◇第七十四話◇好きすぎて、大嫌い
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「ちょっとどいてよっ!」
シャワー室を出た途端、思いっきり肩を押された。
びしょ濡れだったから、早くシャワー室に入りたかったのだろう。
それにしてもー。
(そんなに痛いくらいに押さなくてもいいのに。)
痛かった肩を擦りながら、廊下に出た。
肩に乗せたタオルで髪の毛を拭きながら、自室に向かう。
傘も差さないで雨に打たれたせいで冷え切った身体は、熱いシャワーを身体中に浴びたところで温まることはなかった。
(ジャン、風邪引かなかったらいいけど…。)
私と同じようにびしょ濡れになったジャンのことが気になったけれど、大丈夫かと声をかけることは出来ない。
まさか、ジャンが自分のことをそんな風に想ってくれていたなんて、知らなかった。
気づかないで、ジャンにリヴァイ兵長への気持ちを伝えて、相談のようなものをしていたなんてー。
(最低だ…。)
自己嫌悪に襲われて、ため息を吐いた。
ほんの一瞬、ジャンにキスされながら、このまま新しい恋に逃げるのもいいかもしれない―と思ってしまった。
いや、きっとその方が良かったんじゃないかと今でも思う。
そうすれば、リヴァイ兵長のことを本当にただの上司として見ることが出来るし、私は苦しくない。
ジャンを傷つけることもない。
それなのにー。
私はジャンの胸を突き飛ばしていた。
自分でも驚いて、ジャンも驚いていて、そして、目が合ってー。
『ごめんなさいっ。でも、どうしても、リヴァイ兵長が好きなの…っ。』
傷ついた瞳から、ジャンの優しい気持ちから、逃げたー。
誰かを好きになるのはきっとルルの言うようにとても尊くて素敵なことだ。
でも、それが報われないとき、絶対に誰かが傷つく。
そんなのってー。
「あーっ!いたいたっ!!なまえ、探してたんだよっ!」
私を見つけて、ハンジさんが嬉しそうに駆け寄ってきた。
一緒にナナバさんもいる。
この2人で私を探していたと聞くと、ルーカスのことを思い出してしまう。
だが、そうではないようだったー。
「言いづらいんだけどさぁ。」
「じゃあ、言わないでください。嫌な予感しかしないので。」
私は頭を下げて、彼らの横を通り抜ける。
だが、すぐにハンジさんの腕が私を捕まえる。
「いやいやっ、聞いてよっ!」
「いやですよっ!ハンジさんがそういう顔をしてるときは、
絶対に、絶対に、良からぬこと考えてるときなんですからっ!!」
私は必死にハンジさんの手を振りほどこうとする。
でも、力の強いハンジさんの手ははなかなか離れない。
「へぇ、さすが、入団してすぐにハンジの班に入っただけあるね。
よくわかってる。」
冷静にナナバさんが頷いている。
「考えてないからっ!!ちょっとしかっ!!」
「ほらっ!!考えてるじゃないですかっ!!」
「お願いだよっ!!今からもう一回、あのドレス着てくれ!!」
「…っ!!」
良からぬこと過ぎすぎて、私はタオルで自分の顔を隠した。
ついでに、耳も聞こえていないことにした。
私は今から、今日の合同訓練についての報告書を出す予定なのだ。
自分が受け持ったグループの兵士達の評価や改善点などを細かく各箇所がたくさんあって、非常に面倒くさそうだった。
「おやすみなさい。」
私は何も聞かなかったことにして、彼らの横を通り過ぎた。
シャワー室を出た途端、思いっきり肩を押された。
びしょ濡れだったから、早くシャワー室に入りたかったのだろう。
それにしてもー。
(そんなに痛いくらいに押さなくてもいいのに。)
痛かった肩を擦りながら、廊下に出た。
肩に乗せたタオルで髪の毛を拭きながら、自室に向かう。
傘も差さないで雨に打たれたせいで冷え切った身体は、熱いシャワーを身体中に浴びたところで温まることはなかった。
(ジャン、風邪引かなかったらいいけど…。)
私と同じようにびしょ濡れになったジャンのことが気になったけれど、大丈夫かと声をかけることは出来ない。
まさか、ジャンが自分のことをそんな風に想ってくれていたなんて、知らなかった。
気づかないで、ジャンにリヴァイ兵長への気持ちを伝えて、相談のようなものをしていたなんてー。
(最低だ…。)
自己嫌悪に襲われて、ため息を吐いた。
ほんの一瞬、ジャンにキスされながら、このまま新しい恋に逃げるのもいいかもしれない―と思ってしまった。
いや、きっとその方が良かったんじゃないかと今でも思う。
そうすれば、リヴァイ兵長のことを本当にただの上司として見ることが出来るし、私は苦しくない。
ジャンを傷つけることもない。
それなのにー。
私はジャンの胸を突き飛ばしていた。
自分でも驚いて、ジャンも驚いていて、そして、目が合ってー。
『ごめんなさいっ。でも、どうしても、リヴァイ兵長が好きなの…っ。』
傷ついた瞳から、ジャンの優しい気持ちから、逃げたー。
誰かを好きになるのはきっとルルの言うようにとても尊くて素敵なことだ。
でも、それが報われないとき、絶対に誰かが傷つく。
そんなのってー。
「あーっ!いたいたっ!!なまえ、探してたんだよっ!」
私を見つけて、ハンジさんが嬉しそうに駆け寄ってきた。
一緒にナナバさんもいる。
この2人で私を探していたと聞くと、ルーカスのことを思い出してしまう。
だが、そうではないようだったー。
「言いづらいんだけどさぁ。」
「じゃあ、言わないでください。嫌な予感しかしないので。」
私は頭を下げて、彼らの横を通り抜ける。
だが、すぐにハンジさんの腕が私を捕まえる。
「いやいやっ、聞いてよっ!」
「いやですよっ!ハンジさんがそういう顔をしてるときは、
絶対に、絶対に、良からぬこと考えてるときなんですからっ!!」
私は必死にハンジさんの手を振りほどこうとする。
でも、力の強いハンジさんの手ははなかなか離れない。
「へぇ、さすが、入団してすぐにハンジの班に入っただけあるね。
よくわかってる。」
冷静にナナバさんが頷いている。
「考えてないからっ!!ちょっとしかっ!!」
「ほらっ!!考えてるじゃないですかっ!!」
「お願いだよっ!!今からもう一回、あのドレス着てくれ!!」
「…っ!!」
良からぬこと過ぎすぎて、私はタオルで自分の顔を隠した。
ついでに、耳も聞こえていないことにした。
私は今から、今日の合同訓練についての報告書を出す予定なのだ。
自分が受け持ったグループの兵士達の評価や改善点などを細かく各箇所がたくさんあって、非常に面倒くさそうだった。
「おやすみなさい。」
私は何も聞かなかったことにして、彼らの横を通り過ぎた。