうで、なぜかとても悲しそうでー。
胸がギュッと締め付けられた。
謝らなくちゃと思ったけれど、何を謝ればいいのか分からなかった。
だからー。
「私もです。」
頬に添えられたリヴァイさんの手を握りしめて、初めて私からキスをした。
少し驚いた気配を感じたけれど、そのまま受け入れてくれて、抱き寄せられた。
唇が離れて、私はリヴァイさんの胸にもう一度寄り掛かる。
私の髪に添えられた手が温かくて、そっと目を閉じた。
「リヴァイさんのご両親にも会いたいです。」
「あぁ、そうだな。今度、母親のところに一緒に行こう。
親父はいねぇが、クソうるせぇ叔父がいる。」
「会ってみたいなぁ。
ずっと前から、リヴァイさんのお母さんに会いたかった気がします。」
「そう言ってやれ。きっと喜ぶ。」
「そうだといいな。」
低くて優しい声が、私の耳に届く度に、子守歌のように柔らかく眠気に包まれる。
こんなに幸せな夜は初めてだ。
ううん、久しぶりだ。すごく懐かしい気がするのだ。
でもやっぱり、こんなに幸せな夜は初めてで、私は泣いてしまいそうだった。
だから、ギュッと抱きつく。
ここにいる彼をちゃんとしっかり感じたくてー。
ついさっき、身体中で彼の熱や愛を感じたばかりなのにー。
もっともっと、彼と一緒に生きている今を感じていたくてー。
「迎えに来てくれて、ありがとうございます。」
「こちらこそ。待っててくれて、ありがとうな。」
どちらからともなく、見つめ合う。
そして、重なる唇ー。
身体を重ねていたときも思ったことがある。
神様はきっと、私の身体を、彼を受け入れるために作ってくれたに違いない。
だって、彼の唇が、身体が、私と重なる度に、私は漸く完全になれた気がするからー。