◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから
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背中に違和感を感じて、私はゆっくり目を開けた。
見慣れた天井の下に、私を見下ろすリヴァイ兵長と目が合う。
「起きたか。」
リヴァイ兵長の腕が、私の背中からそっと抜けていった。
そこで、ベッドに寝かされているところだったのだと理解した。
まだ寝ぼけ眼の状態で、最後の記憶を手繰り寄せる。
3人組の男達から助けてもらった後、こんなところで何をしているのかと訊ねてきたルーカスに、髪留めを買いに来たことを伝えたのだ。
そしたら、また変な男に絡まれたらいけないからと一緒にアクセサリーの店まで付き合ってくれた。
本当は、勝手な理由で別れた昔の婚約者に甘えるなんて失礼だと思ったのだけれど、1人になるのは怖かった。
それから、トロスト区の内門通行許可証はなくても自由に通行できるルーカスと一緒にテュランと散歩に出たのだ。
エルヴィン団長には、トロスト区を出たら危ないからと禁止されたけど、リヴァイ兵長と一緒なら許可を出してくれるだろうとハンジさんも言っていた。
それなら、ルーカスでも許可を出してくれると思ってー。
「ルーカスが、送ってくれたんですか?」
目をこすりながら、身体を起こす。
草原で嬉しそうに走り回るテュランを眺めていたら眠たくなってしまって、それでー。
そこから、記憶が途切れている。
「アイツが送ってきたのはテュランだけだ。」
「ん?私は…?あれ、なんでリヴァイ兵長がいるんですか?」
「エルヴィンに頼まれてウォール・ローゼの有力者の屋敷に行った帰り、
テュランが俺の乗った馬車に走ってきた。
いや、あれは激突だった。俺はアイツの頭が心配だ。」
「テュランが?すごいですね、リヴァイ兵長のこと分かったのかな。
きっと会いたかったんですよ。許してあげてください。」
あまり人に懐かないテュランだけれど、林檎をたらふく食べさせてもらったあの日から、リヴァイ兵長を見ると瞳を輝かせていた。
もしかしたら、また林檎がもらえると思ったのかもしれない。
可笑しくてクスクス笑う私だったけれど、リヴァイ兵長の表情はどこか浮かない。
「どうかしました?」
「いや。それから、テュランがお前のところに俺を引っ張るから
寝てるお前を見つけて、馬車に乗せて帰ってきただけだ。
テュランも馬車に勝手についてくるからいいと言ったんだが、アイツが乗ってここまで連れてきた。」
「そうだったんですね…。すみません。」
「帰るついでだ、俺は構わねぇ。」
リヴァイ兵長はそれだけ言うと、立ち上がった。
部屋を出て行こうとしているようだったので、私は急いで引き留めた。
「リヴァイ兵長、お願いがあるんです…っ!」
リヴァイ兵長が、ゆっくり振り返った。
私は息を飲み、深呼吸をしてから口を開いた。
見慣れた天井の下に、私を見下ろすリヴァイ兵長と目が合う。
「起きたか。」
リヴァイ兵長の腕が、私の背中からそっと抜けていった。
そこで、ベッドに寝かされているところだったのだと理解した。
まだ寝ぼけ眼の状態で、最後の記憶を手繰り寄せる。
3人組の男達から助けてもらった後、こんなところで何をしているのかと訊ねてきたルーカスに、髪留めを買いに来たことを伝えたのだ。
そしたら、また変な男に絡まれたらいけないからと一緒にアクセサリーの店まで付き合ってくれた。
本当は、勝手な理由で別れた昔の婚約者に甘えるなんて失礼だと思ったのだけれど、1人になるのは怖かった。
それから、トロスト区の内門通行許可証はなくても自由に通行できるルーカスと一緒にテュランと散歩に出たのだ。
エルヴィン団長には、トロスト区を出たら危ないからと禁止されたけど、リヴァイ兵長と一緒なら許可を出してくれるだろうとハンジさんも言っていた。
それなら、ルーカスでも許可を出してくれると思ってー。
「ルーカスが、送ってくれたんですか?」
目をこすりながら、身体を起こす。
草原で嬉しそうに走り回るテュランを眺めていたら眠たくなってしまって、それでー。
そこから、記憶が途切れている。
「アイツが送ってきたのはテュランだけだ。」
「ん?私は…?あれ、なんでリヴァイ兵長がいるんですか?」
「エルヴィンに頼まれてウォール・ローゼの有力者の屋敷に行った帰り、
テュランが俺の乗った馬車に走ってきた。
いや、あれは激突だった。俺はアイツの頭が心配だ。」
「テュランが?すごいですね、リヴァイ兵長のこと分かったのかな。
きっと会いたかったんですよ。許してあげてください。」
あまり人に懐かないテュランだけれど、林檎をたらふく食べさせてもらったあの日から、リヴァイ兵長を見ると瞳を輝かせていた。
もしかしたら、また林檎がもらえると思ったのかもしれない。
可笑しくてクスクス笑う私だったけれど、リヴァイ兵長の表情はどこか浮かない。
「どうかしました?」
「いや。それから、テュランがお前のところに俺を引っ張るから
寝てるお前を見つけて、馬車に乗せて帰ってきただけだ。
テュランも馬車に勝手についてくるからいいと言ったんだが、アイツが乗ってここまで連れてきた。」
「そうだったんですね…。すみません。」
「帰るついでだ、俺は構わねぇ。」
リヴァイ兵長はそれだけ言うと、立ち上がった。
部屋を出て行こうとしているようだったので、私は急いで引き留めた。
「リヴァイ兵長、お願いがあるんです…っ!」
リヴァイ兵長が、ゆっくり振り返った。
私は息を飲み、深呼吸をしてから口を開いた。