あなたが伸ばした手の行方を
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冷たい空気が夜空を包むのに、私の身体は何も感じなかった。
それが、あの人が、彼女の手を握る姿を見てしまった遠い日と重なったのだ。
どうして、好きになる人にはいつも、相手がいるのだろう。
優しくされれば、また苦しくなって、その度にまた愚かな期待までしてしまう。
そんなことを繰り返すばかりで、どこにも進めないまま。
あぁ、まただ———あの日、繰り返されてきたよくある恋愛の再演に、脇役を全うした私は冷めたようにただじっと主演の二人を眺め続けたのだ。
(会いたいな…。)
遠くなるばかりの夜空と、近づいてくる幾千の星を見上げながら、私は叶わない夢を見る。
望んでも、虚しくなるだけなのに、心は求めてしまう。
会いたい、会いたい———。
何度も忘れようとしたのだ。
でも結局、私は最期まで、あの人を愛し続けてしまうのだろう。
漠然とした想いが、今ここにきて、明確になっていく。
『頼りにしてる。』
あの人がそう言うのは、いつも彼女だった。
あの人の隣で堂々と立って、凛と戦うのがとても似合う彼女が、いつも羨ましかった。
私も、あの人に必要とされてみたい。
あの人に、抱きしめられてみたい。
あの人が手を伸ばす先にいるのは、私がいい。
愛される幸せを、この手で感じられたら、どんなに幸せなのだろう。
もしも、あの人の手を掴むことが出来たのなら、私は決して離さない。
彼女が最期の日、そうしたように、あの人の元を去ったりなんかしない。
悲しませたり、しないのに———。
「なまえ!!」
リヴァイ兵長が、私に手を伸ばす。
いつも冷静な彼には似合わないくらいにひどく狼狽した顔は、返り血で染まって真っ赤だった。
それは、私の血だろうか。それとも、私の腹を抉った巨人を、彼が倒してくれたのだろうか。
でも、それがどちらでも構わなかった。
だって、目の前には、出逢った日からずっと、掴んでみたかった愛おしい人の手が差し出されているのだ。
きっとそれは、地獄へと叩きつけられる前に、可哀想な私に神様がくれた最後の恵みだ。
でも、私にはもう、彼の名前を呼ぶ力は、残っていない。
幸せを掴む為の手が、残っていない。
あぁ、私はどうして、最後の最後まで惨めなのだろう。
哀れなのだろう。
どうして私は最期に、愛する人の涙を見なければならないのだろう。
貴方の手を掴めたのなら、決してその手を、離しはしなかったのに————。
それが、あの人が、彼女の手を握る姿を見てしまった遠い日と重なったのだ。
どうして、好きになる人にはいつも、相手がいるのだろう。
優しくされれば、また苦しくなって、その度にまた愚かな期待までしてしまう。
そんなことを繰り返すばかりで、どこにも進めないまま。
あぁ、まただ———あの日、繰り返されてきたよくある恋愛の再演に、脇役を全うした私は冷めたようにただじっと主演の二人を眺め続けたのだ。
(会いたいな…。)
遠くなるばかりの夜空と、近づいてくる幾千の星を見上げながら、私は叶わない夢を見る。
望んでも、虚しくなるだけなのに、心は求めてしまう。
会いたい、会いたい———。
何度も忘れようとしたのだ。
でも結局、私は最期まで、あの人を愛し続けてしまうのだろう。
漠然とした想いが、今ここにきて、明確になっていく。
『頼りにしてる。』
あの人がそう言うのは、いつも彼女だった。
あの人の隣で堂々と立って、凛と戦うのがとても似合う彼女が、いつも羨ましかった。
私も、あの人に必要とされてみたい。
あの人に、抱きしめられてみたい。
あの人が手を伸ばす先にいるのは、私がいい。
愛される幸せを、この手で感じられたら、どんなに幸せなのだろう。
もしも、あの人の手を掴むことが出来たのなら、私は決して離さない。
彼女が最期の日、そうしたように、あの人の元を去ったりなんかしない。
悲しませたり、しないのに———。
「なまえ!!」
リヴァイ兵長が、私に手を伸ばす。
いつも冷静な彼には似合わないくらいにひどく狼狽した顔は、返り血で染まって真っ赤だった。
それは、私の血だろうか。それとも、私の腹を抉った巨人を、彼が倒してくれたのだろうか。
でも、それがどちらでも構わなかった。
だって、目の前には、出逢った日からずっと、掴んでみたかった愛おしい人の手が差し出されているのだ。
きっとそれは、地獄へと叩きつけられる前に、可哀想な私に神様がくれた最後の恵みだ。
でも、私にはもう、彼の名前を呼ぶ力は、残っていない。
幸せを掴む為の手が、残っていない。
あぁ、私はどうして、最後の最後まで惨めなのだろう。
哀れなのだろう。
どうして私は最期に、愛する人の涙を見なければならないのだろう。
貴方の手を掴めたのなら、決してその手を、離しはしなかったのに————。
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