◇第七話◇残された選択肢
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『君が言う通り、私達は今、巨人化出来る訓練兵のことで忙しい。
急かして悪いが、2日後、答えを聞きに来る。それまでにどうするか考えておいてほしい。』
調査兵団の馬車は、あの日もきちんと私を家まで送ってくれた。
そして、エルヴィン団長は、最後にそう言い残して帰っていった。
窓の外は、相変わらずの風景で、なんとかみんなが必死にいつもの日常を取り戻そうとしている。
父と母は相変わらず仲が良くて、こんな夫婦になれたらいいなって子供の頃から願っていたそのままだ。
有難いことに、兄弟は健康で元気で、親戚もみんな、トロスト区から逃げてきた私たちによくしてくれている。
時々、会いに来てくれる友人は、私の無事を喜び、そして結婚のお祝いを伝えてくれる。
私は恵まれていて、運が良くて、とても幸せだ。
でも、私たちは知ってしまった。
今ある幸せなんて、あの壁が破られた瞬間に崩壊してしまうということを。
だから、守らないといけない。
憲兵団が王政を守り続けるように、駐屯兵団が壁を守り続けるように、調査兵団が壁の外で勇敢に戦うように。
それが出来ないのなら、内地に逃げるしかない。
ほんの少しでも長く生きていけるように、ほんの少しの安心を得るために―。
『愛するなまえへ。
(ー略ー)
いつの日か必ず、君のご家族も迎え入れられるように努力するよ。
だから、ご家族のことはそれまで待ってほしい。』
調査兵団と別れてすぐにルーカスに手紙を送った。
手紙の内容は、とても身勝手なもので、家族も一緒に内地に行けないのならば結婚は出来ないからどうにかしてほしい、と自分の気持ちばかりを切々と綴った。2日以内に返事が欲しいということも添えて。
今日、ルーカスから届いた手紙には、彼の愛が切々と綴られていた。
「やっぱりダメなんだよねぇ…。」
何度手紙を読み返しても、分かるのは、彼が今すぐに結婚したいことと今はどうしても私の家族を受け入れられないことだけだった。ルーカスとの結婚に暗雲が立ち込めていること、それが家族も一緒に内地へと移住できないのが理由であることを、まだ両親には話せていない。
話せばきっと、自分達のことは気にするなというだろう。
自分達の身の安全よりも娘の幸せを願う人達だから。
それとも、もしかしたら、母は、私の気持ちを見透かして、こう言うかもしれない。
私達のせいにしてやめたくなるくらいの結婚ならしなくていい、と―。
「違う…。私はちゃんとルーカスと結婚したいし、家族も一緒にいたいだけ。
家族のせいにして、結婚から逃げたいわけじゃない。」
頭を抱える。
ルーカスの顔を思い浮かべようとしてるのに、なぜか頭に浮かぶのは、エルヴィン団長の悪魔の囁きと巨人について楽しそうに話すハンジさんの笑顔、そしてリヴァイ兵長の冷たい瞳だった。
急かして悪いが、2日後、答えを聞きに来る。それまでにどうするか考えておいてほしい。』
調査兵団の馬車は、あの日もきちんと私を家まで送ってくれた。
そして、エルヴィン団長は、最後にそう言い残して帰っていった。
窓の外は、相変わらずの風景で、なんとかみんなが必死にいつもの日常を取り戻そうとしている。
父と母は相変わらず仲が良くて、こんな夫婦になれたらいいなって子供の頃から願っていたそのままだ。
有難いことに、兄弟は健康で元気で、親戚もみんな、トロスト区から逃げてきた私たちによくしてくれている。
時々、会いに来てくれる友人は、私の無事を喜び、そして結婚のお祝いを伝えてくれる。
私は恵まれていて、運が良くて、とても幸せだ。
でも、私たちは知ってしまった。
今ある幸せなんて、あの壁が破られた瞬間に崩壊してしまうということを。
だから、守らないといけない。
憲兵団が王政を守り続けるように、駐屯兵団が壁を守り続けるように、調査兵団が壁の外で勇敢に戦うように。
それが出来ないのなら、内地に逃げるしかない。
ほんの少しでも長く生きていけるように、ほんの少しの安心を得るために―。
『愛するなまえへ。
(ー略ー)
いつの日か必ず、君のご家族も迎え入れられるように努力するよ。
だから、ご家族のことはそれまで待ってほしい。』
調査兵団と別れてすぐにルーカスに手紙を送った。
手紙の内容は、とても身勝手なもので、家族も一緒に内地に行けないのならば結婚は出来ないからどうにかしてほしい、と自分の気持ちばかりを切々と綴った。2日以内に返事が欲しいということも添えて。
今日、ルーカスから届いた手紙には、彼の愛が切々と綴られていた。
「やっぱりダメなんだよねぇ…。」
何度手紙を読み返しても、分かるのは、彼が今すぐに結婚したいことと今はどうしても私の家族を受け入れられないことだけだった。ルーカスとの結婚に暗雲が立ち込めていること、それが家族も一緒に内地へと移住できないのが理由であることを、まだ両親には話せていない。
話せばきっと、自分達のことは気にするなというだろう。
自分達の身の安全よりも娘の幸せを願う人達だから。
それとも、もしかしたら、母は、私の気持ちを見透かして、こう言うかもしれない。
私達のせいにしてやめたくなるくらいの結婚ならしなくていい、と―。
「違う…。私はちゃんとルーカスと結婚したいし、家族も一緒にいたいだけ。
家族のせいにして、結婚から逃げたいわけじゃない。」
頭を抱える。
ルーカスの顔を思い浮かべようとしてるのに、なぜか頭に浮かぶのは、エルヴィン団長の悪魔の囁きと巨人について楽しそうに話すハンジさんの笑顔、そしてリヴァイ兵長の冷たい瞳だった。