◇第六十八話◇懐かしい腕
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明日は、待ちに待った非番の日だ。
最近は、自身の復習も含めて、104期の新兵の座学指導をしている。
身体を使わないので、体力的には楽なのだけれど、頭を使う任務はそれはそれでとても疲れるものだ。
だから、リフレッシュも兼ねてテュランを連れてウォール・ローゼの草原に散歩に行こうと思っていたのにー。
「なんで、ダメなんですかっ?」
数日前からお願いしていたトロスト区の内門通行許可証の発行の確認をするためにハンジさんの執務室兼自室を訪れていた私は、悲痛な声を上げた。
実家にいる頃だって、トロスト区の内門通行許可証ならそれほど苦労せずに発行してもらうことが出来ていた。
今は兵士という肩書もあるのだから、以前よりもより簡単に許可が通ると思っていたのだ。
それなのにー。
「最近、強盗殺人事件が起きてるのは知ってるだろう?」
「はい。駐屯兵が話しているのを聞いたことがあります。」
「それで、エルヴィンが危険だからトロスト区から出るのは禁止だって。」
「そんな…。じゃあ、テュランとどこに散歩に行けばいいんですか?!」
「兵舎にもほら、厩舎のそばに広場があるだろ?そこはどう?」
「…。」
ハンジさんも意地悪で言ってるわけではないから、これ以上我儘も言えない。
納得は行かないけれど、エルヴィン団長の指示ならば諦めるしかないかー、そう思っていると、扉が開いた。
ノックも無しに部屋に入ってきたのは、リヴァイ兵長だった。
私を見て少し驚いた顔をしたけれど、すぐに視線は私から外れてハンジさんの方を向く。
「エルヴィンから預かってきた。資料の確認だ。」
「またぁ~?嫌だなァ…。」
「得意だろ。」
「どこがだよっ。文書仕事なんて一番嫌いでー。」
リヴァイ兵長から資料を渡されて、ハンジさんは大きくため息を吐いた。
仕事の話を始める様子だし、私は出て行った方がいいだろう。
明日は、テュランには兵舎の散歩で諦めてもらおう。
「あの、それじゃあ、私は失礼します。」
「あ!待ってっ!!」
部屋を出て行こうとした私をハンジさんが引き留めた。
「何でしょうか?」
私はハンジさんに訊ねた。
だが、ハンジさんは、私ではなくてリヴァイ兵長に話しかけた。
「ねぇ、リヴァイ。明日は非番じゃなかったっけ?」
「なんで、てめぇが俺の予定を知ってんだ。気持ち悪ぃ。」
「それならさっ!なまえをウォール・ローゼの草原に連れてってあげてよ。」
「なまえを?」
訝し気なリヴァイ兵長の顔が振り向いて、私を見た。
「テュランをお散歩に連れて行きたいんだって。
でも、エルヴィンにお出かけ禁止令だされちゃってさ。
リヴァイとなら許可貰えると思うし、どうせ暇でしょ?」
「まぁ、別に構わねぇが。」
断ると思ったのに、リヴァイ兵長が了解するから驚いた。
「大丈夫ですよっ。リヴァイ兵長のせっかくのお休みを私なんかのために使うのは勿体ないですっ。
明日はテュランと厩舎近くの広場で遊ぶので、気にしないでください。」
笑顔で言って、私は頭を下げると今度こそ部屋を出た。
甘えたいー、リヴァイ兵長と一緒にいられるなら惨めでもいいじゃないかー。
私の恋心の声は無視した。
だって、彼女は本当はこの世に存在してはいけない存在だから。
早く、この世から消えないといけないからー。
「あれ?今度はリヴァイがなまえに嫌われちゃったの?」
「そうかもな。」
「そうなのっ!?」
ハンジさんがまたおかしな勘違いしたことを知らない私は、笑顔を貼り付けたまま部屋に帰った。
最近は、自身の復習も含めて、104期の新兵の座学指導をしている。
身体を使わないので、体力的には楽なのだけれど、頭を使う任務はそれはそれでとても疲れるものだ。
だから、リフレッシュも兼ねてテュランを連れてウォール・ローゼの草原に散歩に行こうと思っていたのにー。
「なんで、ダメなんですかっ?」
数日前からお願いしていたトロスト区の内門通行許可証の発行の確認をするためにハンジさんの執務室兼自室を訪れていた私は、悲痛な声を上げた。
実家にいる頃だって、トロスト区の内門通行許可証ならそれほど苦労せずに発行してもらうことが出来ていた。
今は兵士という肩書もあるのだから、以前よりもより簡単に許可が通ると思っていたのだ。
それなのにー。
「最近、強盗殺人事件が起きてるのは知ってるだろう?」
「はい。駐屯兵が話しているのを聞いたことがあります。」
「それで、エルヴィンが危険だからトロスト区から出るのは禁止だって。」
「そんな…。じゃあ、テュランとどこに散歩に行けばいいんですか?!」
「兵舎にもほら、厩舎のそばに広場があるだろ?そこはどう?」
「…。」
ハンジさんも意地悪で言ってるわけではないから、これ以上我儘も言えない。
納得は行かないけれど、エルヴィン団長の指示ならば諦めるしかないかー、そう思っていると、扉が開いた。
ノックも無しに部屋に入ってきたのは、リヴァイ兵長だった。
私を見て少し驚いた顔をしたけれど、すぐに視線は私から外れてハンジさんの方を向く。
「エルヴィンから預かってきた。資料の確認だ。」
「またぁ~?嫌だなァ…。」
「得意だろ。」
「どこがだよっ。文書仕事なんて一番嫌いでー。」
リヴァイ兵長から資料を渡されて、ハンジさんは大きくため息を吐いた。
仕事の話を始める様子だし、私は出て行った方がいいだろう。
明日は、テュランには兵舎の散歩で諦めてもらおう。
「あの、それじゃあ、私は失礼します。」
「あ!待ってっ!!」
部屋を出て行こうとした私をハンジさんが引き留めた。
「何でしょうか?」
私はハンジさんに訊ねた。
だが、ハンジさんは、私ではなくてリヴァイ兵長に話しかけた。
「ねぇ、リヴァイ。明日は非番じゃなかったっけ?」
「なんで、てめぇが俺の予定を知ってんだ。気持ち悪ぃ。」
「それならさっ!なまえをウォール・ローゼの草原に連れてってあげてよ。」
「なまえを?」
訝し気なリヴァイ兵長の顔が振り向いて、私を見た。
「テュランをお散歩に連れて行きたいんだって。
でも、エルヴィンにお出かけ禁止令だされちゃってさ。
リヴァイとなら許可貰えると思うし、どうせ暇でしょ?」
「まぁ、別に構わねぇが。」
断ると思ったのに、リヴァイ兵長が了解するから驚いた。
「大丈夫ですよっ。リヴァイ兵長のせっかくのお休みを私なんかのために使うのは勿体ないですっ。
明日はテュランと厩舎近くの広場で遊ぶので、気にしないでください。」
笑顔で言って、私は頭を下げると今度こそ部屋を出た。
甘えたいー、リヴァイ兵長と一緒にいられるなら惨めでもいいじゃないかー。
私の恋心の声は無視した。
だって、彼女は本当はこの世に存在してはいけない存在だから。
早く、この世から消えないといけないからー。
「あれ?今度はリヴァイがなまえに嫌われちゃったの?」
「そうかもな。」
「そうなのっ!?」
ハンジさんがまたおかしな勘違いしたことを知らない私は、笑顔を貼り付けたまま部屋に帰った。