◇第九十二話◇美しい世界を貴方と生きる
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1人になりたくなくて、談話室に来たけれど、そこにも私の居場所はなかった。
勢いよく壁に背中があたった反動で揺れた後頭部を壁にぶつけて、意識が飛びそうになる。
「い…っ。」
痛みに顔を歪める。
ペトラを見つけて声を掛けようとしたところで、ジーニーに肩を掴まれた。
何が起こったのか分からないまま、気づいたら、壁に背中から投げ飛ばされていた。
でも、私を怖い顔で見下ろすジーニーとその取りまき、数名の調査兵達の顔を見上げて、理解する。
私は、彼らを怒らせて当然だ。
人類を怒らせて、当然だ。
リヴァイ兵長を瀕死の状態にして、傷つけた。
私のせいで、全部、私のせいでー。
「ちょっとっ!あなた達、何してるのッ!!」
ペトラが駆け寄ってきて、私の肩に優しく触れる。
でも、彼女達に向けた顔は、私のためにとても怖く怒っていた。
「それはこっちのセリフよっ!任務だから仕方ないと思えって!?
コイツのせいで、リヴァイ兵長は死にかけたのにっ!!
それなのに、よくリヴァイ兵長の部屋に入り浸れるわよね!!!」
ジーニーが怒鳴りつける。
あぁ、本当にー、その通りだと思った。
私は、リヴァイ兵長のためだとか、役に立ちたいとか言って、ただそばにいたかっただけだ。
リヴァイ兵長が生きていることを、そばで見ていないと不安だっただけだ。
本当に、その通り過ぎて、涙どころか、苦笑いも出ない。
こんな私を、リヴァイ兵長が受け入れてくれるわけ、ないー。
幸せになれ、という優しい言葉で拒絶してくれるだけ、有難く思うべきだ。
いつの間にか、104期の新兵達やリヴァイ班のメンバー、マレーネ達も集まって、私を責めるジーニー達に言い返してくれていた。
でも、その声に被さって私を責める声は小さくならない。
むしろ、大きくなるばかりでー。
(あぁ、もう本当に…。)
壁にぶつけた頭が痛いわけじゃないのに、私は頭を抱え込んで目を伏せる。
悪いのは私だ。
優しい仲間が庇ってくれている、それは嬉しい。
でも、悪いのは、私だー。
私が、リヴァイ兵長を好きになんて、なったからー。
だからー。
「え?リヴァイ兵長…、なんで、ここに…。」
私を守るように肩に手を添えていたペトラが、呟くような小さな声で言った。
信じられないという表情で見上げている彼女の顔に気づいて、私も顔を上げようとしてー。
「立てるか。」
私に差し伸べられる手、その先にあるのはリヴァイ兵長の優しい瞳だった。
言い争いの話題の主役だったリヴァイ兵長の登場で、怒号が飛び交っていた談話室が静かになっていく。
でも、その手を掴むべきか、私にはもう、分からなかった。
私がこの手を求めてばかりいるから、だからー。
いつまでも手を出さない私にしびれを切らしたのか、リヴァイ兵長は強引に私の手を掴んで、立ち上がらせた。
リヴァイ兵長の向こうに、ダイを見つけた。
クシャリと笑ういつもの笑顔じゃなくて、初めて見るような優しい微笑みを浮かべて、彼は唇だけを動かして何かを伝えてくる。
『よかったな。』
彼は確かにそう言ったのだと思う。
それで分かった。
きっと、ダイが連れてきてくれたんだ。リヴァイ兵長をー。
私が助けてほしいのは、リヴァイ兵長だと思ってー。
そうだけど、そうじゃないのに。
それでは、いけないのにー。
「リヴァイ兵長、私のせいでー。」
謝らないといけないと思った。
リヴァイ兵長に、リヴァイ兵長を大切に思う調査兵達に。
全て、私が悪いのだと話して、罰を受けるべき人が、罰を受けないといけないと思っていた。
ルーカスと、そして、私もー。
でも、謝罪の言葉を言い切る前に、リヴァイ兵長に手を引かれ、腰を抱かれ、唇を塞がれる。
息を呑んだ、音がした。
それはペトラからだったのか、手を引かれたときにたまたま目があったエレンだったのか、誰のものだったのか、分からない。
ただ、みんなが息も出来ないほど驚き目を見開く中、リヴァイ兵長は私を強く抱きしめていた。
唇が重なっていたのは、本当に数秒だった。
短いキスが、談話室の空気を変えた。
シン、と静まり返る中で、唇を離したリヴァイ兵長は、談話室にいた全員に向かって、口を開いた。
「いいか、お前ら。惚れてる女を守るのに、任務もクソもねぇ。
俺の部屋になまえがいるのも、俺がそばにいてぇからだ。
なまえに傷ひとつでもつけてみやがれ、それが誰でも俺が黙ってねぇからな。」
あと、クソ野郎共、コイツに手を出すなよ。俺のだー。
捨て台詞のように男達に釘を刺した後、呆然とする調査兵達を残し、リヴァイ兵長は私の手を強引に引っ張って談話室から出ていく。
何が起こっているのか分からないーそんな表情のアルミンが見えた。
私も、同じ顔をしていたと思う。
リヴァイ兵長は今、何を言ったー。
何と、言ったー。
勢いよく壁に背中があたった反動で揺れた後頭部を壁にぶつけて、意識が飛びそうになる。
「い…っ。」
痛みに顔を歪める。
ペトラを見つけて声を掛けようとしたところで、ジーニーに肩を掴まれた。
何が起こったのか分からないまま、気づいたら、壁に背中から投げ飛ばされていた。
でも、私を怖い顔で見下ろすジーニーとその取りまき、数名の調査兵達の顔を見上げて、理解する。
私は、彼らを怒らせて当然だ。
人類を怒らせて、当然だ。
リヴァイ兵長を瀕死の状態にして、傷つけた。
私のせいで、全部、私のせいでー。
「ちょっとっ!あなた達、何してるのッ!!」
ペトラが駆け寄ってきて、私の肩に優しく触れる。
でも、彼女達に向けた顔は、私のためにとても怖く怒っていた。
「それはこっちのセリフよっ!任務だから仕方ないと思えって!?
