失恋の交差点
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横断歩道の信号が黄色く点滅したのに気づいて、急いで走った。
でも、あと少しというところで、赤く点灯して、今度は私は、急いで立ち止まる。
それからすぐに、今か今かと待っていた車が、進行方向へと真っすぐに走り出した。
スクランブル交差点では、走り出す合図を待っているたくさんの人でひしめき合っているのに、忙しそうに時計を気にしているサラリーマンやスマホで誰かと話している学生の隣に立っていると、行く先が決まっていないのは、私だけのような孤独感に襲われる。
持て余した休日を買い物で潰そうとしたところで、欲しいものなんて何もなくて、ただひとりで街をぶらついただけだった。
向かったのは全て、リヴァイとよく行った通りやお店ばかりだ。
会えるかもしれない———。
そんな期待がなかったと言ったら、嘘になる。
でも、もし、偶然に再会したら、私はどうするつもりなんだろう。
気づけば私は、バッグの中からスマホを取り出して、リヴァイの名前を探していた。
リヴァイからの連絡を待って、ひとりきりで、ありもしない未来を期待してしまう。
こんな自分に呆れるばかりの日々を、私はあとどのくらい続ければいいんだろう。
不意に、強い風が吹いて、リヴァイの為に伸ばした長い髪が顔にかかる。
「あー、もう…っ。」
髪を耳にかけて、私は自分が嫌になる。
もし、もう一度会えるときは、少しでも綺麗になっていたい———そんな悲しすぎる願いを込めて、時間をかけてセットした髪が台無しだ。
どうせ見て貰えないと知っているのに———。
そう思った私の視線の先、スクランブル交差点の向かい側に見つけたのは、もう二度と会えないと思っていたリヴァイだった。
驚いた私の時間が止まって、ただリヴァイだけを、じっと見つめる。
でも、私達の視線が重なることはない。
リヴァイの視線の先には、楽しそうに話している可愛い人がいた。
何度目かのすれ違いの後、私の手を離したリヴァイの手は今、彼女の手を握っている。
青になった信号に急かされて、大勢の人達が一斉に歩き出す。
動かなくなった私の身体を、誰かが強く押した。
沢山の人の肩がぶつかって、よろける私は、倒れそうになるのをなんとか踏ん張って、人の流れに乗る。
背の高い誰かの背中に隠れて、目を伏せて歩く私は、知らない誰かのバッグが腕にぶつかって、それが痛くて、泣きそうになる。
でも、可愛いあの娘は、リヴァイに手を引かれて、大事そうに守られて歩くから、誰かとぶつかることもない。
胸が痛くなって、シャツを握りしめた私の横を、リヴァイが彼女と一緒に通り過ぎた。
沢山の人達の中、他の人達の顔なんて、きっと今見たその瞬間に忘れてしまうのに、どうして気づいてしまうのだろう。
ずっと会いたかった。
でも、望んでたのは、こんなのじゃない———。
横断歩道を渡り終えた後、私は人混みの中で崩れ落ちる。
両手で顔を覆って泣いている私のすぐ横を、知らない誰かが何度も何度も通り過ぎていく。
『こんなところで泣くなよ、邪魔だ』って無言で言うみたいに、露骨に肩に足をぶつけていく人もいた。
奇跡みたいな今日の再会は、期待ばかりしてしまう私へのリヴァイの最後の優しさだ。
きっとそう。
せめて、そうならいい。
リヴァイからの優しさを最後に貰って、今度こそ、前へ歩き出さなくちゃ———。
あぁ、でも————。
忘れ方が分からない
横断歩道を渡り切った後、後ろを振り返る。
すれ違ったはずの君はもう、どこにもいない。
俺とは反対方向へ、向かうべき場所へ、呆気なく行ってしまったらしい。
そこには、君を待っている人がいるのだろうか。
新しい彼女でも出来れば、忘れられると思っていた。
でも、結局、君との違いを数えるばかりの毎日だ。
沢山の人達の中、君のことだけはすぐに見つけられた。
あの頃から、俺の特技は何も変わっていないのに、隣にいるのは君じゃない。
会いたいという願いが叶ったところで、俺はもう二度と君を取り戻せないのだ。
どうして立ち止まるのかと、彼女に急かされて、俺は今度こそ、君に背を向ける。
もう一度、会える日が来たのなら、そのときは今度こそ、君の忘れ方を学んでいますように。
