その夜は、明けない
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買って来たばかりの花をさした花瓶をカウンターに置くと、私は、いつもよりも念入りに掃除された店内を見渡した。
少しだけ増えた壁のアンティークの飾りがとても素敵だー、と思う。
今日のお客様は、昔から妹のように可愛がっているペトラとその恋人だけ。彼らの貸し切りだ。
ペトラが訓練兵団を経て調査兵団に入団した後も、私達の姉妹のような関係はずっと続いていた。
私が喫茶店を出したときも、誰よりも喜んでくれて、今では一番の常連さんがペトラだ。
本当に可愛い妹が、先週お店に遊びに来たときに、照れ臭そうに恋人が出来たことを教えてくれた。
ずっと、片想いしている人がいるということは聞いていた。
その人は、ペトラの上官で、姉と慕う私よりも年上で、憧れの遠すぎる存在だといつも切なそうに話していたー。
永遠の片想いだと寂しそうに言っていたペトラだったけれど、調査兵団の友人達に背中を押してもらい、勇気を出して告白をしたら、長年の片想いが実ったのだそうだ。
その話を聞いた時は、私も本当に嬉しくて、まるで少女のように手を取り合って飛び跳ねて喜んでしまった。
是非会ってみたいと伝えれば、ペトラも嬉しそうに次の非番に連れてきてくれると言ってくれた。
そして今日、漸く、私は、可愛い妹の恋人に会える。
カウンターの中に入った私は、細い脚の背の高い椅子に腰を降ろし、壁掛けの時計を見た。
約束の時間までもう少しー。
(ペトラの恋人かぁ。
上官で、しかも、私より年上なら本気の恋愛なんだろうな。)
数年前に長く付き合った恋人と別れて以来、ずっと独り身の私としては、とても羨ましい話だ。
私よりも年上だと言っていたけれど、どんな人だろう。
凄く渋いおじ様を想像してみる。
ペトラは可愛いけれど、芯のある強い女性だから、釣り合いそうだ。
もしくは、凄く若く見える大人の男だろうか。
ワクワクしていると、鈴の音が鳴って、店の扉が開く。
明るい茶色の髪が見えて、私は笑顔で立ち上がった。
「いらっしゃい!」
「お邪魔します…っ。」
いつもは我が家のように店に入ってくるペトラが、珍しく緊張している。
隣に立つ恋人のせいだろうか。それとも、姉に恋人を紹介するという緊張感だろうか。
「いつも通りでいいのよ。
カウンター席でいい?」
クスクスと笑いながら、ペトラと彼を招き入れる。
少し照れ臭そうにしながら入ってくるペトラの後ろからついてくる彼は、長い前髪と窓から入る日差しで影が出来て顔は見えない。
でも、背は低いようだ。ペトラとあまり変わらない。
カウンターまでやってくると、席に座る前に、ペトラは早速、彼に私を紹介してくれた。
「リヴァイ兵長、こちらが、昔からお世話になってるなまえさんです。」
「ふふ、なまえさんって。いつも、なまえ、なまえって呼ぶくせに。」
「いいでしょっ。ちゃんと紹介したかったのっ。」
さっきまでの緊張に引きつらせていた表情はどこへやら、頬を膨らませるペトラが可愛らしくて私は思わずクスリと笑ってしまう。
そこで、漸く、私はペトラの隣に立つ彼を見たー。
「リヴァイだ。」
低い声が、私の鼓膜を通り越して、心臓を震わせて、黒髪の向こうに見える切れ長の三白眼が私の瞳をとらえる。
そのとき、私の心まで捕まえられてしまったなんてー。
言えない、絶対に、言えないー。
目が反らせなかった。
それは、私だけだったのだろうか。それともー。
少しだけ増えた壁のアンティークの飾りがとても素敵だー、と思う。
今日のお客様は、昔から妹のように可愛がっているペトラとその恋人だけ。彼らの貸し切りだ。
ペトラが訓練兵団を経て調査兵団に入団した後も、私達の姉妹のような関係はずっと続いていた。
私が喫茶店を出したときも、誰よりも喜んでくれて、今では一番の常連さんがペトラだ。
本当に可愛い妹が、先週お店に遊びに来たときに、照れ臭そうに恋人が出来たことを教えてくれた。
ずっと、片想いしている人がいるということは聞いていた。
その人は、ペトラの上官で、姉と慕う私よりも年上で、憧れの遠すぎる存在だといつも切なそうに話していたー。
永遠の片想いだと寂しそうに言っていたペトラだったけれど、調査兵団の友人達に背中を押してもらい、勇気を出して告白をしたら、長年の片想いが実ったのだそうだ。
その話を聞いた時は、私も本当に嬉しくて、まるで少女のように手を取り合って飛び跳ねて喜んでしまった。
是非会ってみたいと伝えれば、ペトラも嬉しそうに次の非番に連れてきてくれると言ってくれた。
そして今日、漸く、私は、可愛い妹の恋人に会える。
カウンターの中に入った私は、細い脚の背の高い椅子に腰を降ろし、壁掛けの時計を見た。
約束の時間までもう少しー。
(ペトラの恋人かぁ。
上官で、しかも、私より年上なら本気の恋愛なんだろうな。)
数年前に長く付き合った恋人と別れて以来、ずっと独り身の私としては、とても羨ましい話だ。
私よりも年上だと言っていたけれど、どんな人だろう。
凄く渋いおじ様を想像してみる。
ペトラは可愛いけれど、芯のある強い女性だから、釣り合いそうだ。
もしくは、凄く若く見える大人の男だろうか。
ワクワクしていると、鈴の音が鳴って、店の扉が開く。
明るい茶色の髪が見えて、私は笑顔で立ち上がった。
「いらっしゃい!」
「お邪魔します…っ。」
いつもは我が家のように店に入ってくるペトラが、珍しく緊張している。
隣に立つ恋人のせいだろうか。それとも、姉に恋人を紹介するという緊張感だろうか。
「いつも通りでいいのよ。
カウンター席でいい?」
クスクスと笑いながら、ペトラと彼を招き入れる。
少し照れ臭そうにしながら入ってくるペトラの後ろからついてくる彼は、長い前髪と窓から入る日差しで影が出来て顔は見えない。
でも、背は低いようだ。ペトラとあまり変わらない。
カウンターまでやってくると、席に座る前に、ペトラは早速、彼に私を紹介してくれた。
「リヴァイ兵長、こちらが、昔からお世話になってるなまえさんです。」
「ふふ、なまえさんって。いつも、なまえ、なまえって呼ぶくせに。」
「いいでしょっ。ちゃんと紹介したかったのっ。」
さっきまでの緊張に引きつらせていた表情はどこへやら、頬を膨らませるペトラが可愛らしくて私は思わずクスリと笑ってしまう。
そこで、漸く、私はペトラの隣に立つ彼を見たー。
「リヴァイだ。」
低い声が、私の鼓膜を通り越して、心臓を震わせて、黒髪の向こうに見える切れ長の三白眼が私の瞳をとらえる。
そのとき、私の心まで捕まえられてしまったなんてー。
言えない、絶対に、言えないー。
目が反らせなかった。
それは、私だけだったのだろうか。それともー。
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