コイツのせいで、リヴァイ兵長は死にかけたのにっ!!
それなのに、よくリヴァイ兵長の部屋に入り浸れるわよね!!!」
ジーニーが怒鳴りつける。
あぁ、本当にー、その通りだと思った。
私は、リヴァイ兵長のためだとか、役に立ちたいとか言って、ただそばにいたかっただけだ。
リヴァイ兵長が生きていることを、そばで見ていないと不安だっただけだ。
本当に、その通り過ぎて、涙どころか、苦笑いも出ない。
こんな私を、リヴァイ兵長が受け入れてくれるわけ、ないー。
幸せになれ、という優しい言葉で拒絶してくれるだけ、有難く思うべきだ。
いつの間にか、104期の新兵達やリヴァイ班のメンバー、マレーネ達も集まって、私を責めるジーニー達に言い返してくれていた。
でも、その声に被さって私を責める声は小さくならない。
むしろ、大きくなるばかりでー。
(あぁ、もう本当に…。)
壁にぶつけた頭が痛いわけじゃないのに、私は頭を抱え込んで目を伏せる。
悪いのは私だ。
優しい仲間が庇ってくれている、それは嬉しい。
でも、悪いのは、私だー。
私が、リヴァイ兵長を好きになんて、なったからー。
だからー。
「え?リヴァイ兵長…、なんで、ここに…。」
私を守るように肩に手を添えていたペトラが、呟くような小さな声で言った。
信じられないという表情で見上げている彼女の顔に気づいて、私も顔を上げようとしてー。
「立てるか。」
私に差し伸べられる手、その先にあるのはリヴァイ兵長の優しい瞳だった。
言い争いの話題の主役だったリヴァイ兵長の登場で、怒号が飛び交っていた談話室が静かになっていく。
でも、その手を掴むべきか、私にはもう、分からなかった。
私がこの手を求めてばかりいるから、だからー。
いつまでも手を出さない私にしびれを切らしたのか、リヴァイ兵長は強引に私の手を掴んで、立ち上がらせた。
リヴァイ兵長の向こうに、ダイを見つけた。
クシャリと笑ういつもの笑顔じゃなくて、初めて見るような優しい微笑みを浮かべて、彼は唇だけを動かして何かを伝えてくる。
『よかったな。』
彼は確かにそう言ったのだと思う。
それで分かった。
きっと、ダイが連れてきてくれたんだ。リヴァイ兵長をー。
私が助けてほしいのは、リヴァイ兵長だと思ってー。
そうだけど、そうじゃないのに。
それでは、いけないのにー。
「リヴァイ兵長、私のせいでー。」
謝らないといけないと思った。
リヴァイ兵長に、リヴァイ兵長を大切に思う調査兵達に。
全て、私が悪いのだと話して、罰を受けるべき人が、罰を受けないといけないと思っていた。
ルーカスと、そして、私もー。
でも、謝罪の言葉を言い切る前に、リヴァイ兵長に手を引かれ、腰を抱かれ、唇を塞がれる。
息を呑んだ、音がした。
それはペトラからだったのか、手を引かれたときにたまたま目があったエレンだったのか、誰のものだったのか、分からない。
ただ、みんなが息も出来ないほど驚き目を見開く中、リヴァイ兵長は私を強く抱きしめていた。
唇が重なっていたのは、本当に数秒だった。
短いキスが、談話室の空気を変えた。
シン、と静まり返る中で、唇を離したリヴァイ兵長は、談話室にいた全員に向かって、口を開いた。
「いいか、お前ら。惚れてる女を守るのに、任務もクソもねぇ。
俺の部屋になまえがいるのも、俺がそばにいてぇからだ。
なまえに傷ひとつでもつけてみやがれ、それが誰でも俺が黙ってねぇからな。」
あと、クソ野郎共、コイツに手を出すなよ。俺のだー。
捨て台詞のように男達に釘を刺した後、呆然とする調査兵達を残し、リヴァイ兵長は私の手を強引に引っ張って談話室から出ていく。
何が起こっているのか分からないーそんな表情のアルミンが見えた。
私も、同じ顔をしていたと思う。
リヴァイ兵長は今、何を言ったー。
何と、言ったー。