でも、あと少しというところで、赤く点灯して、今度は私は、急いで立ち止まる。
それからすぐに、今か今かと待っていた車が、進行方向へと真っすぐに走り出した。
スクランブル交差点では、走り出す合図を待っているたくさんの人でひしめき合っているのに、忙しそうに時計を気にしているサラリーマンやスマホで誰かと話している学生の隣に立っていると、行く先が決まっていないのは、私だけのような孤独感に襲われる。
持て余した休日を買い物で潰そうとしたところで、欲しいものなんて何もなくて、ただひとりで街をぶらついただけだった。
向かったのは全て、リヴァイとよく行った通りやお店ばかりだ。
会えるかもしれない———。
そんな期待がなかったと言ったら、嘘になる。
でも、もし、偶然に再会したら、私はどうするつもりなんだろう。
気づけば私は、バッグの中からスマホを取り出して、リヴァイの名前を探していた。
リヴァイからの連絡を待って、ひとりきりで、ありもしない未来を期待してしまう。
こんな自分に呆れるばかりの日々を、私はあとどのくらい続ければいいんだろう。
不意に、強い風が吹いて、リヴァイの為に伸ばした長い髪が顔にかかる。
「あー、もう…っ。」
髪を耳にかけて、私は自分が嫌になる。
もし、もう一度会えるときは、少しでも綺麗になっていたい———そんな悲しすぎる願いを込めて、時間をかけてセットした髪が台無しだ。
どうせ見て貰えないと知っているのに———。
そう思った私の視線の先、スクランブル交差点の向かい側に見つけたのは、もう二度と会えないと思っていたリヴァイだった。
驚いた私の時間が止まって、ただリヴァイだけを、じっと見つめる。
でも、私達の視線が重なることはない。
リヴァイの視線の先には、楽しそうに話している可愛い人がいた。
何度目かのすれ違いの後、私の手を離したリヴァイの手は今、彼女の手を握っている。
青になった信号に急かされて、大勢の人達が一斉に歩き出す。
動かなくなった私の身体を、誰かが強く押した。
沢山の人の肩がぶつかって、よろける私は、倒れそうになるのをなんとか踏ん張って、人の流れに乗る。
背の高い誰かの背中に隠れて、目を伏せて歩く私は、知らない誰かのバッグが腕にぶつかって、それが痛くて、泣きそうになる。
でも、可愛いあの娘は、リヴァイに手を引かれて、大事そうに守られて歩くから、誰かとぶつかることもない。
胸が痛くなって、シャツを握りしめた私の横を、リヴァイが彼女と一緒に通り過ぎた。
沢山の人達の中、他の人達の顔なんて、きっと今見たその瞬間に忘れてしまうのに、どうして気づいてしまうのだろう。
ずっと会いたかった。
でも、望んでたのは、こんなのじゃない———。
横断歩道を渡り終えた後、私は人混みの中で崩れ落ちる。
両手で顔を覆って泣いている私のすぐ横を、知らない誰かが何度も何度も通り過ぎていく。
『こんなところで泣くなよ、邪魔だ』って無言で言うみたいに、露骨に肩に足をぶつけていく人もいた。
奇跡みたいな今日の再会は、期待ばかりしてしまう私へのリヴァイの最後の優しさだ。
きっとそう。
せめて、そうならいい。
リヴァイからの優しさを最後に貰って、今度こそ、前へ歩き出さなくちゃ———。
あぁ、でも————。
忘れ方が分からない
横断歩道を渡り切った後、後ろを振り返る。
すれ違ったはずの君はもう、どこにもいない。
俺とは反対方向へ、向かうべき場所へ、呆気なく行ってしまったらしい。
そこには、君を待っている人がいるのだろうか。
新しい彼女でも出来れば、忘れられると思っていた。
でも、結局、君との違いを数えるばかりの毎日だ。
沢山の人達の中、君のことだけはすぐに見つけられた。
あの頃から、俺の特技は何も変わっていないのに、隣にいるのは君じゃない。
会いたいという願いが叶ったところで、俺はもう二度と君を取り戻せないのだ。
どうして立ち止まるのかと、彼女に急かされて、俺は今度こそ、君に背を向ける。
もう一度、会える日が来たのなら、そのときは今度こそ、君の忘れ方を学んでいますように。
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