相変わらず
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何度通ったか分からないマンションのエントランスの前で、私は一度だけ大きく深呼吸をした。
吸いこみ過ぎた酸素で息苦しくなって、息を吐き出すときに少しだけ胸が痛かった。
勇気を出して歩き出しても、中に入ってすぐに、開かない自動ドアに行く道を阻まれてしまう。
数週間前までは合鍵としてもらっていたカードキーで、すんなりと入れたこのガラスの向こうが、今では海外よりも、パラレルワールドよりも、遠い世界になってしまった。
オートロックの前に立った私は、震える指でリヴァイのルームナンバーを押した。
(出ませんように…っ。)
1から9までの数字が並んだシルバーのプレートを食い入るように見下ろしながら、私は強く念じる。
リヴァイの仕事は基本的に土日は休みだけれど、月に1回くらい土曜出勤がある。
今日がそうでありますようにー。
そんな弱虫な私の願いは、応答を教える機械音に裏切られた。
≪はい。≫
「あ、私…っ。名前…っ。」
少し不機嫌そうな低い声に焦ってしまって、思わず声が上ずる。
≪あぁ…、どうした?≫
「リヴァイの家に荷物を置いたままだったから、取りに来たんだけど…っ。
もし、忙しいんだったら今度でも…っ。」
≪今、開ける。≫
短い返事の後、オートロックの自動ドアが開いた。
これがリヴァイの心の扉だったらどんなにいいだろうー。
諦めの悪いことを考えてしまって、聞こえるか聞こえないか分からない小さな声で「ありがとう。」と礼を告げる。
結局、ずっと顔を伏せたままで、戸惑ってるうちに閉まってしまわないように、逃げるように、自動ドアを抜けた。
吸いこみ過ぎた酸素で息苦しくなって、息を吐き出すときに少しだけ胸が痛かった。
勇気を出して歩き出しても、中に入ってすぐに、開かない自動ドアに行く道を阻まれてしまう。
数週間前までは合鍵としてもらっていたカードキーで、すんなりと入れたこのガラスの向こうが、今では海外よりも、パラレルワールドよりも、遠い世界になってしまった。
オートロックの前に立った私は、震える指でリヴァイのルームナンバーを押した。
(出ませんように…っ。)
1から9までの数字が並んだシルバーのプレートを食い入るように見下ろしながら、私は強く念じる。
リヴァイの仕事は基本的に土日は休みだけれど、月に1回くらい土曜出勤がある。
今日がそうでありますようにー。
そんな弱虫な私の願いは、応答を教える機械音に裏切られた。
≪はい。≫
「あ、私…っ。名前…っ。」
少し不機嫌そうな低い声に焦ってしまって、思わず声が上ずる。
≪あぁ…、どうした?≫
「リヴァイの家に荷物を置いたままだったから、取りに来たんだけど…っ。
もし、忙しいんだったら今度でも…っ。」
≪今、開ける。≫
短い返事の後、オートロックの自動ドアが開いた。
これがリヴァイの心の扉だったらどんなにいいだろうー。
諦めの悪いことを考えてしまって、聞こえるか聞こえないか分からない小さな声で「ありがとう。」と礼を告げる。
結局、ずっと顔を伏せたままで、戸惑ってるうちに閉まってしまわないように、逃げるように、自動ドアを抜けた。
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